まぁ、落ち着いて、状況を整理しよう。
これが学生で、私の付き合っている彼と、同じクラスメイトの彼女が出かけることになって、その件に関して、彼女が私に宣誓布告とかなら、
まだシチュエーション的に、分かりそうなものだが、今の状況が、
彼と私が結婚していて、宣誓布告をしてきたのが、私の母親であることが、ただならぬ、彼女の心の闇を感じた。
「問題ないんじゃないかな。」
と、何に対しても否定も肯定もしない曖昧な誤魔化し方を、咄嗟に私は生み出した。
下手に背が高いと言う、彼女のコンプレックスなのかな、を刺激しない、機転と、危機的状況から生まれた、なかなかのファインプレーである。
その後も母は、なぁさんの仕事が多忙で夜遅い話、仕事の話や、彼が義実家、つまり田中茉莉の実家を訪れた時の話をし始めた。
まるで恋だな。そういえば、以前、彼女は、
「茉莉が悪阻の時は、何だか私まで気持ち悪くなって、茉莉が母乳が出ないと聞くと、胸が張ってくるような気がして…。」
と何度か言っていたのを、そんな、大袈裟なと思いながら、右から左に受け流していたが、
その延長で娘の結婚相手を、と言った、現象が起こっているのだろうか。
こういっては何なのだが、田中茉莉の夫である、なぁさんは、
確かになごみの面倒もよくみるし、フットワークも軽く、気遣いもできる。
「優しそうなパパですね。」
と言われるくくりで、ものすごく彼女の好きだと言うテレビに出てきた、ドラマの俳優とやらのように、飛び抜けて容姿が突出していると言うこともない。
そして、3日付き合って分かったが、この気遣いの面は、女性の心の地雷を不用意に踏み抜かないと言う点においての、周到さに長けているのだと、思う。
彼女の心を満たし、彼女の期待する全てのリアクションに応えると言う点においては、正直、性格的にドライなのと、まめまめしさが足りないように思う。
まぁ、彼なら、適当にさらっとスルーするだろう。今までの言動を端で見ていて、
自分の身を削ってまで、自分の思ってもいないことを、義理の母親だからと、心を曲げてまで、フォローしたりするタイプには見えなかったからだ。




