35/75
母の入れ代わりで…。
「元気にしとるか、孫を見にきたよ。赤ちゃん、小さいね。首が座ってないから、抱っこは怖いな。」
と言っていたが、せっかくだからと、手を石鹸で洗って、恐る恐る、2人で抱っこの仕方を教えて、
なぁさんがそっと父になごみを渡して、そっと抱っこして、父は手や足に触れながら、新生児の小ささを実際に目にして、眩しそうにしていた。
「あいつが母乳が出ないらしい、って周りの人に相談して回っていたぞ。大丈夫か。」
となごみを抱っこしながら、心配そうに聞いてきた父の言葉に、
出ないことはしょうがないにしても、別の意味で、大丈夫じゃないと思った。
母の周りの人って、具体的に誰で、
どれくらいの親しさの人なのだろうか、
知りたいようで、そんな話を色々な人にしているかと思うと、知りたくはないと言う、複雑な気分になった。
「出ないのは、そのままだけど、まぁ、ミルクもあるし、飲んでいるところが可愛いよ。一生懸命無心で飲んでて。」
と言うと、
「そうか。」
とだけ父は答えて、なごみの表情をじっと見ていた。
父とは、出産の時の陣痛の話や、家での母の様子や、昨晩の食卓で話していた話をしたり、
入院中の生活なんかを雑談して、仕事があるからと、去っていった。




