優先順位に動きが見られた。
この世界で、小さくて、愛おしくて、自分の身の回りのこともできず、
両親よりも、厳密に言うと、ここでは、田中茉莉の両親だが、大切な、守らなければならない存在が現れたことで、
私の中の優先順位が動いていることに気づく。
赤ちゃんのお世話は、確かに手がかかるし、大変なこともあるが、その一方で、なごみの存在が、オセロが黒から白になるように、私のこれまでの価値観を覆していく。
生まれた家族よりも大切な存在は、向こうの世界では、見つけられなかった、出会えなかったが、
あれだけ広い世界だったのだから、探せば良かったのかもしれないと思った。
これは、元の世界に未練や後悔と言った類いの感情ではなく、どちらかと言うと、田中茉莉になって学んだ、生きた教訓、体験のようなものである。
なかなかこうして、他人になって、その人間関係の中を生きる機会はないが、
そんなことをしなくても、周りの幸せそうな人間関係の、人との繋がりを見て、観察、考察することだってできたし、
家族関係が上手くいかなかったからといって、一歩家から外に出て、
今思うと、自分自身か人に心を閉ざしていた部分があったかもしれない、と言うのは、自分の中で、大きな発見だった。
家族以外の人間関係も、もともとそんなに得意な方ではないが、
これからはなごみのように、大切な人を、大事に思える、自分の心を開ける存在を、増やしていけたら、と少し思った。
そして、少しずつ、なぁさんとそうなれたらとも。




