テンションアップダウン第二回メイド時代
「時代はメイドだよやっぱり!」
突如として訳が分からない頭の可笑しな発言をする海苔ちゃん。
「何言ってんの?先輩みたいに可笑しくなっちゃった?」
「誰が可笑しくって?」
「先輩が」
真横に座る先輩はボクの頬を引っ張ってくる……。
何故かメイド服を着ていた。
「先輩、まだ海苔ちゃんの発言に対するツッコミが終わってないのにボケないで下さい、目障りです」
「……なんか今日は何時にも増して毒舌ね」
この状況なら普通に考えてそうだろう。
「無理やりメイド服をボクに着せようとしないで下さい」
「こんなに可愛いのに着ないなんてもったいない!」
確かにこのメイド服は可愛かった、フリフリのいっぱい付いたエプロンドレスタイプのメイド服だ。ちなみに持ち主は先輩だ。
「何で先輩の家で使うメイド服をボクらが試着しないといけないんですか?」
一応言っておくが先輩の家は結構なお金持ちである(父親が政治家だった気がする)。
「だってメイドさん達の邪魔をしちゃいけないじゃん」
「当たり前ですよ!」
当たり前なことに当たり前なツッコミをする。
「いいじゃない減るもんじゃないんだし」
頬を膨らませながら抗議してくる、普通にしてれば可愛いのに。
「減るものもないんだし」
「それはどっちに対してですか?体重ですか?胸ですか?」
顔にきれいな花を咲かせながら言うと、先輩はひきつった笑顔で首を横に振る。
「大丈夫よちゃんと胸パットがあるから!」
「胸が小さくて悪いかぁ!」
「いいから着なよ、ハリーアップ」
既にメイド服に着替えた海苔ちゃんがうざい感じの英語で言ってくる。
「絶対に嫌!!」
「……何で?」
ガーターベルトを装備したフィーが下着姿で隣に座っていた。
「毎度の事ながら静かに隣に居るのは心臓に悪いなぁ」
「……そろそろ慣れて欲しい」
慣れる事は無いだろう。
「『やっぱり、着るべきだよねみんなで!』」
「さっきから静かにしてたのに一番うるさい人が喋り出したよ!」
一番厄介な人がメイド喫茶のチラシを片手に近づいて来る。
「嫌だって言ってるだろぉぉぉおおお!!!……逃げるんだよぉぉぉおおお!」
部室の扉を蹴り開け廊下に飛び出す。
「「『待てぇ!』」」
寮までの帰路を全力で駆けていく。
続メイド時代に続く……。