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Ⅲ.蒼月の館と許可と条件とイベントと


―場所は王城【(そう)(げつ)の館】、謁見の間―



「やぁ!いらっしゃい、鏡夜、幻夜。いや、【鏡の双子】と言った方がいいかな。」


「空国王陛下におかれましては、ご機嫌麗しく。」


「どうも~!ソラ王~!失礼しまぁ~す~!」


悪戯気に話す国王に鏡夜は恭しく一礼し、幻夜はシュタッと敬礼のポーズをとってニカッっと笑う。


「堅い、堅い、堅いよ、鏡夜!もっと楽にして!幻夜は軽いよ!まぁ、オレは気にしないからいいんだが……。」


ソラ王は苦笑し、しばし双子と談笑する。



鏡夜と幻夜の二人を出迎えたのは、二人が所属する“月夜国”の王、

【蒼空の君】天津 空だった。


キャスケットの様な帽子を被り、白と蒼の中華風な衣裳、その上に蒼穹とそこに浮かぶ白い雲をイメージさせるような着流しを動き易い様に改造したような服に、下は長ズボンを穿いた、髪の長さが肩より少し短いくらいの黒髪で、中性的な、悪戯好きの猫の様な顔をした、二十代前半くらいの若い長身の男である。


「それで、今日は何の用で来たんだい?何か用があって来たんだろう?」


「さっすが、蒼い王様だ~!実はね~」


「今度、私達の千歳の誕生日の記念に、私達の能力を使った、【鏡の双子の異世界ツアー】というイベントをやりたいと思いまして。」


「主に誕生日プレゼントで、能力強化とイベント開催券貰ったし~、それも使ってね~」


「そうしましたら、結構な大規模のイベントの企画が出来上がりまして・・・」


「大きなイベントは王様、つまり、空王の認証が必要だって聞いたからさ~」


「「許可ください」~」



鏡夜と幻夜の二人は、深々と一礼をする。



「・・・券を見せてみろ」


「「どうぞ」~」



二人は王に券を差し出す。



「ふ~ん。ふむふむ。なかなかどうして、よく考えられているじゃねぇか。それにとても面白そうな内容の催しだな。よし、許可を出してやる。」


空王がそういうと双子は、パァッと顔を輝かせて、声をそろえて礼を言う。だがしかし、


「まだ礼を言うのは早いぜ?」


「「えっ?」」


空王は悪巧みをするような表情で笑っている。


「鏡夜、幻夜。君たちのイベント企画は、とっっっても、と~~~~っっても、大掛かりな企画内容だ。それは勿論わかってるよな?」


その言葉に双子は肯定の意を示す。


「だ・か・ら」


「オレも混ぜて?というか、君たちのそのイベント企画に参加させてくれ。監察とか、その他諸々の為に。それが今回、許可を出すための条件。それになにより、その企画、とっても楽しくて面白そうだしな。」



幻:「えっ?」


鏡:「ハァッッッ!?何言ってやがるんですかっっ!?あきらかに、最後のが本音でしょうが!?それにあなたは王でしょう!?仕事はどうするんですか!?その他の仕事は!?貴方が居なかったら一応、書類とか色々と沢山溜まりますよね?しかもこの頃、人口が急激に増加したって御聞きしましたよ!?そのことについてだって仕事もある筈ですよねぇ!民の生活よりも自分の楽しみを優先してもいいんですか?そのことについて如何(どう)お考えなんですか?ねぇ、陛下?」


鏡夜は空王に早口でまくし立て、最後に黒く笑うが、空王には全く効き目がないようだ。ソラ王はニコニコ笑っていう。


「大丈夫♪大丈夫♪最近生まれた、(おう) 紅葉(こうよう)っていう、王の代行が出来る程、とっても優秀で、賢い宰相君が居るからね。それに対策もちゃんと用意してあるし、ね(黒微笑)。だから大丈夫だ。オレが抜けても問題なし。まぁ、最近つっても、生まれたのは二百年くらい前だけど・・・。(ボソッ)」



鏡&幻:「(二百年前が最近って・・・)」


空:「うるさい。で、条件呑むの?呑まないの?」


幻:「元からぼく達には拒否権なんてないし」


鏡:「仕方がないのでその条件、呑みますよ。全くもって、不本意ですけれどね。」


空:「よっしゃーーー!!勝った!!そんじゃあ判子押すね~♪フン~、フフ~、フ~♪」


空王は鼻歌を歌いながら、イベント開催券に印璽を押し、それを鏡夜に渡す。


空:「そんじゃ、イベントの主催、頑張ってね。あ、それと言い忘れてたけど、二つ名襲名と誕生日おめでとう。(ニコッ)」


鏡&幻:「「本当にありがとうございます!(一礼)」」


そういって、双子は自らの能力で鏡をつたって帰って行った。




「バイバーイ。・・・あ~あ、帰っちまったよ。さてと、どうしよかっな~。」


「どうしよっかな~、ではありません。捜しましたよ?陛下。」



空王の横の方から突然、男の美声が聞こえた。何故かそこはかとなく、黒いオーラと冷気がそこから漂ってくる気がする・・・。



空:「((-_-;))」



空の体からは、冷汗がとめどなく、だらだらだら、と流れ出る。



「ねぇ、聞こえていますよね?陛下。」



その声に空王は若干顔を蒼くして、ギ、ギ、ギ、と効果音が付きそうな様子で、ゆっくりと振り返る。


空:「や、やぁ、桜宰相。ご苦労様です。」


宰:「ええ、まったくです。誰かさんのせいでその苦労が普段の何倍にもなってしまいましたよ。さて、陛下?・・・仕事を途中でほっぽり出した事に加え、先程の双子とのお話も、お聞かせ願えませんでしょうか?(黒笑)」


空:「えっ・・・と・・・、(^_^;)」


宰:「(にっこり)」



・・・・・・・・・・・・・・・・・。


¬―――*―――*―――*―――




空:「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!!」





―――*―――*―――*―――



その日、空王の悲鳴が月の国の首島【月の島】中に響き渡った。



―――*―――*―――*―――




―次の日の朝方、月の島大広場にて―






黒髪に、茶色っぽい黒色の目をした、とある青年は、広場中央の噴水の傍にある、巨大な掲示板を見ていました。



?:[へ~、〔〈〈【鏡の双子】による異世界ツアー〉〉。異世界を旅してみませんか?貴方をありとあらゆる異世界へ、貴方が望む異世界(?)へとお連れ致します。先着百名様無料!他、御一人様に付き、参加費千ルア。受付期間は一週間。受付終了後、月の島広場にお集まりくだされば、私達、【鏡の双子】の能力をもって異世界へお送りいたします。なお、このイベント開催期間は受付終了後~一ヵ月間のイベント開催となります。注意:参加者は十五歳以上の方に限定します。〕、か。とっても面白そうだ。どうせ親ももういないし、参加してみ~よぉっと。]



青年は、掲示板に貼られている、〈〈【鏡の双子】による異世界ツアー〉〉と書かれたポスターを、指でつつきます。すると、青年の体の丁度胸の前辺りの空中に、蒼いノートとペンが現れ、その場に浮く。そして青年はそのノートに、自分の名前と年齢、自分の所属する種族などを書き、ペンをノートの書いたページに挟んで、ノートを閉じた。するとたちまちノートとペンは消えて代わりに《受付完了》の文字が浮かび上がり、やがてそれも消える。


?:[ふふっ。一週間後が楽しみだ。]


青年は、そう呟いて帰って行った。


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