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テンションアップダウン第一回取り敢えず人物紹介

 暇な時に語る話は大抵無駄、無駄に酸素を使うし時間も使う。

「だからみんなで花見でもしましょ、来週の日曜なんてどう?」

 しかし話しかけられている場合はしっかり相手の話を聴かないと会話について行けなくなる。

「すいません、何の話ですか?先輩に彼氏ができない理由ですか?」

「違うわよ!てかできないんじゃなくて作らないだけよ!」

 先輩はいかにも怒ってますといった感じの顔になり絵を書いている途中のスケッチブックを乱暴に閉じた。

 さっきから先輩先輩と言っているがもちろん本名ではない、むしろ先輩という名前の人がいたら驚きだ。

 一応言うが先輩は女性であり、名前は雨月マナ (あまつきまな)。

 ボクより一つ歳が上、今年で十八歳だが同学年。そしてボクらの部活で部長をしている。

「だから花見をしようって話」

「整理整頓ができない、わがままだし、すきだらけだし、それに…」

「何の話をしてんの!?」

「彼氏ができない理由について考えられる可能性を挙げているんですよ」

「余計なお世話よ!てか最後のすきだらけってなによ!」

 またまた不機嫌になった。

 そこでガチャガチャと扉の方から音がした。

「やっぱりここにいた!」

 また無駄に元気な奴が…。

「勝手に人の部屋に入って来るなよ海苔ちゃん」

「だって一緒に帰ろうっていったじゃない」

「だからって勝手部屋に入って来るなよ、しかも鍵を掛けてたんだから無理に入ってくるなよ!」

 こちらが怒っているのにもかかわらず彼女は自信満々に「このぐらいの鍵を開けるのなんて私にとって朝飯前なのだよ」と言ってくる始末だ。

 彼女の名前は磯川原宇美(いそがわらうみ)ニックネームは磯とうみと言うことで海苔ちゃん。ボクと同じ歳の同学年。

 放課後のボクの部屋、先輩の美術の課題に付き合っているというだけのはずなのに部屋の人数はあっという間に4人になった、本当に嫌になる……4人?

「なんでフィーまでいるの!?」

 ボクのベッドの上でちょこんと座っている少女の存在に度肝を抜かれた。

 フィールガルシア・リ・ヒルデガルデという名前の彼女、みんなからはフィーの愛称で呼ばれている。銀色でロングな髪の毛、それはまるで高級なお人形を連想させる容姿、ボクのお気に入りの一人だ!

「……独りは嫌です」

「ごめんねフィー、でも先輩がどうしてもボクの部屋で絵を書きたいって言うから…」

 部屋にフィーがいたら確実に先輩はフィーも巻き込むと思う。

「……でも独りは嫌です」

 フィーはそう言うとベッドから降りボクにしがみついてきた。やっぱりフィーはかわいいな~、柔らかいし、いい匂いもするし。

「ごめんねフィー」

 よしよしとボクの胸に押し付ける形になっているフィーの頭を優しく撫でてやる。

「なんでそんなにフィーちゃんには甘いの!?しかもフィーの説明だけ長い!!!」

 海苔ちゃんは頬を膨らまして抗議してくる。

「だってフィーは可愛いし……」

 お前がうざいとは言わない、それがボクの優しさだ。

「フィーちゃん!いつまでもベタベタしてないで離れなさい!」

「フィーにあたるなよ」

「だってだってだってー!」

 今度はジタバタと暴れ始めた、ガキか?こいつは。

「……ごめんなさい、でも……。」

 そこでフィーは一呼吸置いて。

「でも私はこの平らな胸が大好きだから」

 その一言に場の空気が固まる。

「わっわたしはこれで!まっまた後で来るから」

 ボクの異変を素早く察知した先輩はそそくさと荷物をまとめて部屋をあとにした。

「わっ私もこれで!…ひっ!!」

 ボクにいきなり肩を掴まれて悲鳴をあげる。

「……誰が」

「落ち着いて!!」

「誰が胸が小さくて男みたいだ!ボクは女だぁぁぁあああ!」

「誰もそこまで言ってないよぉぉぉお!ひいっ!、フィーちゃんも何とか言って…ってもういない!?」

 ボクは何か言っている海苔ちゃんに向かって腕を伸ばす。

「誰が男だ誰が男だ誰が男だ誰が男だ誰が男だ誰が男だ誰が男だ誰が男だ誰が男だぁぁぁあああ!!!」


 ボクらが通っている聖ヒルデガルデ学園は全寮制の女学校だ。だからボクももちろん女の子だ!女の子のはずなのに……。


「落ち着いてぇぇぇえええ!!」

「巨乳は黙れぇぇぇえええ!!」


 これがボクらの日常……かな?

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