赤ちゃん誕生!!
四角い箱の音が大きくなっていき、
「先生、陣痛がきました。」
最初に話しかけられたボスのような女性の横にいた、二十歳くらいの女性が、ボスに話しかけると、
「田中さん、次の波が来たらいきんでいいよ、はい大きく息を吸って…、ゆっくり吐いて…、息吸って、と、止めて…。」
何が何だか分からずパニックになりそうになりながらも、
ゆっくり吐くとか吸うとか、もはや、できているのか、できていないのかも、分からない状態でとにかく、
言われたことを心の拠り所にして、この逃げたしたいほどの痛みと、向き合えているのか、正直分からないが、
懸命に立ち向かえていないながらも、体に力を加える、と言うより
自然に全力で力が入ってしまう。
ずるずるずる、と音がしたように感じながら、ボスと呼んでいたが、おそらく医者なのだろう、女性が、
私の体の中から引っ張り出した途端、
下半身は布で隠されていたので、見えないものの、顔らしきもの、おでこが
チラリと見えた瞬間、
「おぎゃーっ、おぎゃあ!!」
体に強ばるように力を入れて、赤ちゃんが全力で泣き出した。
「おめでとうごさいます、女の子です。」
痛みから解放されて、全身の力が抜けるのを感じた。
なぜ、こんなことになっているのか、分からないが、目の前の真っ赤になって、体を震わせながら泣いている、
目をつむった小さな赤ちゃんを見て、
こんなに小さいんだ。
冷静に考えるとどうして、こんなことになっているのか、
さっぱり分からない展開なのだが、その時の私は、目の前の必死すぎて、
自分の状況の把握云々より、痛みから解放されてほっとしたのと、
きれいに沐浴をして、おくるみにくるまった、目の前の小さな命を見て、
感極まって、自分の事のようで、自分の事じゃないこの状態の中でも、なぜだか涙目になってしまった。




