表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/85

【3】木登りからの落下イベント発生!!


 休み時間になった。


「ちっちゃいねー!可愛い!」

「いつから侯爵家に住んでるの?」

「何か喋ってみて!」


とクラスメイトがワラワラ集まって来た。



 だが!!


 僕には大切なミッションがある。


「ブー。喋れるようになったのはつい最近ブーけどレベッカには10年以上前から飼われているぶ。


 それより!悪いけどブーには大事な任務があるんだぶ。『ミッション•イン•ブーポッシブル』だぶ!おーい、レベッカ。行くブーよ!」


そう言って、そそくさと輪を抜け出すとレベッカとヒロインのクラスに向かう。


「まずは、ヒロインのミーナの普段の行動を見に行ってみようブー。怪しい動きをしていたら冤罪などをかけられないように注意する必要があるブ!!」


「わかったわ。えーっと、ミーナさんはF組だったかしら。」


そう言ってレベッカが道を案内してくれる。


 トテトテトテトテ…。


 生徒達はすれ違う度に、ギョッとした顔で『豚が歩いてる?!』と言いながらこちらを見てくる。


 すると、中庭の木にヒロインのミーナが登っているのを発見した。木の先には猫がいる。


(…ブー…。多分イベントブーけど、実際に見るとアホにしか見えないブーな…。)


 猫を助けようとしているのだろうか?だが、それにしては挙動不審である。


 何人か生徒が集まって心配そうに見ている。


「…!大変だわ!落ちたら大怪我してしまうじゃないの!!」


そう言ってレベッカは焦っている。


「しょうがない!俺が助けに行く!」


 野次馬の中にいた筋肉がガッチリした感じの黒髪のイケメンが声を上げた。


 攻略対象者だろうか?


 だが、ここで素直にイベントを成功させる訳にはいかない!


「ちょっと待つブー。万が一あの男爵令嬢が変な所に落下してきたらあんたも怪我するぶーぞ。


 助けたいならちょっとブーを抱っこして木の近くに行くぶ。」


そう言って僕はそのがっしり系イケメンの元にトテトテ歩いて行く。


「お、おう、わかった。よいしょ、これでいいか?」


「大丈夫だぶ。ブーの背中側が上に来るようにしてくれぶ。」

そう言うと、丁寧に僕を抱っこしてくれた。


 その時、丁度ミーナが落下して来た。


「きゃあああああ!!!!」

「行くブーぞ!!!」


ぼん!!ぼん!!!ぼん!!!!


 僕がオナラをすると、その風圧でミーナの身体がフワリと浮き上がる。


「くっさ!でも凄ぇ!!!」


そう言ってガッシリ系イケメンは臭がりながらも感心している。


 そして、ミーナは臭がりながらフワッと安全に着地し、地団駄を踏んだ。


「もうっ!!!もう少しだったのに!


 あんたレベッカ様のところの豚でしょ!!なんで邪魔してくんのよ。」


その瞬間、猫も落ちて来た。


「おっと。」


そう言いながらガッシリ系イケメンがキャッチした。猫がゴロゴロと喉を鳴らしながら彼の指先を舐めている。


「ブーちゃん!!!無事で良かったわ!」

そう言ってハラハラした顔で僕の事を見ていたレベッカが抱きしめてくれた。


…むぎゅっ。


(…あー、役得だぶ。)


僕はクルリとミーナの方を向くと、ビシィ!っと蹄を向けてやった。


「ブー。『もう少しだったのに』ってことは、さてはわざと木に登ったブーね。


 危ない事をするのは良くないぶーぞ。猫を助けるなら直ぐそこにある用務員室で脚立を借りてこいぶ。」


そう言って仕上げにもう一発オナラをお見舞いしてやった。


ぼん!!!


「キャッ!!!」

命中してミーナが悲鳴を上げる。


「ぶ。愛の鞭だぶ。これに懲りたらもうアホな事をするのは辞めろブーよ。」


「くっさッ!本当信じらんない!覚えてなさいよー!!!」

そう言ってミーナは立ち去っていった。


 ポカーン。


 最初は驚いていたガッシリ系イケメンもやがてお腹を抱えて爆笑し出した。


「ハハハっ!おもしれぇー!!!


 笑いすぎてはら痛くなってきたっ。お前最高だわ。


 俺の名前はルイ•バルガン。B組だ。父親は騎士団長をしている。医術と武に力を入れている家系だ。よろしくなっ!」


そう言って僕の方に手を差し出して来た。


「ぶ。ブーはA組だぶ。ノーリッジ侯爵家で世話になっている豚だぶ。ブーって呼んでいいブーよ。宜しくブー。」


そう言って僕は蹄を差し出して握手をした。


 こうして、僕に()()()()()()()()()()が出来たのだった。


 ちなみにレベッカは飼い主なので友達とはまた違うと思う。


 まさか初めての友達が攻略対象だとは思わなかったけど、同性の友達が出来るのは素直に嬉しかった。


◇◇


「ほらっ!ブーちゃん!ジッとして!」

僕は恥ずかしくてバタバタと手足を動かす。


 わー!!!やーめーてー!!!!


「や、やめてブー!!お婿むこに行けなくなっちゃうブー!!!」


「逃げないのっ!今までだって、ずっと私がブーちゃんのこと洗ってあげてたじゃないっ!!!


 今日は中庭をいっぱい歩いて蹄に泥が付いたから綺麗に洗いましょうねー。」



そう。侯爵家に帰ると、僕はレベッカに無理矢理制服を剥ぎ取られ、裸にされていた。


 そしてショートパンツとTシャツのような形の部屋着に着替えたレベッカに身体を洗われていた。


 眼福眼福ぅー!!


 じゃなくてっ!


 大学生の僕が裸で2つ年下の女の子に身体を洗われるなんて色々と問題があるっ。


 しかも、素っ裸である。


 例え豚であったとしても、心の中は健全な19歳の男の子なのだ。


 でも…。


(…あー。気持ちいいぶ。ここがこの世の天国ブーか…。)


可愛い女の子にあったかいお湯の中でチャプチャプされるのは本当に気持ちいい。


 僕は、またしても人間としてのプライドがガラガラと崩れ落ちていくのを感じていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ