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テンションアップダウン第二回忘れ物

「……んぱい」

「…………」

「……せ…ぱい」

「…………」

「…………先輩!」

「ぬえっ!?」

 突然の大声に意識はそちらを向く。

「何?どうしたの?フィー」

「……やっと止まってくれました」

 フィーの言葉の意味を計りかねて小首を傾ぐ。

「……話しかけても黙って足を進めてるから」

 そこでようやく今の今まで自分が何をしていたのかを思い出す。

「……私に気を使ってくれたのはありがたいですが、私はもう平気ですよ……今の状況に比べたら」

 今の状況。

 あの場所からフィーの腕を掴み屋上まで引きずってきたのだ。

「ごめん!つい……」

「……どうかしたんですか?」

「あいつ等の顔を見たら一年前の事を思い出したんだよ」

「……先輩があのとき救ってくれたんですよね?」

「正しくは違うけどね」

「…………」

「…………」

 何かを考えながら二人で黙ってしまう。

 先に口を開いたのはフィーだった。

「……先輩、みんな待っていますから…」

「そうだね……戻ろっか」

 今度は掴むではなくしっかりと握り、二人並んで屋上から出て行った。


「遅かったね二人とも」

「なかなか買えなくて」

「……買えなくて」

 机の上に買ってきた物をぶちまける。

「そんな君に朗報だ!」

「ボクにですか?」

「これなーんだ」

 先輩が背中に隠していた物を出す、それはとっても見たことがある重箱。

「ボクのお弁当!?どうして!」

「はい手紙!」

 答える代わりに手紙を渡される。

 不思議に思いながら手紙を開く、内容は死の匂いが立ちこめるような感じだった。

「折角の弁当を忘れる女は死刑だぞ!……えっ」

「寮母さんから」

 カチンと場の空気が固まった。

 寮母さんを学校内で知らないのはモグリ。

 ボクが明日の朝日を拝めるかについて真剣に考えているときに、先輩は満面の笑みを浮かべながら一言。

「グッジョブ!」

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