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息も出来ない  作者: 月丘 翠
沙樹side
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こんにちは、図書委員②

「ちょっといいかしら」

望月さんは笑顔で声をかけてきたが、その瞳の奥は笑っていない。

美人ほど怒ると怖い。

私は断れるはずもなく、黙って望月さんの後をビビりながらついていくと、空き教室に入った。 

望月さんに促されて椅子に座った。


「あのー、、何でしょうか?」


「お願いがあるのよ」

「お願いですか」


「そう。図書委員と副委員長を変わってほしいの」


(やはりそうきたか)


「中学でも3年間副委員長されてたんでしょ?私よりあなたの方が向いてるわ」


沙樹は予想通りの発言に小さくため息をついた。

副委員長は本当にやりたくないが、ここで断ればこの後どうなるか想像に難くない。

高校生活を穏やかに送るためにはどちらを選ぶべきなのか、答えは明白だ。


(諦めるしかないか)


返事をしようと口を開いた瞬間、ガラガラと扉が開いた。


「浦田、今日図書委員の集まりあるらしいぞ」


早乙女が立っていた。

早乙女の登場に望月さんは驚いていたが、すぐに綺麗な笑顔を向けた。


「あら、早乙女くん。図書委員なんだけど、私と浦田さんで変わることにしたのよ」


まだ先は返事をしていないのに、変わってもらう気満々らしい。

早乙女は真っ直ぐ沙樹を見て、じっと顔を見てきたかと思うと、すぐに望月に視線を移した。


「望月、俺そういう面倒なの嫌だから」


そして沙樹を見ると、「絶対委員会サボるなよ」と言って去っていった。


その後望月はうっすら涙を浮かべて、走って出ていってしまった。


(なんてことしてくれたのよ…)


明らかに面倒くさいことに巻き込まれる予感しかない。

沙樹は今度は大きめの深いため息をついた。

でも頬は赤く染まっていた。


放課後に図書委員の集まりにいくと、すでに早乙女は席に着いていた。

隣に座ると、近くて心臓が飛び出しそうだ。

なんだか息も苦しい気がする。


委員会では図書館の貸し出しなどの曜日担当と本の整理の区分わけについて話し合いが行われた。

高3生は受験があるので、貸し出しなどは担当せず、どうしても他学年が対応できない時に対応するのがメインだ。

高2生は高3生から部活を任されていく学年なので、お昼休みの貸し出しを担当する。

そして何もない高1生が曜日交代で放課後の貸し出しを担当することになっている。

図書の貸し出しの混雑具合など今まで考えたことがなかったが、金曜の放課後が1番大変と言われているらしい。

土日で読む本を借りる人が多いので貸し出しはもちろん、どこに本があるのかなど質問も多いそうだ。

次は月曜で、返却ラッシュに合う。

ただ返却は急いで片付ける必要もないので、来る人が減ってからのんびり片付けることができる。

つまり、金曜と月曜がハズレだ。

委員長より毎年恒例のくじ引きが用意された。


「浦田、引いてきてくれ」

「え?私?」


それに返事することなく顎でくじの方を指し、引いてこいと言っている。

言い返そうとしても、目を閉じていて異論は許さないといった雰囲気だ。

仕方なく、くじを引いた。

全員が引き終わると、一斉にくじを開いた。


「本当にごめんね」

沙樹は早乙女に五度目の謝罪をした。


「だから、別にいいって」

「まさか金曜引くなんて」

「別に何曜でもいい」

「でも早乙女くんはテニス部のエースなんでしょ?部活動に影響が出るんじゃ」

「週に一回休んだくらいで変わるかよ」 


早乙女はそういうと部活動に向かっていった。

すごい自信家だ。

でもきっと実際そうなのだろう。

顔が良くて、勉強ができて、運動もできる、本当に嫌味な奴だ。


でもー


“絶対委員会サボるなよ”

あの時のセリフが蘇る。


(望月さんから守ってくれた)


沙樹は胸の高鳴りと息苦しさを感じながら、足取り軽く家路についた。

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