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テンションアップダウン第五回誤解とすれ違い

「すみません先輩、自分から勝負を受けようと言い出しといてなんなんですがちょっと独りになっても良いですか?」

「……わかったわ、でも二時間だけよ」

 マナは何も言わずに二人を連れて歩き出す。

 三人の背中を見送ってから、ボクは吠天先輩が歩いて行った方へと足を向けた。


「こんな所にいたら危ないですよ」

 浜辺の端に位置する岩場、彼女はそこに座っていた。

「……独りにしてよ」

 先程の怒りは何処へ行ったのかと思うくらいに先輩は弱々しかった。

「……ごめんなさい、でも伝えなくちゃいけないことがあるんです」

「伝えなくちゃいけないこと?」

「…………」

「ねぇ……何?」

「あの時……あの時の事を先輩は勘違いをしています」

「勘違い?」

「そうです、ボクはあの日、文化祭二日目のあの日ボクは風紀委員会の委員に対してマナ先輩が男だと密告したんです」

「……よく覚えているよ」

「……でもボクは風紀委員長があんな事をし始めたので直ぐに密告した委員の人に会ったんです」

「…………」

「その人は直ぐに委員長さんを止めるために動いてくれたんですよ」

「でも結局は駄目だっだ、あの子は停学をくらったのよ」

「確かにそうです、でも彼女は!」

「旧風紀委員長に逆らったせいで他の委員達との間に溝が出来、その周りから避けられるようになった。だから今の風紀委員会には三人しかいない……」


「……だから何?」


「彼女が溝を作ろうが嫌われようが関係ない!私はあの子の……マナの貴重な時間を無駄にされたことが!マナと今まで一緒に、一生懸命に頑張って歩みを止められたことが!そして……彼女に、乃乃ちゃんに裏切られたことが許せないの!!!」

 それはおそらく彼女の本心だ、吠天先輩のいなかった文化祭の二日目、吠天先輩とマナ先輩の友人である豆渇乃乃先輩にマナ先輩の事を話に行った。しかし運の悪いことに旧風紀委員長に話を聞かれてしまい、最終的にマナ先輩は一週間の停学。そしてその停学が響き結果として彼女は留年してしまった。

 でも、やっぱり吠天先輩には何時までも誤解していてほしくない。

「吠天先輩、豆渇先輩は二人の事を裏切ってなんていませんよ」

「…………」

「裏切ったのなら今のような風紀委員会にはなっていないじゃないですか?」

「…………」

「マナ先輩の停学の話なんですけど、実はマナ先輩は一回退学にするって案が出たほどなんです、でも豆渇先輩が必死になって動いてくれたから…」

「……てる」

「えっ?」

「……知ってる」

「何を……」

「乃乃ちゃんが頑張っでぐれたごとならあだじだってじってる!でもでも……どうしようもないの」


「何かのせいにしないとあだしは耐えられない!乃乃ちゃんは何もわるぐないのはわがっでた!でもでもー!!!」


「…………」

 吠天先輩は何時ものように全てをわかっていたんだ、でも豆渇先輩を許すことはやはり出来ないのだろう。

「先輩……」

「わかってる……このままじゃいけないことぐらい、さっき乃乃ちゃんが勝負を申し込んできたのも不器用な彼女がこっちに歩み寄ろうとして行った事だって」

「なら後は……」

「乃乃ちゃんが一歩歩み寄ってくれたんだから私も歩み寄らないといけないことくらいわかってる、まだわだかまりが消えた訳じゃないけど……これから解消していけばいいんだってわかってるよ、でも……」

 吠天先輩の言った言葉は本人が前々から考えていた言葉だったのであろう、言うきっかけと後押しがなかったから言えなかっただけであって。

 ならば今回はボクが後ろから支えよう。

 罪滅ぼしにすらならないかもしれない、しかし三人の関係がせめて改善されることを祈りボクは一言言った。

「じゃあ先輩は早く戻らないと、向こうが一歩歩み寄ってくれたんだからこっちも寄らないといけないってわかっているですから。だったら向こうが勝負を申し込んできたのなら受けないと」

「……だね、行こっか」

 吠天先輩は静かに立ち上がる、その姿には少し迷いがあったが……。


 ボクが先輩に会ってから既に一時間経った。

「……お帰りなさい吠天先輩」

「『ただいま』」

 みんなと合流した時には何時もの吠天先輩に戻っていた。

「吠天先輩お帰りなさい!」

「『ただいまなのだよ海苔ちゃん!』」

 若干変なテンションになってもいる。

「おかえり……丹沙」

「……うん」

 吠天先輩とマナ先輩が見つめ合うことでボクらの間に少しこそばゆい沈黙が流れる。

「丹沙」

「『何?』」

 沈黙を破ったのはマナ先輩だった。

「私は乃乃を怨んでないし、あの時の事を後悔していないわ。何故ならわたしの側には貴方が居てくれたからよ」

「……マナ」

「さぁ行きましょう、勝負はまだまだこれからよ」

 そう言うと先輩は先程目姉妹に渡された紙を取り出す。

「今の所わたし達は負けてるわ」

「『…………はぁ?』」

 マナ先輩の言葉に吠天先輩の雰囲気が豹変する。

「『勝負事に負けるなんて言語道断!しかもあの乃乃に負けているなんてもってのほか!貴方達も何してたの!!弛んでるんじゃないの?しっかりしなさいよ!負けたら許さないからね!わかったら返事!!!』」

「「「はいぃぃいい!!!」」」


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