テンションアップダウン第三回六月の雨にやられて
雨が降るとろくな事が起きない、前々から散々言ってきているが無駄に騒ぐ人間は実に愚かだと思う。
梅雨と言う季節は雨が降り外に出れず、室内で騒いでいる奴が多い、ボクらの部活メンツも例外ではない。
「これはどう言うこと?」
いつもと違いお酒を飲んでいない梅ちゃん先生は冷え切った目でこちらを見下ろす、ボクらは仲良く廊下に正座をしているため見下ろす形になっているが普通に立っていればあまり背は変わらない……今は関係がない。
「主犯は誰?」
怒っているのに優しく微笑む人はかなり怒っているで間違いはないが、満面の笑みの場合だとどうすれば良いのか……。
主犯は勿論吠天先輩なのだが、ここで先輩を売ると先輩は確実に死ぬだろう。それを物語るように吠天先輩は首を小刻みに振りながら小声で「無理……マジで無理」と連呼している、ちなみにパソコンを床に置いているので肉声で喋っている。
「誰?まさか……丹沙なの?」
名前を呼ばれた瞬間に体がビクッと反応してしまっているので最早反論の余地はない。
「そうなの?丹沙」
「…………」
マジ泣き五秒前の表情を繰り出されたら流石に助けなければいけないだろう。
「梅ちゃん先生……あのぅ……」
「何かしら」
「主犯なんですけど実は……」
「実は?」
この会話の最中に頭をフル回転させて誰を犯人に仕立て上げるかを考える。
フィーは安定で除外する、吠天先輩も同じ。残った三人だとやっぱり普通に考えたらボクだろう。
内心ため息を漏らしながら口を開く。
「マナ先輩が言い出しました」
「はいぃっ!?」
普通に考えたらボクだが普通じゃない状況なら先輩一択だ。
「そうなの?マナちゃん」
「違」「わないです」「よ……ってあんたわたしを売ったわね!違う」「わけないですよ」「よ…ってわたしの言葉に重ねて言うな!」
「どっちなの?」
「「「犯人はマナ先輩です!」」」
「なっ!」
驚愕という表現がぴったりな表情だった。
「マナちゃんちょっと話があるから来て……」
「ひぃっ!」
先輩は梅ちゃん先生に襟を捕まれ引きずられていった。
全員並んで笑顔で手を振る。
「裏切り者ぉぉぉおおお!」
悲鳴と共に廊下の奥へと消えていった。
沈黙だけが残った廊下。
「やりすぎかなぁ……」
「しょうがないって事にしよう」
「……先輩酷いですね」
「『結論だけ言わせて貰うと……』」
「「「『廊下で枕投げしたら窓ガラスは割れるよね……』」」」
窓ガラスがほとんど無くなった廊下は風通しが良くなっていた。
「何でわたしがこんな目に……」
「…………」
「絶対ぜったーい許さない」
「…………」
「梅ちゃん先生!協力してください!」
「…………面白そうね」




