表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

"甘甘"

掲載日:2026/04/30

「なんて事するんですか!」と、泣きながら引っ叩こうと思ったものの、職業柄か『ご主人さま』に手を出す事は出来なかった



白糖に生まれたものは、就ける仕事が少ない

自然界では簡単に捕食されるし、崩れやすい躰は(あら)ゆる仕事に適さない

仕事の際には家政婦の服なんかを着させられるし、少々の不満は有ったけど、僕は結局のところ幸せなのかも知れなかった


とはいえ僕の『ご主人さま』は、とんでもない男性だ

僕を家に迎え入れてからというものの、執務中の栄養源として僕を『捕食』する事をしょっちゅう繰り返して居る


僕は学の無い方だが、白糖だって恐らく人類種の筈だ

これは一種のカニバリズムであるように思えたが、僕の主人には、まったく倫理というものが存在して居なかった



「───おい」


ご主人さまは大きな書斎机で様々な書類に眼を通しながら、声だけで僕を呼ぶ


僕はその傍らまで急ぎ参じると、(ひざまず)いて袖をめくり、片手を差し出す

我が主は、感情の読み取れない瞳で僕を視下ろしながら、差し出された手の人差し指を口に含んだ



「─────〜っ!!!」


『生娘みたいにして』『いつになったら慣れるんだ』と叱責を受ける事もあるが、こんなものいつまで経っても慣れる気などしない

まして、僕の主人がこの後する事を僕は知って居る


口に含まれた指は、ぽりっ、という小さな音と共に僕の手から剥落し、直ぐに僕の悪辣なる雇い主の口腔の中へと消え、視え無くなった


彼は、こんな時だけ明確に僕の眼を視て、咀嚼を行う

顔には満足げな、そして嘲笑的な笑いが浮かんで居る


その眼で視られるたび、眼の端に涙が浮かんだ


きっと、羞恥によるものだった



僕が耐え切れなくなり顔を両手で覆うと

ご主人さまは僕の手首を掴み、乱暴に引き寄せた


衣服の肩が焦るようにめくられて

露わになった僕の肌に、ご主人さまが歯を立てる



「えっ………!?」


「えっ?あっ……あっ………」



『何してるんですか、このバカ!』と、いつもなら出る言葉が出て来ない


肩が齧られ、少しずつ崩れてぼろぼろになる


どれくらいそれを繰り返したろうか

僕の腕が付け根から折れて、躰を離れていった



切り離された腕はご主人さまの腕に抱きかかえられ、その指先の一つが()し折られ、僕の口に無理矢理押し込まれる


突然の事に呼吸がパニックを起こす



「何してるんですか……」



「…………このバカ」


暖かくて大きな、そしていたづらな腕に

それでも優しく抱かれながら


眼の端に溜まっていた涙が、そろそろ溢れ出し始めて居た

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ