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息も出来ない  作者: 月丘 翠
沙樹side
4/15

よろしく、図書委員①

「早乙女様、何のリアクションもなかったね」


沙樹よりも真理の方ががっかりしている。

髪を切った翌日学校にいくと、他のクラスメイトからは声をかけらたり褒められたが、早乙女はちらりと沙樹を見ただけで何のリアクションもなかった。


「当り前じゃない」

そう返事しながら、がっかりしている自分がいる。

今日も早乙女は本を読んでいる。

入学して2、3日は早乙女に話しかける女子や男子はいたが、あの態度なので1週間もすれば誰も声をかけなくなっていた。

とはいえ、女子たちは遠巻きに早乙女様と見つめてはいるが。

あっという間に放課後になり、掃除をしていると、真理が声をかけてきた。


「沙樹、明日のLHRで委員会の担当を決めるって言ってたじゃない?」


「あぁ、そういえばそうだったね」


「早乙女様って絶対委員長タイプじゃない?」

「まぁ確かにそうかもね」


「沙樹、副委員長に立候補しなよ」

「え、やだよ」


「なんでよ、ずっと副委員長してきてたじゃない」


だから嫌なんだよ、と沙樹は思った。

沙樹は黒縁眼鏡で真面目で成績もそれなりによかったので、小学校からずっと副委員長をしてきた。

自分で立候補をしたことはない。

毎回誰かに名前をだされて、全員が賛成をするので、仕方なくやっていた。

委員長はなぜかいつも男子で、真面目な男子の時はいいが、ただ明るく人気者っていうだけで選ばれた男子は委員会はサボる、仕事は押し付けてくるで、本当にロクなことがなかった。

だから、副委員長なんて絶対にやりたくないのだ。


「今回は望月さんがやるんじゃない?」


望月蓮香。

名前からも滲み出ているが、彼女はかなりのお嬢様だ。

沙樹よりは少し成績は下になるが、優秀だ。

男子からの人気も高く、定期的に早乙女に声をかけることがある強者だ。


「望月さんね、確かに。あれは早乙女狙ってるもの、当然立候補してくるでしょうね」

「委員会が一緒になったからって仲良くなれるわけじゃないよ。私一回も仲良くなったことないもの」

これまでの経験から沙樹がそういうと、真理は分かってないと首を横に振った。


「それは沙樹に仲良くなる気がなかったからでしょ?いいの?望月さんに早乙女取られても」

「取られるも何も私のでもないわけで…」


黒縁メガネがコンタクトになって、髪が伸びただけから綺麗なセミロングになっても中身が変わるわけではない。

沙樹は箒にもたれながら窓の外を見た。

早乙女がジャージで校庭に出ている。

すでにテニス部のエースと言われているらしい。

あの顔で勉強できて、運動まで出来るなんて、自分とは生きてる次元が違う。

沙樹はため息をついた。


「まぁまぁ、私がいい作戦考えてあるから」


真里は沙樹の肩をポンと叩くと去っていった。

きっとロクなことじゃない。

沙樹はまたため息をついた。


翌日のLHRは予定通り、委員会を決める時間となった。

真理が離れた席からアイコンタクトをしてくる。

沙樹は大体何をするか察しがついたので、その作戦を潰すことにした。


「では、どの委員でもいいので立候補があれば言ってください」


先生の発言の後、真っ先に沙樹が手を上げた。

真理が驚いた顔で沙樹を見ている。


「図書委員に立候補します」


真理はきっと副委員長の候補に沙樹の名前を言うつもりだったに違いない。

立候補してないのに望月に負けるなんて告白してないのにお前のことは好きじゃないってフラれるくらい恥ずかしい。

それだけは避けなければと考えた時に、自ら違う委員に立候補すればいいのではと考えたのだ。


図書委員は、週に一度昼休みと放課後に貸し出し当番をしなければならないので、人気は低い。

おかげでスムーズに決まった。

昼休みと放課後の時間が減るのは嫌だが、恥をかかないために致し方ない。

その後、予想通り望月が手をあげた。


「副委員長に立候補いたします」


周りから「おぉ」と声が漏れ、他に立候補もいなかったので、そのまま副委員長は決まった。

そして体育委員、美化委員と順調に決まっていった。

そんな中、突然早乙女が手を挙げた。

委員長に立候補するのかと思いきや、意外な言葉がでた。


「図書委員希望で」


クラスから動揺の声が漏れた。

やはりみんな委員長は早乙女だと思っていたのだ。

「他に立候補がいなければ、早乙女は図書委員なー」と担任がいうと、望月が立ち上がった。


「早乙女くんは委員長がいいと思います」


周りも「そうだよなー」「早乙女様がやっぱり委員長よね」とあちこちから聞こえる。

「だそうだが、早乙女どうだー?」

「委員長には興味がないので」

早乙女がキッパリそういうと、「オッケー、じゃあ早乙女は図書委員な」と呑気な担任の声で図書委員に決まった。

沙樹は黒板に並ぶ、自分と早乙女の名前に恥ずかしくなった。


「やったね、沙樹」

帰り道に真理は沙樹以上にはしゃいでいた。

「嬉しくないの?」

「いや、そりゃまぁ嬉しいけど、あの後望月さんがすごい顔で見てたからさ」

望月は委員長に早乙女がなると思ったから立候補したのに、結局委員長になったのは丸尾という名前がぴったりの男の子だった。

「確かにね。あれは恨みこもってたよ」

「憂鬱だなぁ、、」

沙樹の予感は見事にあたり、翌日望月に呼び出された。

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