テンションアップダウン第二回続メイド時代
全力疾走をした次の日、筋肉痛になってしまった足を引きずりながら寮へと帰宅する。
昨日逃げてしまった為なんとなく行きづらくなり今日はサボった。
「部屋に帰ってもやること無いからなぁ……」
密かな楽しみに成りつつある部活、まだ入部して三週間位しか経ってない、それなのにサボってしまったことをやはり後悔してしまう。
「……久し振りにゲームでもするか」
高校一年の時点で勉強をすると言う選択肢が出て来ないのは少し問題がある気がする。
取りあえずポテチでも食べながらゲームをしようと、きゅるっと鳴ったお腹に答えるように歩みを速めた。
「ただいまーっと」
部屋に誰も居ないことを理解しつつも、ついつい呟いてしまう。
部屋は夕日で染まり机の上のメイド服も朱に染める。
「……?」
部屋は夕日で染まり机の上のメイド服も……。
何故か昨日のメイド服が置いてあった。
「…………」
可愛い、凄く可愛い、とにかく可愛かった。
今この時間にこの部屋を訪れる生徒は居ないだろう、ならば……。
……着たとしてもバレないだろう。
ボクは鞄を床に落とし、着ていた制服を脱ぎ捨てる。
パンストを履きエプロンドレスに袖を通す。
「後ろのファスナーが……閉まらない」
「『上げてあげるよ』」
「ありがとうございます吠天先輩」
部屋に置いてある全身鏡の前に立ち見てみる……。
「……いんじゃね?」
「『やっぱり似合ってるじゃない!』」
「先輩も思いますか!」
「『もちろん!』」
「…………」
急いで後ろを向き、背後に立っている人を視界内に捉えようとするが……誰もいなかった。
「吠天先輩が居たような……気のせいか」
取りあえず何事も無かったかのように鏡に向き直り自らの姿を観察する。
「…………」
おもむろにスカートの端を摘まみ、挨拶をするような感じで一言。
「お帰りなさいご主人様!」
どこから出るのか不明な甘ったるい声を出し満面の笑みで可愛らしく言った。
「「『ぶっ!』」」
…………。
部屋の扉の前に行き開ける。
「「『…………』」」
「…………」
四人が全員、満面の笑みで見ていた。
「っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
今の心境を一言。
「……終わった」
メイド服@憧れ属性に続く……。