0003話 「輪〇・〇漬け」にされていたけど退院することが出来た元ヤン彼女とのこれからについて
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「あは、やっと、だな」
「ああ、迷惑掛けた。かなり」
「やっぱり別れる気は無いのか?」
「……お人よしだなぁ。そこが好きになったところだけどよ」
「今思うと、お笑いだよなぁ。何が『アンタが弱くてもアタシが守ってやる』だよ」
「心も身体も、結局アンタの方が強かった。アタシは、守られてばっかだ」
「見てみろよ、この腕。ヤクと入院生活で、こんなフニャフニャ」
「自嘲くらいさせてくれよ。これを言うだけでも、気が軽くなるんだ」
「まあ、こんだけ迷惑掛けて、まだ迷惑掛けちまうのはどうなんだって思うけど、アタシ自身は問題無いから、気を遣ってるんならそこは気にしなくて良い」
「勿論、嫌だって思うならなるべく止めるように心掛けるけど」
「アンタって本当優しいよな。また好きになる」
「そういや、聞いてなかったな。アンタはなんで、まだアタシのことが好きだって言ってくれるんだ?」
「アタシはそんな良い女じゃねぇよ。少なくともアタシはそう思ってる」
「愛着だけで考えるなよ。アタシは貞操をアンタ以外に許しちまったことも事実」
「元から愛嬌の無い顔だったけど、ヤクの影響もそうだし、殴られたのもそう、良くはねぇよ」
「色んなフラッシュバックを起こして、アンタを殴ったり、暴れたりもしちまった。これからももしかしたらあるかも知れねぇ」
「それでそんなことを考えてばっかで、『パニック障害』?だっけ。そんな状態にもなってる」
「アンタがアタシを求めるなら、アタシは貞操を2度もアンタ以外に捧げるつもりも無いけどよ、1回目は既に許しちまってる」
「筋力も衰えてるから実力行使されちゃ、前以上に抵抗する力は無い。それでも何で、傍にいてくれるんだって聞いてる」
「いや、憐れみでも、傍にいてくれるならって甘えた考えしちまうけどよ」
「そこにアンタの幸せがなきゃ、アンタが傍にいてくれることに意味なんかあるのかって……さ」
「『どうだろう』って、なんだよ。アンタが幸せになってくれなきゃ、アタシだってアンタの傍にいてても幸せになんかなれねぇよ」
「アタシのことなんて忘れて、愛せるヤツを探した方が、アンタは幸せになれんだろ。少なくとも、幸せになれる確率は高いだろうよ」
「アタシは……そうだな。こんなアタシを愛してくれるヤツか……確かに、分からないし、アンタ以外に優しくしてくれるヤツも、分からねぇけどよ」
「アタシはアンタの愛するアタシを守れなかった。それだけだよ」
「アタシみたいなヤツは血反吐吐いて生きていくのが、お似合いなのかもな」
「だから言ったんだ、『アタシのことなんて忘れろ』って。アタシのことが気になって幸せになれないなんて言うんならよ」
「……アンタ本当、お人よしだな。出来なくは無いと思うけどな、アタシは」
「アンタはアタシのために使ってきた時間が惜しいだけ知れないぞ? そこに愛着があるだけって、よくあることだろ?」
「だな。アタシはもムキになってた。アンタはアタシのことが好きで、アタシはアンタのことが好き。確かに必要なのはそれだけだな、多分」
「アタシはアンタのことを考えて、それでもアンタの意思ってのを不安に思ってたんだ」
「バカだよなぁ……。アタシはアタシを貫けなかったせいで、アンタにまで疑ってたんだ……」
「なんだよ、『バカなところも好き』って。おちょくってると殴るぞ?」
「良いだろ。筋力は衰えてんだ。錯乱してる訳でもないから手加減はできるからな、少なくとも今は」
「……あぁ、確かに。久しぶりに笑った気がしたよ」
「笑わせてくれたのに免じて〆るのは後にしてやるよ。筋力が戻ったら覚えておけよ」
「あと、そうだな。もっとアンタを笑わせられるように、頑張るとするよ」
「これからもよろしく頼むよ。アタシもいつか、アンタを支えられるようになるからよ」
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