おっちょこちょいな親心の形。
そして、このタイミングで、父がノックし入ってきた。
自営業なので、交代で昼休みになるらしい、意外なことに、母は、なごみを抱っこする父を見ても何も言わずに、笑顔で姿を写真におさめて、また仕事に戻って行った。
直接本人に、言えばいいのに、とも思ったが、夫婦と言う関係性以外は、詳しい2人の距離感は分からないので、黙っていることにした。
せっかくだからと、父はお昼ご飯を食べてきたばかりたそうなので、なあさんと、頂いた和菓子を食べる。
和菓子には合わせてと書かれた、田中茉莉の荷物にあったノンカフェインほうじ茶を淹れる。
はじめて食べるどら焼きは、甘くて美味しい、甘さにも、品のある、これが小豆なのか。
けれど、何だかものすごい圧力と言うか、念のようなものを感じるような、とも一瞬、思ったが、
食べ物に罪はないよなぁ、と思い直した。
「あれ、半分以上、小豆じゃなくて、白餡だ。」
となあさんの言葉ではじめて気づいた。
「慌てて間違えたんだろう。あいつは、あいつで深刻に悩んでいたようだから。」
と父が笑った。ちょっと、おっちょこちょいではあるけれど、これが母の田中茉莉のに対する、親心と言う形なのだろう、と思った。
昼休憩のわずかな時間で、昼食食べて、和菓子屋さんに寄り、病院になごみに会いに来るのも、大変だよなぉ。
と思った。とは言え、これ実の親だったら、一回、一回、ひと言物申したくなるかもなぁ、と田中茉莉の日記を思い出した。
今は入院してて、上げ膳据え膳で、夜はなごみも預かってもらえて、気持ちにゆとりがあるから大丈夫だけど、忙しくなったらこのペースで、この距離感迷子で来られると参ってしまうかもしれない。
とは言え、これから起きるかもしれないし、起きないかもしれないことを考えても仕方がない。
父は、母乳が出るには、餅がいいと言うことで、餅を作っておくと言って帰って行った。
なぁさんによると、お餅とは新年に食べるものなのだそう、電動で作る機械が実家にあって、父が最近買ったのだそうだ。




