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テンションアップダウン第一回花見なう!って言いたいんですけど……

 基本的時間にはきっちりしている。

 早寝早起きは小学校からの習慣になっているので苦ではない。

 しかし、やはり早めに寝てこそ早く起きられるのであって、前日に夜更かしをしてしまうと……。

「ふあっ……ぁ~ああだめだまだねむいや」

 花見の前日、昨日の事だ。

 ボクが寝坊して弁当を作り忘れないようにっと、先輩が前日の夜ボクの部屋にフィーを派遣してきたのだ、しかしそのせいでボクは眠れなかった……何故なら!ボクの部屋にはベッドが一つしかないのだ!……その時のことを話したいと思う。


 時間は夜の九時ごろ!ボクがそろそろベッドに入ろうと思っていると、不意に部屋の扉がノックされた!誰だろうこんな時間に!と思いつつ部屋の扉を開いた!すると!!そこに!ちょこんと一人の妖精が立っていたのです!

「どうしたの?フィー、こんな時間に」

 声にこそ表れていないが、内心緊張しまくりである。

「……先輩が寝坊して遅刻しないように監視して来いってマナ先輩が」

 よくよく観察するとフィーの格好は薄いピンク色のパジャマに猫のクッションを装備していた。

 この歳になって遅刻する何て有り得ないが……。

「ありがとうござい先輩!」

 今回は本気で感謝する、ありがとう先輩!

 ボクが涙を流しながら両手を合わせて感謝する。


 ボクの行動がいまいち理解出来なかったのか、フィーは小首を傾げている。

 フィーは何故か少し悩んでから中に入ってもいいかと尋ねてきたが、そんなこと聞かれるまでもない、フィーが相手ならボクは二つ返事でオーケーするに決まっている。

「中に入って待ってて!!」

「……はい、どこに行くんですか?」

「もう一度お風呂に入って来るから!」

 自分がいつもパジャマ代わりに着ているTシャツとハーフパンツを無視し、勝負パジャマをクローゼットの奥から引っ張り出す。

青色の薄いパジャマです!

 フィーが部屋を出る直前に何か言っていたが、テンションアップ状態で部屋を出て寮の共同風呂に向かったので聞こえなかった。

 風呂の脱衣所で全てを脱ぎ捨て浴室へ突撃、テンションが上がりすぎて小指を入り口にぶつけた。

 取り敢えず髪の毛を先に洗う。そして次に体を洗おうとしたとき広い浴室に誰かが入って来た。

「フィー!?何で!?」

 中に入って来たのは身体にタオルを巻いたフィーだった。

 心の準備が出来ていないボクにとっては刺激が強いぜ!

「……独りは嫌です、それにさっきも言ったんですが、マナ先輩にお風呂で背中を流すように言われています、聞いてなかったんですか?」

 先輩あなたは神ですか?もしそうなら貴女のことを一生涯崇拝しますよ!

 ボクが心の中で祝詞を捧げているとフィーはボクの後ろに椅子を運び背中に柔らかいスポンジを当て、優しく丁寧に洗い始めてくれた……幸せの極みなり。

「……気持ちいですか?」

「とっても気持ちいよ、すごい柔らかいスポンジだね」

「……スポンジと言うよりぷちマシュマロですよ」

「!?」

「……後ろは終わったので次は前を……」

「前は大丈夫だから!流石に自分でやるから!」

 フィーが前方へ手を伸ばして来たため慌てて止める。

 流石に前はヤバい、何故ならマシャマロだから。

 フィーは少し残念そうな顔をしたが直ぐに自分の体を洗い始めた。


「よし、じゃあお風呂に入ろうか」

 二人並んでお風呂に入る、ボクは本日二度目だけど。

 風呂へ入る人も少ない時間帯なのに湯船は温かいお湯で満たされていた、二人でしっかり肩まで浸かり温まる。

「……肌スベスベ……うらやましい」

「そっそんなことないよ」

 突然フィーに誉められ顔が赤くなる。

「……もちもちしてる……えいっ」

「あひゃっ」

 フィーに脇腹をつつかれ思わず変な声を出しててしまう。

「……えいっえいっえいっえいっ」

「あひゃっちょっあひっやめ」

 立て続けに脇腹をつつかれお湯の中で暴れてしまう。

「よくもやったなぁーえいえい!」

 その後もボクらはお互いが湯あたりするまでじゃれあった。


 そしてボクの部屋へ戻ったのだが、ここで問題が発生した。

 どうやって寝るか……何て問題ではない!

 一緒に寝てどうやって襲わないようにするかだ!

 まず一緒に寝ないという選択肢は無い!何故ならフィーは独りでいることを酷く恐れているからだ、何故恐れているかは今はまだ語らない。

 だがしかし一緒に寝ると自分が何をしでかすか解らない。

 ボクが独り悩んでいるとフィーは「……一緒に寝ないんですか?」と不安そうな顔をして聞いてきた……なるようになるよね!前向きに行こう!

 ということで一緒に寝ることになった。

 フィーはボクのベッドにダイブするとボクの枕に顔を押し付け「……この枕いい匂いが…先輩の香りがするこの枕、私に貸して下さい!代わりにわたしの枕をお貸しします!」とまくし立てるように言ってきた。

「…別にいいけど」

「……やった!」

 フィーはこちらに自分の枕を投げてよこす、その時香った微かに甘いフィーの香りに思わず顔が綻んでしまう。


 部屋の電気を常夜灯に変え二人で同じベッドに入った……のだが、いつもとは違う香りが体を包み込んだり、フィーの寝顔が可愛くてつい見とれ、悶えたり。

 やっと意識が遠のいたのが丑三つ時を過ぎるくらいの時間だった。


 朝、顔に影がかかり目を覚ます、自分の体にフィーが覆い被さるように跨がっていた、何がしたいんだ?

「おはよう、フィー……何してんの?それと今何時」

 少しまだぼーっとするが大丈夫だろう。

 いつもより少し遅い時間だろうけど今日は休日だから大丈夫か……。

「ふあっ……あ~ああ、だめだまだねむいや」

 フィーは少しあたふたと慌てたあと何事もなかったかのようにベッドから降り時計を指差して言った。

「……七時過ぎてます、何時に起きる予定でしたか……」

 予定?予定では今日花見に行くんだった…時間的には五時起きしてお弁当の準備と少し可愛らしいお化粧したり……。

 ……七時…過ぎ?

「カンペキに寝坊だぁぁぁあああ!!何が大丈夫だぁぁぁあああ!!」

 昨日テンションが上がり過ぎて夜眠れず朝寝坊。この歳にもなって小学生みたいなことをやってしまったことを深く後悔した。

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