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ひだまりの国 神々の島  作者: 白波
第1章 上陸
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第3話 島に伝わる伝承を聞きました



 その昔、この島がまだ、寒くて、氷に閉ざされていたころでした。


 当時、大陸には現在と同じように巨大な帝国があり、その国から逃れてきた人々がこの島々を見つけて移り住むことにしました。


 しかし、大陸のすべてを自らの手中に収めた帝国軍は、海を渡ってこの島に進攻してきました。


 その時です。


 空から舞い降りし神々が大きな壁で帝国がある南の大陸とこの島々の近くにある北の大陸の間に巨大な壁を作り、世界を二つに分断したのです。


 すると、氷に閉ざされていた島々に明るい光が灯り、島が明るくなっていくではありませんか。


 こうして、この島々は、一年中温暖な気候となり、南の大陸の人間は、この出来事からこの島々を神が住まう神々の島だと呼び始めたのです。






 伝承を語り終えたおばあさんは、温かいまなざしで私たちを見ました。


「この壁は、帝国が衰退してなくなったとされておるが、最近復活したらしいのう……どうやってこちらへ来なすった?」


 どうやら、おばあさんたちは、私たちがあの壁を超えられたという点に疑問を抱いたうえで、あの話をしたようです。

 私は、これまでの経緯を正直に話しました。


「なるほど……アトランタか……」

「知ってるんですか?」

「えぇ知ってますとも……成立以来、どこの国の侵略も受けず、どこの国からの干渉もなかったにもかかわらず、信じられないほど急激に発展していて、一部の人間は存在しないのではとまで言っている海底国家アトランティス……いくつかある海底都市の中で、南北の壁の下に存在し、ひときわ大規模なアトランタはその国の首都とされておる」


 おばあさんの話が正しければ、あのような海底都市はいくつも存在していて、あの都市にこちらから見て異世界の国……日本が関与しているようには見られていないようです。


「首都アトランタは、壁が出現したときに通行できる知る人ぞ知る交通の要所だった時期もある。今となっては、その存在自体を知らないものもかなり多くて、アトランティス自体も忘れられた国家とも言われておるぐらいじゃ」


 忘れられた国家アトランティス。そして、その首都にあたるアトランタ。

 そのはずなのに、トップ6なる組織は、そんなアトランティスにも干渉し、それを外部に気づかせていないということなのだろうか?

 トップ6とは、いったい何者だろうか……


「もうすぐ、神々の祝福を願う祭りが開かれる。その祭りが終わるぐらいまで島におったらよいじゃろう」

「わかりました。そうさせていただきます。貴重なお話ありがとうございました」


 ヴァーテルが、おばあさんに軽く頭を下げ、竜也や私も同じように頭を下げる。

 唯一、アウラだけは、話の途中で寝てしまったらしく、ヴァーテルがおんぶする形になった。






 ヤシの実が生い茂り、きれいな夕日が海を赤く染めていく中で、私たちが海辺をしばらく歩いているといつの間にやら、アウラが起きていたようでう、眠そうにまぶたをこすっていました。


「あれ? ここは?」


 アウラは、きょろきょろとあたりを見回しています。


「おばあさんの家を出て少し歩いたところにある海岸よ」

「そうなんだ……」


 起きたものの、アウラの目はとろんとしていていかにも眠そうでした。

 長い期間にわたる船旅は、少なからずアウラには負担になっていたようです。


「今日は、早めに宿に行こうか」

「うん……」


 私たちは、今夜宿泊する宿を探すために島で一番発展している港のほうにに行くために来た道を戻ることにしました。

 この時、島の中でくすぶっていた争いの種が大きな分裂を引き起こそうとしていたのです。



 読んでいただきありがとうございます。


 これからもよろしくお願いします。

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