テンションアップダウン第五回宿敵……現る
それは去年の夏休みのことだった……。
「たのもー!」
「「「「『!?』」」」」
ボクが去年の回想を始めようとしたその時、突然部屋の襖が開かれた。
「居たわね、吠天丹沙!」
「お帰り下さい」
すかさずマナ先輩が襖を閉める。
「では改めて」
それは去年の夏休みのことだった……。
「何で閉めるの!わざわざ来たのに!」
「わざわざ来ていただかなくて結構なのでお帰り下さい」
またも先輩がすかさず襖を閉める。
「だから何で襖をって…あれ何で!?開かなっ」
今度は開けられないようにフィーが押さえている。
「……何でこいつが!?」
「ストーカーみたいですね」
「全く、何でこの場所がわかったのんだ?」
「『……調べたんじゃないの?』」
それが事実ならかなり怖い。
「全く、誰がストーカーよ!」
「「「っ!」」」
「「「出たぁぁぁあああ!!!」」」
「全く失礼しちゃうわ、誰が醜悪で見るに耐えないほどの妖怪よ!」
誰も言ってないことを言いながら怒っている、醜悪で見るに耐えないほどの妖怪は現風紀委員会委員長の豆渇乃乃、吠天先輩と同じ三年生だ。
「誰!醜悪で見るに耐えないほどの妖怪なんて事実を言ったの」
「可哀想だろ、おい」
「……何時見ても醜悪なのでついつい言っちゃうのはわかりますが」
「実際に醜悪で見るに耐えないほどの妖怪何だから、ほら今にも泣きそうだよ!」
泣かせているのはお前ら二人だろとは決して言わない、言ったら醜悪で見るに耐えないほどの妖怪を庇う事になるからだ。
「…………」
豆渇は無言で泣き始めた、何故だろう。
「醜悪ーまだやってるの?」
「遅いよ醜悪ー」
また襖が開き二人の人物が中に入ってくる。
「げ……最悪」
フィーが女の子にあるまじき声を上げる。
「どうしたのフィールちゃん?」
「何かイヤなものでも見たの?」
「……私にあなた方二人の顔を見せないで下さい」
「つれないなー私達とフィールちゃんとの仲じゃん!」
「そうだよフィールちゃん!貧乳のくせに生意気なことを言うなよ!」
「腹黒愛玩動物のくせに!」
「変態お腹フェチのくせに!」
「低身長」
「運動音痴」
「音痴」
「甘党」
「…………」
フィーが涙目でこちらに助けを求めている、しかし残念なことに否定出来るものが少ない。
先程からフィーの周りをぐるぐる回りながら悪く言っている二人、通称「目姉妹」。微妙に否定しずらい悪口を姉妹で交互に言ってくる質の悪い双子だ、ちなみに二年生。
「『……それで結局何の用?』」
ようやく部屋の中が静かになった頃に吠天先輩が質問する。
「「私達は醜悪先輩を探しに来ましたー」」
目姉妹が声を揃えて言う。
「私は常日頃の……」
「『……貴方には聞いてない』」
豆渇か話し始めたので話を遮る吠天先輩。
「醜悪先輩を見つけたんだから早いとこ退散して貰えないかしら?」
「……そうだ、早く出て行け」
「「あぁっ!?」」
「ひっ!……うぅ」
姉妹に睨まれ小さくなるフィー。
「『まぁ目的が済んだのなら早く帰ってね』」
「「安心して下さいもう帰ります!」」
吠天先輩の微笑みを見た瞬間、直ぐに立ち上がり、豆渇を小脇に抱えて出て行った。
「やっと行ったね」
「折角の合宿が無駄になっちゃうところでしたね」
「『……さてと』」
吠天先輩はそう言って立ち上がり背伸びをする。
「『じゃあ早速みんなで海に行きますか』」
「「「賛成!!!」」」




