12/53
テンションアップダウン第二回お弁当2
帰ってきた時の第一声は謝罪でした。
「ごめんね、今日のお弁当、あれはふざけすぎたわ」
「えっ!あっ……はい」
「お詫びと言っては何だけど明日のお弁当に好きな物を入れてあげるよ!」
「はぇっ!?……ありがとうございます」
「明日のお弁当を楽しみにしててね!」
「…………」
「昨日とは百八十度対局な態度に一瞬土肝を抜かれましたよ」
「それで……肝心のお弁当の中身は?」
「怖くては確認不可能ですよ……」
「そこまでビクつくことはないよ……あの人もちゃんと好きなものを入れてくれているはずさ」
「……そうですね」
いくら口が悪くても同じことをそう何回も繰り返すほどあの人も愚かではないだろう。
「じゃあ……いただきます!」
自分の好物を思い浮かべながら蓋を外す。
「…………はっ?」
中身は子供の大好きな料理ナンバーワン。
「カレーかよチキショウ!」
冷めきったカレーがご飯すら入っていない状態でなみなみ注がれていた。
その時脳裏に寮母さんのほくそ笑んでいる顔がよぎった……。