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野草料理が得意な貧困大学生、悪役令嬢のペットの豚に憑依する。  作者: 間宮芽衣(旧ブー横丁)
憑依&異世界生活編@ノーリッジ侯爵家

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【10】転送の魔法陣と絶品豚カツ


「さて、じゃあ行くブーか!なんだか今日はすっごく気分がいいブーなぁ。」


僕はルンルンしながらダンジョン一階層の出口の前に立つ。


 すると、魔法陣がキラキラ光っていた。ここに乗ると外に行けるらしい。


「おおっ!綺麗だぶっ。…これ、どういう仕組みブーかね?面白いから一応メモっておくブー。


 よーし、じゃあブーもご飯を食べに行くブーかね。お腹減ったぶっ。」


そう言って魔法陣の上に乗ると、周りの景色が白くなり、気がつくとダンジョン脇に着いていた。


「着いた方の魔法陣もメモっておくぶ。」


 この世界には日本にはない面白いものがたくさんあって興味深い。この魔法陣が日常的に使えるようになれば輸送や移動などに革命が起こるだろう。


 …まあでも、この魔法陣を改良した転送装置が未だに作られていないということは何か問題でもあるのだろうか。


 思考を巡らせながら歩いていたらふと気づいた。


 これ、歩くよりレストランまで飛んでった方が早いんじゃないかな…。


 僕はふわりと浮き上がると、レストランに向かって飛んでいった。


「凄いブー…!めちゃくちゃ早く移動出来るぶっ!」

気分はスーパーサ◯ヤ人である。


 ビューンと飛んでレストランの近くで降りると、

『ぶ、豚が飛んでる?!』と冒険者っぽい男女数人が目をひん剥いていた。

 

 すたっと着地し、レストランのドアを開ける。


 カランカラン…。


「いらっしゃいませー!…って!!豚?!」

ウェイトレスのお姉さんがビックリしている。


「ブー!!ちゃんとお客さんとして来たんだぶっ!待ち合わせブーけど女の人2人と男の人がさっき来なかったブーか?」


僕がそういうと、ウェイトレスさんは戸惑いながらも案内してくれた。


「わ、分かったわ。こっちよ。」


 トテトテトテトテ…


「ブーちゃんっ!!!」

僕が先を案内されると、レベッカが抱きついてきた。


「ぶ?!レベッカ、どうしたブーか?」


僕が戸惑いながら聞くと、ウェッジさんが答えてくれる。


「いやー、どうやらあの階層にゴブリンの巣が出来ちまってたらしくてよ。


 さっきまでそこにいた冒険者パーティーが教えてくれたんだ。


 通常のゴブリンはそんなに強くないんだが、ゴブリンキングやボブゴブリンだとめちゃくちゃ強えからな…。


 もし、ブーちゃんが遭遇してたらどうしようと3人で心配していたんだ。」


冒険者パーティー?あ、もしかしてさっきレストランの前で会った人達かもしれない。


「ブー、特に会わなかったブーよ?小麦粉ももう全部撒いちゃってたから会ってたらやばかったぶ…!!良かったブー!!」


そう言って僕が笑うと、ナターシャさんもホッとした顔をしていた。


「ブーちゃんが無事だとわかったら急にお腹が減っちゃったー!」


「そうね、皆さんの食事代は勿論侯爵家で持つので好きなものを頼んでね。」


レベッカがそう言うと、ウェッジさんとナターシャさんと僕は歓声を上げた。


 結局ウェッジさんはハンバーグ定食、ナターシャさんはミートドリア、レベッカはシーフードのトマトクリームパスタを注文した。


 うーん、僕は何にしようかな。食べたいものがありすぎて迷う…。


◇◇


「ブー!!!うまいぶうまいぶウンマイぶーーーーー!!!!!」


僕は結局豚カツを頼んだ。お腹がペコペコだったのでガッツリしたものを食べたくなったのだ。

 ご飯も勿論大盛りである。


「ぶ、ブーちゃんは豚なのに豚カツ食うんだな…。」


そう言ってウェッジさんは遠い目をしている。


「ぶ!大丈夫だぶっ。ちゃんととむらうぶ!!」


そう言って僕は鈴を付けた棒をアイテムボックスから取り出してシャンシャンした。


「ブーちゃん、なぁに?それー?」

ナターシャさんが困惑した顔をしている。


「ブっ。これはブーがいた世界で故人を偲ぶ時に鳴らす鈴だぶっ。これで心おきなく仲間の肉を食べれるブー!!!」


そう言って僕はガツガツと豚カツを食べる。


 うん、うまぁーいっ。


 衣はサクッと!豚はジューシーだし上にかけられているトマトソースも玉ねぎが入っていてとても美味しい。バジルのような味のハーブと塩胡椒で下味をつけている。


 上に粉チーズをかけるともうパラダイスである。 


「ぶ、ブーちゃんは不思議な感性の豚だな…。」


ウェッジさんは引いているが、レベッカはニコニコしている。


「まあでもそういうところがまた可愛いのよねっ。ブーちゃん、私のシーフードのトマトクリームパスタも食べる?」


「ぶ?!いいぶーか?!じゃあブーの豚カツも一切れあげるブー!」


そう言って一口ずつ交換する僕らを何故かナターシャさんとウェッジさんは生暖かい目で見ていた。


 デザートにはみんなでパフェを食べた。


 この地方ではクルミが名産らしく、キャラメルナッツのパフェをイチオシされた。


 結局僕とウェッジさんはキャラメルナッツパフェ、ナターシャさんはプリンパフェ、レベッカは木苺のパフェを注文した。


 バニラアイスクリームとキャラメルナッツと中に盛り付けられたクッキーと、最下層のコーヒー味のゼリーとムースがとてつもなくいい仕事をしていた。


 今度このダンジョンに来ることがあったらクルミをいっぱい収穫したいなぁ。


 僕は心の中で誓うのだった。



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