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子供向けのお話シリーズ

カナはおねえちゃんになりたい

作者: 日浦海里
掲載日:2023/01/04

この作品は公式企画「冬の童話祭2023」参加作品です。


子供の成長は突然訪れます

前触れもない偶然に見えて

でも、子供たちにとっては

それは必然なのでしょうか


2023/01/06 00:15

ミオちゃんのセリフで

方言にできてなかった箇所があったので修正

4才(さい)になるカナには

姉弟(きょうだい)がたくさんいます。


来年(らいねん)、小学生(しょうがくせい)になる6才(さい)のお姉(ねえ)ちゃんサラ

おとうとで、今年(ことし)3才(さい)になるビス

それから今年(ことし)2才(さい)のタイガ。


本当(ほんとう)はほかにもたくさんいるのですが、

今(いま)は、この三人(さんにん)に

カナを入(い)れた四人(よにん)の姉弟(きょうだい)です。


あ、でも、ビスとタイガは

本当(ほんとう)はぬいぐるみなのです。

カナの姉弟(きょうだい)っていうのは

『せってい』なのです。


カナがおねえちゃんになってみたいことを

お母(かあ)さんが知(し)って

弟(おとうと)を作(つく)ってくれたのです。

本当(ほんとう)の弟(おとうと)は

ちょっとむずかしいって言(い)ってました


サラとカナは小(ちい)さなころから

ぬいぐるみにかこまれてくらしていました。

お母(かあ)さんが大好(だいす)きな

ねこさんのぬいぐるみ イノは

いつも旅行(りょこう)になると

お家(うち)のどこからか現(あらわ)れて

いっしょにお出(で)かけに行(い)きます。

お出(で)かけのときだけいっしょなので

今(いま)はどこかに一人(ひとり)でお出(で)かけ中(ちゅう)です。


小(ちい)さなどうぶつのお人形(にんぎょう)たちも

お家(うち)にはたくさんいます。


小(ちい)さなどうぶつのお人形(にんぎょう)たちは

いつもはお人形(にんぎょう)たちのお家(うち)で

ゆっくりお休(やす)みをしていて

いっしょにあそぶときにだけ

外(そと)に出(で)てきてくれるのです。


お人形(にんぎょう)だけじゃありません。

お母(かあ)さんがかいてくれる

お絵(え)かきのちっちゃな子(こ)も

よくお話(はなし)してくれました。


お父(とう)さんの指(ゆび)はときどきありさんになって

あそんでくれたりもします。


ぺしってたたくと

すぐぺちゃんこになるのですが

すぐに元(もと)にもどるので

なんどもたたいてあそんだりします。


サラもカナも

いつもそうやって

お家(うち)のぬいぐるみたちや人形(にんぎょう)たち

ほかにもたくさんの子(こ)たちと

いっしょにあそぶのが大好(だいす)きでした。


お父(とう)さんやお母(かあ)さんにしかられたって

ぬいぐるみたちとお話(はなし)していれば

元気(げんき)になることができました。


時(とき)にはお父(とう)さんのありさんが

よるにそっと

ごめんね

ってやってくることもありました。


そんなときは

ありさんをぺしってたたいて

ぺちゃんこにすると

いつのまにか、わらえていました。


ある日(ひ)、

二人(ふたり)はお家(うち)からとおくの場所(ばしょ)にある

お父(とう)さんのいもうとのお家(うち)に

あそびに行(い)きました。


二人(ふたり)がもっと小(ちい)さくて

カナが赤(あか)ちゃんぐらいのときにも

会(あ)ったことがあるらしいのですが

二人(ふたり)はちっともおぼえていません。


そのお家(うち)には

サラやカナより小(ちい)さな女(おんな)の子(こ)がいました。


名前(なまえ)はミオちゃん。


かみのけがくるくるで

おめめがくりくりで

まるでお人形(にんぎょう)さんみたいでした。


「サラちゃんもむかしは

 かみのけくるくるだったのよ」


とお母(かあ)さん。

カナは今(いま)もちょっとくるくるです。


かみのけがくるくるしてるのは

お父(とう)さんの「かけい」なのかもね


とお母(かあ)さんが言(い)っていました。


「かけい」は分(わ)かりませんが

兄妹(きょうだい)はにてるって

だれかがよく言(い)ってるので

きっとそういうことなのかな、と

カナは思(おも)いました。


ミオちゃんはとってもげんき。

両手(りょうて)でサラとカナの手(て)をつかんで

あそぼう、あそぼう、と

いろんなところにつれていってくれます。


サラにとっては新(あたら)しいいもうとが

カナにとってははじめてのいもうとが

できたみたいで

二人(ふたり)はとてもうれしくて

ミオちゃんといっしょに

たくさんたくさんあそびました。


おままごとをしたり

絵本(えほん)を読(よ)んだり


とくにカナは

いつもは年上(としうえ)の子(こ)ばかりで

年下(としした)の子(こ)とあそぶことがなかったので

はじめておねえちゃんになった気持(きも)ちでした。

だから、

ミオちゃんに「おねえちゃんとして」

色(いろ)んなことを教(おし)えてあげました。


でも楽(たの)しいときは

あっという間(ま)に終(お)わってしまいます。


サラとカナは

お家(うち)にかえる時間(じかん)になりました。


ミオちゃんはとてもかなしくなりました。


そして、


「どうして私(わたし)は一人(ひとり)やの?」


となきながら言(い)いました。


「サラちゃんとカナちゃんは

 これからもずっといっしょやのに

 どうして私(わたし)は一人(ひとり)やの?

 サラちゃんもカナちゃんも

 ミオ、ずっといっしょがいい」


ミオちゃんのお母(かあ)さんは

こまった顔(かお)をして


「でも、二人(ふたり)はかえらなあかんのよ

 ミオはお母(かあ)さんとおわかれしてもええの?」


「いや」


「サラちゃんとカナちゃんが

 ミオといっしょにいようと思(おも)ったら

 二人(ふたり)はお父(とう)さんとお母(かあ)さんと

 おわかれせなあかん。

 そしたら、

 サラちゃんとカナちゃん、かなしいよ」


ミオちゃんはしばらくだまった後(あと)、

サラとカナを見(み)ました。


「サラちゃんとカナちゃん、

 ミオといっしょだけやとさみしい?」


サラはミオちゃんの手(て)をにぎります。


「また、くるよ」


カナは少(すこ)し考(かんが)えました。

ミオちゃんは一人(ひとり)がさみしいのです。

おねえちゃんとして

ミオちゃんがかなしくなるのを

なんとかしたいと思(おも)いました。


そのとき、ふとソファの上(うえ)にあった

くまのぬいぐるみを見(み)つけました。


カナはくまのぬいぐるみをかかえると

ミオちゃんの前(まえ)にきました。

そして、いつもとはちがう声(こえ)で

話(はな)しはじめました。


「ミオちゃん、ぼくは……」


カナはくまのぬいぐるみのなまえを

知(し)りませんでした。


どうしよう。


そう思(おも)ったとき、

お母(かあ)さんがこっちを見(み)ているのに気(き)づきました。


そうだ。


「ぼくはみーちゃん」


それはお母(かあ)さんがよく書(か)いてくれる

ちっちゃな子(こ)の名前(なまえ)でした。


「ぼくはいつでもミオちゃんといっしょ

 一人(ひとり)じゃないよ」


おねえちゃんのサラが

ようちえんに行(い)っている間(あいだ)は

カナもおうちで一人(ひとり)です


でも、そんなときは

お母(かあ)さんがこうやって

ぬいぐるみを使(つか)ってあそんでくれます。

ぬいぐるみを使(つか)って話(はな)すとき

お母(かあ)さんはそれぞれちがう声(こえ)で

お話(はなし)をします。

みんなちがう子(こ)のように。


ビスとタイガは

そうやって生(う)まれたおとうとでした


カナのお母(かあ)さんは

ビスやタイガが本当(ほんとう)にお話(はな)してるフリして

カナとお話(はなし)してくれます。

カナもビスやタイガと話(はな)してるつもりで

お話(はなし)します。


カナのお母(かあ)さんは

カナがビスやタイガが本当(ほんとう)にお話(はな)してると

しんじてる、そう思(おも)ってるみたいですが

カナはそれがお母(かあ)さんだって

ちゃんと分(わ)かってます。

でも、ビスとタイガっていう

おとうとがいるって思(おも)ったほうが

うれしいから、

本当(ほんとう)にいるようにお話(はなし)するのです。


ミオちゃんももしかしたら

こうすればさみしくないかもしれない


カナはそう思(おも)いました。


「サラちゃんたちがかえっても

 ぼくがいるよ」


ミオちゃんはくまをじっと見(み)たままです。


すると、カナの横(よこ)にもうひとつ、

大(おお)きなぬいぐるみが出(で)てきました。


「ミオちゃん、ぼくもいるよ」


そこにはお父(とう)さんがいました。


「ミオちゃん、ぼくもいるよ、ハハッ」


今度(こんど)はたのしそうにわらうぬいぐるみ。

持(も)っているのはお母(かあ)さんです。


サラはミオちゃんの手(て)を

にぎったままなので

ぬいぐるみはもてませんでしたが

かわりにこう言(い)いました。


「みおちゃんも

 いっぱいきょうだいがいるね」


「ミオにもきょうだい?」


「今日(きょう)はここにいないけど、

 うちにはネコのビスとか

 トラのタイガとか

 お話(はなし)してくれる子(こ)たちがいるよ。

 カナも私(わたし)も

 いつもいっしょにあそんでるよ」


「よかったなぁ。

 ミオもきょうだいいっぱいやって」


ミオちゃんのお母(かあ)さんが

ミオちゃんのあたまをなでました。


カナはくまのぬいぐるみをかかえると

ぬいぐるみの手(て)をのばし

ぬいぐるみごとミオちゃんをだきしめました


「いっしょだよ」


「うん」


ミオちゃんはえがおでくまのぬいぐるみをだきしめました。



おわかれのとき、

ミオちゃんは

くまのぬいぐるみをぎゅっと

だきしめていました。

もうその目(め)にはなみだはありませんでした。



そのかえりみち、

カナはお母(かあ)さんにあやまりました。


「かってにお母(かあ)さんの子(こ)のなまえつかってごめんなさい」


お母(かあ)さんは少(すこ)しきょとんとしましたが

しばらくするとカナをだきしめました。


「あれはべつのみーちゃんだから

 だいじょうぶ。

 それより、

 ミオちゃんがさみしくないように

 おねえちゃんとしてがんばれて

 えらかったね」


カナはお母(かあ)さんをぎゅっとだき返(かえ)します。


みーちゃんのなまえをつかったことを

おこられなかったことにほっとしたのと

ちゃんとおねえちゃんだったよ、と言(い)われ

うれしかったのとで

なんだか心(こころ)がぽかぽかしました。


「だって、おねーちゃんだから」


お母(かあ)さんはにっこりとして

カナの頭(あたま)をなでてくれました。


その日(ひ)、カナははじめて

本当(ほんとう)のおねえちゃんになれた気持(きも)ちに

なれました。


子供は大人が考えるより

ずっと考えていて

ずっと成長が早い


それはきっと

私達が気付かないだけで

たくさんの事を取り込んでいて

たくさんの事を考えているから

なのかもしれませんね

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― 新着の感想 ―
[良い点] ぬいぐるみを動かして、おしゃべりしてミオちゃんを元気づけてくれました。 カナちゃんはりっぱなお姉ちゃんです。
[一言] カナちゃん、お姉さんしてますね^_^ とっても微笑ましく楽しく読めました。
2023/01/05 12:41 退会済み
管理
[一言]  ぬいぐるみ。  友達いない私でしたが、ぬいぐるみはいっぱいいました。  もう、いっしょにはいないけれど。  だから、コアラやパンダの絵をたくさん描きます。  やつらが、私の友達なので…
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