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ひだまりの国 神々の島  作者: 白波
第1章 上陸
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第1話 ひたすら海が続きます


 ひたすら海だ。

 目の前に広がる大海原を前に私、北上(きたがみ)牡丹(ぼたん)はため息をつく。


「ねぇお姉ちゃん。どこまで海なの?」


 こんな質問を投げかけてきたのは、私の旅仲間の中で最年少のアウラ。

 初めて出会ったとき、短めに切りそろえてあった茶色の髪の毛は、今となっては腰ぐらいまで伸びていた。


「海はね、ずっとずーと遠くまで続いているのよ」

「それだと、海の向こうを見てみたいっていうと、ずっとこんな旅が続くの?」

「そういうわけじゃなくて、何かな……海の向こうにある島も大陸もみんな海に囲まれてるの。だから、海はずっと続いてるのよ。私は、海に浮かぶほかの島や大陸が見てみたいの」


 私がそういうと、アウラは納得しているのかいないのか、ふーん。なんて言っている。


「だったら、島が見えたらそこを旅して、また別のところに向かうの?」

「そうかもね…そして、いつかはあの大陸に戻って、また、陸の旅かしら……」

「うーん。アウラは、陸のほうが好き。だって、海の上だとほかの人に出会えないし……」


 アウラはとても不満そうでした。

 海底都市の一件もないとは言い切れないのかもしれませんが、アウラもまた、大きな不安を抱えているように見えました。


「牡丹。話がある」

「なに?」


 私に話しかけてきたのは、私と同じく日本出身の上代(かみしろ)竜也(りゅうや)。彼は、いたって真面目な顔をしていた。


「トップ6のこと。どう思う?」

「みかんの言ってたやつらね」

「そう。あの言い方だと、あかねさんの一件にも関係があるとみて間違いないと思う。僕としては、牡丹がトップ6に狙われる理由としては、スティーリアとの件が関係あると思うんだ」

「スティーリア?」


 なぜ、そこで彼女の名前が出るのでしょうか?

 そもそも、彼女の目的は旧王国の復興のはずですが、その目的のために委員会が設置されていて、活動自体はそれで十分だったように感じます。


「スティーリアの窮地に陥るという言葉には、もっと別の意味があったと思う」

「どうして?」


 私は、思わず聞き返しました。

 どう考えても、あの言葉には、別の意味があるようには感じません。


「よく考えてみろよ。常務委員との戦いにおいて一番活躍したのは誰だ? お前自身だろう。牡丹の力があって始めてあそこまでできたんだ。あのスティーリアがそれをわかっていないはずがない」


 竜也がそこで一息つき、こう続けました。


「つまり、あかねさんが何かしらの理由で、トップ6について調べていて、その妹として警戒されていたお前が、スティーリアのところに来ることが相当不都合だったんだ。大方、スティーリアに何かしらの援助でもしてたんじゃないのか?」

「ようするに、私は奴らが支援していた計画をつぶしたことで、完全に敵視された……そういいたいの?」


 竜也は、無言でうなづいた。

 そうなると、完全に逆恨みというかなんというか……理由が何にしろ、気を付けるに越したことはありまえんが……


「それでだ…なぜ、お前を海底都市に閉じ込めようとしたのか……これもまた、単純な推測ができる」

「たとえば?」

「奴らが計画しているのが、あれだけではなく……いや、強いて言えば、スティーリアのようなやつを利用して、何かしらの計画を実行しようとしているんじゃないか?」


 竜也の憶測は、かなり行き過ぎている気がしますが、そうなってくると、ますますトップ6の目的が分からなくなってきました。お姉ちゃんの名前が出た時点で、大陸で何かしらの権力を持った裏組織ぐらいの認識はありましたが、これは少々飛躍しすぎな気もします。


「とりあえず、気を付けたほうがいいと思うよ。たぶん、奴らの力が及ぶ範囲にいる限り、相手は何かしら仕掛けてくる可能性が高い。その力とやらがどこまで続くかはわからないけど……」


 その時、どこからか吹いてきた海風が、二人の間を吹き抜けていきました。



 読んでいただきありがとうございます。


 これからよろしくお願いします。

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