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ひだまりの国 神々の島  作者: 白波
第1章 上陸
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第2話 島に上陸します



 船に乗り続けてどのくらいの時間が経ったのでしょうか?

 陸地が見えないという日々が何日も続いていたそのときでした。


「牡丹! やったぞ、島が見える!」


 竜也がやや興奮気味に言いました。

 竜也が指差した方を見ると、確かに島影と思われるものが見えました。


「本当に島なの……」

「たぶん間違いない。おそらく、神々の島ってやつだろう」

「あれが……」


 少し時間が経って、島がはっきりと見えて来ても、それが何か特別な島には見えませんでしたが、それは上陸するまでは分かりません。

 私は、そう考えていました。






 やがて、約半日かけて島が目の前にやってきました。

 どうやら、周辺は列島になっているらしく、見えていたのは一番南の島だったようです。


「まっ神々の島っていうのも案外南の大陸(こちら)の人間が勝手に考えた伝承だろうからな……実際に行ってみれば、普通の島だなんてよくあることだろうな」

「そうね。それでも、島に上陸できるという意義は大きいから、しばらく休んだら出発しましょう」

「そうだな」


 ヴァーテルは、船室のほうに歩いていきました。






 私たちを乗せた船は、ゆっくりと港に近づき接岸しました。

 船から降りると、そこにあるのはどこにでもありそうな普通の島でしたが、文化の違いなのでしょうか? 大陸の町とはまた違った雰囲気がありました。


「随分と変わった建物だな」


 ヴァーテルは、もの珍しそうに周りを見回します。

 石造りの頑丈な建物か、ナデシコなどの町に多く見られる木造建築が多い大陸と違い、この島の建物は、白い壁がまぶしく、簡易なつくりの建物が多いという印象を受けました。


 もう一つ疑問があるとすれば、ずっと北に向かっているはずなのに海底都市を出た時点から、急に暖かく温暖な天気が続いていて、ヤシの実と思われる木々が砂浜に沿って立っているのを見ると、ここは一年中暖かい南国なのでは? と思います。


「それにしても暑いな」

「そうね。旧王国領とはまるで真逆ね」

「そうだね」

「アウラは、暑くても大丈夫だよ?」


 珍しいのは町並みだけではありません。

 寒い気候だからという理由で、人々が厚着をしている旧王国領とは対照的にこちらの人々は、薄いアロハシャツに似たような服を着ています。


「あんたら、外から来た旅人さんかい?」


 突然、道端にいたおばあさんに声をかけられました。


「はい。そうですが」

「そうかいそうかい。だったら、この島の伝承に興味があってきたのかな?」


 おばあさんの横にいたおじいさんがそういったのです。

 この言葉からすると、この島には、旅人の興味を引くような伝承があるということでしょうか?


「神々の島……俺の出身地では、こっちの島のことをそう呼んでいる」

「あんた。南の大陸の人だったのか!」


 おばあさんが、目を丸くして驚いています。

 やはり、例の船が進めなくなるという現象のせいで、南からの人は少ないということなのでしょう。


「そうか……フェラ帝国から……」


 おばあさんがつぶやいたフェラ帝国というのは、牡丹が最初に流れ着いた旧王国領を含む大陸全域を領土とする強大な帝国です。

 帝国は、いまだに南の島や大陸へ侵略戦争仕掛け、いまだにいくつかの国と戦争中だと聞いていました。


「まぁ私の家に来なさい。話はそこで……」


 おばあさんとおじいさんは、立ち上がってすぐ後ろにある家に入っていきました。

 私もみんなも伝承とやらに興味がわいてきたので、おばあさんの家に入っていきました。






 家に入ると、風通しがよくなるように建築されているのか、外の暑さの割に涼しいという印象を受けます。


「さて、まずはこの島に伝わる伝承の話からしましょう……」


 おばあさんは、静かに語り始めました。



 読んでいただきありがとうございます。


 これからもよろしくお願いします。

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