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勇者は、授乳ケープを手に入れた。

哺乳瓶を洗っていたら、娘のなごみとともに、転生して出会って、3日目、我が夫、なぁさんがノックして現れました。


「昨日あれから、東竹屋に行って買ってきたよ。柄とかセンスは分からんけど、一番無難なものにしてみたよ。


始めてナビ見て行ったから、曲がるところを間違えたよ。」


と紺地にハート柄の模様がついた、授乳ケープを買ってきてくれた。


「ありがとうございます、なぁさん。」


実家の周りはあまり地理に詳しくないと言っていたのに、早々に買ってきてもらえるなんて有難い。


「授乳中、どうしてよいのか、分からないから、これで俺も助かる。」


た、確かに病室で、居心地悪そうだものなぁ、と思いながら、試しに巻いてみる。


色合いは地味なのですが、あまり女の子らしい格好を控えていたので、こんな可愛い柄のケープ、私が巻いてもいいのかな、


と思いつつ、何だかちょっと嬉しい、と心が跳ねた。魔王討伐の冒険に旅に出る時もだけど、旅立つ前、実家にいたときも、下着から何から、


母の心を逆撫でないよう華美でないもの、地味で無難なものにしていたからだ。


もう転生して、母がこの世界にいないのだから、縛られることはないのだ。と第3者に見えるように、可愛い柄がついていても問題ないのだ、と、


自分の思った以上に心が軽くなって、驚いた、そして、そんな正直な自分に、申し訳ない気持ちになった。


私は何に対して、申し訳ないと思っているのだろう。母に対して?、魔王討伐もせずに、こうして異世界で可愛い柄にときめいて?、


母の期待に応えなくて、魔王討伐を願う、元の世界の人々の期待に応えることができなくてなのだろうか。


「まぁちゃん、気に入らなかった?」

うれしいのに、微妙な表情をしている私を心配して見つめるなぁさんの声に、


「うぅん、違うの。こんな可愛いの身につけて大丈夫かなって不安になっただけ。気に入り過ぎた。」


と答えて笑った。おっぱいが出るか出ないか、と言う問題は憂鬱だけど、この授乳ケープを見ると、


ちょっと毎日、くすぐったいようなハッピーな気持ちになるかもしれないね。


こうやってお気に入りのものを持つことで、心がときめくなんて、知らなかった。なぁさん、ありがとう。





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