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【4】神官来訪と鑑定結果。


 レベッカのペットの豚になって、数日が経った。


 今日は魔法学園に通い始めてから初めての休日だ。


 僕は学校生活や侯爵家での生活に早くも馴染んでおり、『侯爵令豚こうしゃくれいトン』としての生活を大満喫していた。


「ブー!!!うんまいブー!侯爵家の料理は最高だブー!!!」


 そう言って僕は朝食のスフレパンケーキに生クリームと苺をたっぷりのせてハグハグと食べていた。


「ブーちゃん、こっちの厚切りベーコンとチーズの入ったオムレツも美味しいわよ。良かったら食べてね。」


そう言って、ニコニコと他の美味しいメニューも向いに座っているレベッカが勧めてくれる。

「ブー!ありがとうブー!頂くブー!!


 カッカッカッカッ。


 ぶ!うんまいブー!!!」


 この国、ムーンヴァレー王国は乙女ゲームの世界だからか、やけに日本に似通った部分が沢山ある。


 例えばトイレがウォシュレットだったり、醤油や味噌なんて物もあり、なんと米まで栽培されているのだ。


 田舎の方に行くと広大な水田があり、ビニールハウスまで設置されている。ビニールの原料はなんとスライムの粉末らしい。


 電波の代わりに魔素をキャッチして放送している『魔導ラヂオ』まである。映像を映し出す魔道具もあるらしいが、会議などで利用されているだけで娯楽用のものは後回しになっているとのことだ。


 この世界の人達は『魔素』というエネルギーを血液中に循環させて魔法を使っている、とレベッカが教えてくれた。


 まだまだ日本の科学技術までは追いついていないが、中世風の街並みの中にまるで日本のような快適さが融合している。


 ちなみに率先して生活に必要な魔道具を開発して来たのは王弟殿下らしい。僕は彼は日本からの転生者なのではないかと睨んでいる。


 ちなみに、この世界はご飯もすごく美味しい。


 ラーメンがこの国のソウルフードらしく大きな街に行けば、何店舗もラーメン店があるそうだ。


 高位貴族は大体首都ヴァレッタにタウンハウスを設けており、貴族の子女はそこから学園に通っている場合が多い。


 もちろん、寮に入っている子女も多いそうだけれどね。


 レベッカの父親のリュクス様は侯爵としての仕事と宰相職も兼務しているため、領地とヴァレッタのタウンハウスを行ったり来たりしている。


 大体の市町村には大小問わず教会があり、そこには転移陣がある。


 申請をすれば転移陣で遠くまで一瞬で移動することが出来る為、そこまでの不便はないとのことだ。


「そうだ。今日は教会からブーちゃんの鑑定をしに神官の方が来るのよ。


 貴方は二足歩行もするし、話せる上に、異世界の記憶もあるっていうじゃない?


 鑑定する事でどうしてこうなったか手掛かりが掴めるかなって思ってるの。


 だから、ラーメンを食べに行くのはそれが終わってからにしましょうね。」


そう言ってレベッカは僕の頬を撫で撫でする。


「ぶ!わかったぶ!!」


今日は初めての休日だったので、レベッカがヴァレッタの街を案内してくれることになっていた。


 …女の子と2人っきりで出かけるのなんて何年ぶりだろう。


 まあ、今豚なのが悲しい所だが。


 高校2年生の秋、一緒に学園祭を回った笑顔が可愛かったあの子は今は地元で有名な男好きになってしまったらしい。


 人というのは変わってしまうものである。


◇◇


「神官様。ご無沙汰しております。」

レベッカが挨拶をすると、神官の60代くらいのお爺ちゃんがホホッと笑う。


「これはこれは…!!レベッカお嬢様!素敵なレディになりましたな。」

 

そう言ってレベッカの胸をガン見している。


(こんのエロジジィッ!!!どこ見てるんだぶっ!!)


 そう思い睨みつけたが、見た目が可愛らしい子豚ちゃんなので全く迫力がない…。


 くっそぉ…。


「今日はこの子を鑑定して欲しくて。」


レベッカが笑顔でそう言うと、エロジジイは僕を小馬鹿にしたような顔で見て来た。


「ホッホッホ。これは随分と可愛らしいお相手ですな。」


 イラっとしたが、平静を保って挨拶をする。

「…ぶー。よろしくお願いしますブー…。」


やる気のない感じで返事する僕を尻目にエロジジイはテキパキと水晶のような魔道具を用意する。


「はい。じゃあね、ブーちゃんね、ここにね、手をね、翳してね。」


「…ブー…。」


エロジジイの子供に対するような態度にイラッとしっぱなしである。


 しかも僕に対してだけ、まるで路線バスの旅番組で、お勧めのメニューを聞く癖に当然のように違うものを頼む、漫画家のような話し方である。


「どうしたのっ?!ブーちゃんっ。なんだか瞳に生気がないわよっ?!」


そうレベッカに言われて心配をかけないようなんとか誤魔化す。


「…そんなことないブーよ。見るぶ!この曇りなき瞳をっ!(どろーん…)」


「ブーちゃん…!!めっちゃ曇ってる!瞳がどろーんとしてるわっ。」


レベッカが心配そうに見守る中、遠い目をしながら蹄を翳す。


 パアアアッ!!!


 その瞬間、水晶が輝いて文字が影となって浮かび上がる。



『ブー・ノーリッジ(12)⭐︎憑依者:佐伯ノブオ(19)Lv.8


貧乏な日本の大学生が憑依した豚。必ずポケットに乾燥わかめが入っている。学力は高い。野草を美味しく料理出来、生活力が高い。食いしん坊で人懐っこい。巨乳好き。

 好きな食べ物は焼肉と揚げ物料理。属性は『白』『黒』

【スキル】人化・抽出』


…ねぇ。この鑑定さ。


 女の子の前で僕の性癖を晒すのはやめてくれないかな?!


 巨乳好きって別に出す必要ないだろ!!


 何なんだよっ。もう。



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