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テンションアップダウン第二回フィーと愚かなボク後日談

テンションアップダウン二十四時間企画!

一時間に一話、計二十四話連続投稿!



始まるよ!

「今日吠天先輩にお見舞いがてら事後報告に行くんでしょ?」

 事件から八日後の放課後。

「私も行くからちょっと待ってて」

「いや……オレ一人で行くよ」

「ダメ!絶対一人で行っちゃ駄目!」

「何で?」

「何でも!」

「どうして?」

「どうしても!」

「…………」

「…………」

「わかったよ」

「絶対だからね!じゃあ四時に校門前で!」

 そう言うと磯川原さんは小走りで教室を後にした。

「じゃあ行くか……」

 オレも教室を出て先輩の病院へと向かう。

 約束を守る義理はない。

 しかしボクは後々この時の事を後悔する。


「失礼します」

 面会が可能となった病室の扉を開ける。

 ベットに体を預けていた吠天先輩はゆっくりと上半身を上げた。

 吠天先輩はベットの横に置いてあったパソコンを起動させ少し操作した後こちらに画面を向ける。

「『よく来たね……どうしたの?悲しい顔して』」

「先輩……声…………ごめんなさい」

「『気にしないでいいよ、一生声が出せないわけでもないんだし』」

「でもっ!」

「『気にしなくて良いから、話が進まないでしょ!』」

「……すみません」

 オレは道すがら買ってきた花を花瓶にいけながら事件の話をした。


「『じゃあ犯人グループは結局証拠が十分じゃなかったから十日間の謹慎後に再度処遇について話されると』」

「はい」

「『二人は助かったけど……』」

「フィールは心をあまり開かなくなり、日和身ちゃんと一緒に別の病院に入院中です」

「『フィールちゃんから聞かなきゃいけないこともあるだろうし……でも答えないだろうけど』」

「何でですか?」

「『友達だから……じゃないからかな?』」

 吠天先輩の含みを持たせた言い方に少し戸惑うがすぐに理解した。

「『それじゃあ最後に依頼完了したから書類に名前を書いてね』」

「……わかりました」

 吠天先輩に渡された書類の名前記入欄に名前を書く。

 名前を書き終えたと同時に後ろの扉が勢いよく開く。

「まだ書類に名前を書いてないよね!?」

「磯川原さんどうしたの!?」

「どうしたじゃないよ!置いていくなんて!!……それより書類に名前を書いてないよね!?」

「……もう書いちゃったよ?」

「っ!書類は」

「『もう持ってるよ』」

 書類はいつの間にか吠天先輩の手の中にあった。

「……遅かったか」

「何?磯川原さんどうしたの?」

「『大丈夫よ……それよりもあなたに一言行ってあげる』」

「何ですか?」

「入部おめでとう」

 一瞬吠天先輩が言ったことが理解出来なかったが、先ほど書いた書類が実は巧妙に細工された入部届けだったのを見た瞬間脳が一気に活性化した。

「はぁぁぁあああああ!!!」

「だから一人で行くなっていったのに……」

 磯川原さんが恨みの籠もった視線でこちらを見る。

「『そんなことは良いから、明日から部活に参加するのよ!』」

「嫌ですよ!」

「『あれっ……何だか喉の調子が……』」

「わかりましたよ参加すればいいんでしょ!」

「『分かればよろしい……それと明日からやって欲しいことがあるんだけど……』」


「いそっぺおはー」

「……おはよ」

「どうしたの?」

「元気ないよ?」

「昨日色々あって……」

「大変だね……あっ!来た!!!」

 「海苔ちゃん」を囲んでいた女子が「ボク」を見るなり近づいてきた。

「「「おはよ」」」

 普段からあまり挨拶しないのだが……今日から新しく生まれ変わったので「ボク」は。

「みんなおはよう」

 出来る限りの笑顔で応えた。

 やって欲しいと言われても……。

「やっぱり一人称を変えるのは慣れないな……」

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