突然、妻になり、赤ちゃんの母親になって思うこと。
元々結婚にも出産にも興味がなかった、と言うよりもとても興味を持てなかったし、
興味を持つことを許されなかった。父には、父がなれなかった勇者になるために、教育をされ、
それは強要に近いものであったが、それに関しては、とくに不満はなかった。
それより、父の目が一人娘の私に目が向いている中で、母が、日々の慌ただしい家事と子育ての生活の中で、心に暗い陰を落としていっていることが気になった。
私が、思春期になり子どもから大人に、女の子から女性になっていくのを、成長しているのを、母は何より嫌がった。
月経が始まってから、如実に母の自分への態度が変わってきたのだが、
本人が無自覚で気づいてないのが厄介であった。
勇者になって魔王を倒すのが、目的でそれ以外のことに目が向いてなかったので、
殊更、女性らしさを表に出す必要はなかったので、封印した。
少しでも母のメンタルが穏やかで安定したものであるようにと思ったが、効果のほどは、正直よく分からなかった。
自分が追い求めて来なかった種類の幸せを転生してあっさり、手にしてしまった。
子どもは嫌いでもなく、むしろ好きだったし、目の前の私の娘と言ってよいかは、分からないが、
こんなにもあっさりとこんなにも簡単に。本当に田中茉莉の中の人は、私でよいのだろうか、となどと思いながら、
看護師さんの持ってきてくれた、朝ご飯を食べる。




