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【詩】ブログを閉鎖したあなたへ

作者: 菜宮 雪

ブログを閉鎖したあなた

今 なにをしていますか

食事は 喉を通るようになりましたか


私は あなたのことは なにもわかりません

あなたの 年齢

あなたの 住んでいる場所

あなたの ほんとうの名前

そして 性別すらも

なにも なにも 知りません 

知っているのは パソコンの中の名前だけ

それは かわいらしい 女性を連想する名前

だから あなたは女性なのだと 私は思っています


あなたのブログ閉鎖の表明に 心が痛みました


「不快にさせて申し訳ございません」

「配慮が足りませんでした」

「閉鎖を決めました」


文面に染み出した見えない涙

さびしい さびしい

ほんとうは 閉鎖などしたくないって

かなしい かなしい

ブログを見るのが もう怖いって

そんなことは どこにも書いてないけれど

私は そんなふうに読めました


私は あなたのブログをたまに訪れていただけの

無言の閲覧者ですから 

なにがあったのかは 私にはわかりません


今は開かなくなった あなたのブログのアドレス

もういらないから 消しましょう

でも 心の記憶は 消しません

あなたという存在の記憶までは 消しません

この世界のどこかに

あなたはいるはずですから


今夜も寒そうですね

暖房の下でも 手の甲が冷たくなってきます

あたたかい部屋の中で

あなたの心まで温めてくれる人は 傍にいますか

夜ちゃんと 眠れていますか

私は あなたに なにかを与えることはできません

でも あなたが 本来の自分を取り戻せる日が来ることを

祈ることはできます


しんしんと 冷え込むこの夜

あなたがパソコンから遠ざかった今も

地球というひとつの惑星の中で

同じ空気を吸い

同じ風を感じながら

あなたは どこかでひっそりと暮らしているだろうと想像しています


ブログを閉鎖したあなた

あなたの消息は 私にはわかりません

あなたは 私を知りません

あなたが ブログを別名で再開しても

私がそれを知るすべはありません

でも――



あなたのことは 忘れていません

心のかたすみに あなたの名前を置いておきます


どうか がんばりすぎないで

自分を大切にして

どうか どうか お元気で



   (了)




お読みいただき、ありがとうございました。


評価、感想など、いただけるとうれしいです。

2009.1.26  菜宮 雪

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― 新着の感想 ―
[一言] 実際思い入れのあるサイトが閉鎖した時や、チャットで仲良くなった人たちが突然来なくなった時などに感じる些細な寂寞感を思い出しました。 心にくる作品でした。
[一言] お久しぶりです。サカつくです。最初にこれを読んだときは、面白いものを発見したなという感じでした。 これは詩なんですよね? ストレートで、比喩も何もあったもんじゃありませんが、心に響きました。…
[一言] 祭りの後の寂しさは、その盛り上がりに反比例してずしんと心に響きます。 心にぽっかり穴が空く感じ……。 大好きだったブログが突然姿を消してしまうと、やっぱりそんな感慨を受けるのかもしれませんネ…
感想一覧
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