再会
今回で赤の魔王編の本編は終了です
「アルくん!!」
階段を下りていきようやくみんなと合流できた
会うなりすぐにルーブルムが抱きついてきたが
「すまないが再会を喜んでいる時間はないようだぞ・・・」
それを壊すようにウインレチアが言い放った
そして俺たちもすぐにその理由がわかった
「・・・揺れてません?・・・」
俺がそう言った瞬間にすぐに揺れが強くなっていった
「もしかしなくても・・・逃げたほうがいい?・・・」
ルーブルムは疑問系で聞いてくるが
「聞かなくいいからすぐ逃げろぉぉぉぉぉ!!」
俺たちは全速力で逃げていった
次々と崩れゆく魔王城から脱出しようと必死で走っている
「これはさすがにまずそうだな・・・」
そうウインレチアが小さな声で言った
確かにこのままの勢いではすぐに全倒壊してしまう為
脱出できる可能性は限りなく低かった
「・・・だったら・・・こうする・・・」
するとヴィリディが目の前の壁を切り裂いた
しかしそこは塔の半分くらいの場所でなかなかの高さだった
「・・・マジでここから飛び降りるの?・・・」
俺が不安になっていると
「アルくん!!」
ルーブルムに急に大声で呼ばれて振り返ると
「はい?・・・のわぁぁぁぁぁぁ?!!」
ルーブルムに抱っこされる形で俺はそのまま飛び降りた
鎧を身に纏っていないのでさすがに死を予感したが
「バブルクッション!」
ウインレチアが間一髪で魔法で受け止めてくれた
「ル〜ブルム〜・・・お前は〜・・・」
俺はちょっと怒りながらルーブルムに問い詰める
「ごめんなさい〜さすがに言わなかったのは悪いと思っています〜」
ルーブルムは涙ながらに謝っていた
「まぁまぁ・・・助かったのですかいいではありませんか」
するとカエルラが横から入ってきてルーブルムをフォローする
「・・・わかったよ・・・」
俺はカエルラにそう言われてしまったので仕方なく引き下がった
「そういえば・・・ルクスたちは?」
ルーブルムが話題を変えようとそう言った瞬間に俺の表情が強張った
「それよりも早くここを離れた方がいいと思うが?」
するとそれを察したウインレチアが近づいてきてそう言ってきた
「それってどういうこと?」
ルーブルムがが何のことかわからずに聞くと
「お前・・・魔王を倒したのだぞ・・・
さすがにそのまま敵地に残ったらどうなるかくらい分かるだろう・・・」
ウインレチアはそう言いながら呆れていた
俺もそれを聞いてやっと納得した
今この場にいたら普通に敵討ちに来る可能性もあるのだ
「・・・そうだな・・・すぐにここを後にしよう・・・」
俺たちはそう言ってその場を後にすることにした
入ってきた大穴のところまで戻ってきた俺たちは少しその場で休憩した
「これって閉じれないのかな〜?」
するとルーブルムが大穴を見て閉じられないか聞いて来る
確かにここを塞ぐことさえできれば今後悪魔が出てくることはない
そうなればもう地上が悪魔の進行を受けることもなくなる
まさに最高の考えだった
そう思い俺はウインレチアの方を見ると
「・・・確かに結界で閉じることはできるが・・・さすがにこの先も閉じ続けられる自信はないぞ・・・
魔王のように強い奴が出て来れば私の結界も壊される可能性があるからな・・・」
ウインレチアはそう答えた
「それでもいいから閉じておいてくれ・・・」
俺はウインレチアにお願いして結界を張ってもらった
「これで当分は安心だと思いたいな・・・」
七瀬は結界の張られる大穴を見ながらそう言っていた
確かに俺も当分はあんな奴とは戦いたくはないと思っていた
「・・・帰るか・・・」
結界を張り終わった俺たちはすぐに街へと戻って行った
街に戻ってくるとなぜかドゥクスたちが待っていた
「お前ら・・・なんでここにいるんだよ・・・」
俺は呆れながらも内心は喜んでいた
「心配してやっていたのにその言い方はひどくないか?」
そう言いながらもドゥクスは笑っていた
その後街の様子を見てから帰ることにした
「・・・だいぶ人は戻ってきたのか?」
俺はドゥクスに復興具合を聞くと
「ああ・・・だがそれでもまだまだだと言っていいだろう・・・」
ドゥクスはそう言いながら険しい表情をしていた
確かに人々からしてみたらいつまた悪魔が来てもおかしくない状況と思っているのだから
そんな場所に帰りたいとは思えないだろう
それを考えながらようやく家に着いた俺はみんなにルクスたちのことを話すことにした
「そうか・・・ルクスたちが・・・」
みんなは俺の話を聞いて暗い顔をしていた
それもそうだろう
彼女らにとってももちろん俺にとっても彼らの存在は大きかったのだ
早々に踏ん切りがつくものでもなかった
みんなが落ち込んでいる時だった
「あの〜・・・」
後ろから何かの声が聞こえて振り返ると
「すみませんが・・・我らは死んでないぞ・・・」
そこには消えたはずのルクスたちがいた
「お前たちなんで・・・」
俺はあまりのことに状況が飲み込めていなかった
「いやまぁ・・・一応我らは主の中に入ったのですが別に死んだわけではないので
主の中から出て具現化することもできたるのですが・・・」
申し訳なさそうにルクスはそう言った
「ルクス・・・!」
俺はルクスの方へ走っていき抱きついて
「なんでそれを早く言わないんだぁぁぁぁぁ!!」
バックドロップを喰らわした
「グェェェェェ?!!」
バックドロップを喰らったルクスは泡を吹いて倒れた
それを見てシューリとテェスが逃げようとするが
「逃すと思っているのか?」
すぐに先回りして逃げ道を塞いだ
「「ギャァァァァァ!!」」
その日三匹の獣の悲鳴が聞こえてきた
その後俺は風呂に入ってゆっくりしていた
(さすがに疲れたな〜・・・)
俺は思わず風呂で寝そうになるくらい疲れていた
「アルく〜ん!」
するとそこへルーブルムたちも乱入してきた
だが今の俺はみんなの相手をしてる余裕もなくそのまま近くに来たルーブルムに身を預けて
眠ってしまった
「さすがに疲れたようだな・・・」
ぐっすり寝ている俺を見ながらウインレチアがそう言った
「そりゃそうでしょ・・・あいつだけ二連戦してるわけだからね・・・
私たちに比べたら疲労だって比べものにならないでしょ・・・」
アウレアはアルバが疲れている理由を考えて当然の結果と思っていた
「そんなもの考えるだけでも疲れそうでござるよ・・・」
咲間は俺のやってきたことを想像して震えていた
「でも・・・旦那様・・・やって・・・のけた・・・さすが・・・」
ヴィリディは寝ている俺を褒めてくれた
「確かに・・・あんなことができるのはアルバさま以外にいないでしょうね・・・」
それに対してプレシカが苦笑いをしながらそう言った
「むしろそんなことができる人間がいるとはお前ないのだがな・・・」
さらに七瀬がプレシカに同調した
「みなさん・・・さすがにそれ以上はアルバくんがかわいそうかと・・・」
するとカエルラは苦笑いしながらみんなに対してそれ以上言うのはやめるように言う
「そうですよ!むしろ私はアルバさんが二回戦もやったことが羨ましいですよ!!」
そしてエレウムが俺のことを羨ましそうにそう言うとみんなして
「「「「「「「あんたはちょっと黙ってろ!!」」」」」」」
みんなにツッコまれたエレウムは不貞腐れてしまった
そんなやり取りを無視しながらルーブルムは俺の頭を撫でていた
「お疲れ様・・・アルくん・・・」
ルーブルムはそう俺の耳元で囁いていた
「さて・・・そろそろあがるぞ」
ウインレチアがそう言うとみんなが風呂を上がった
風呂を上がるとみんなは俺を運んで部屋に向かった
そしてみんなは俺をベッドに運んでみんなして寝た
「「「「「「「「「おやすみ・・・チュッ・・・」」」」」」」」」
「・・・なにこれ・・・」
朝起きてみるとなぜか俺はベッドにいた
しかも服を着ていた
(ちょっと待て・・・俺は昨日風呂に入っていたよな・・・それでルーブルムたちが入ってきて・・・)
俺はようやく全てを思い出した
そして横で寝ているルーブルムたちも見て
「そうか・・・昨日は風呂場で寝ちまったのか・・・」
そう思いながら昨日のことを考えていると
(・・・ん?待てよ・・・俺が風呂場で寝てたってことは服を着せたのって・・・)
俺は一気に不安になりルーブルムたちを見ると
「アルくん?・・・おはよう」
そう言ってルーブルムは笑顔で言ってくれた
「あの〜・・・もしかしなくても・・・俺に服を着せた?」
そう俺が汗をダラダラ流しながらルーブルムに聞くと
「・・・・・」
顔を真っ赤にして俯いていた
それを見て俺は
「チクショォォォォォ!!」
自分の部屋から全速力で逃げ出した
その後朝飯を食うことになったが
「「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」」
みんなして気まずそうにしていた
それもそうだろう
なぜなら俺の裸を見た上に服まで着せていたとなればさすがの俺も傷ついていた
(確かに裸なんていつも見られてるようなもんだけどさ・・・
服を着せるんだったらせめて起こしてくれたっていいじゃん・・・)
そう思いながら口を尖らせて不貞腐れていたがそれを見ていたみんなは
(((((((((かわいい・・・)))))))))
みんなして俺を見て鼻血を出していたが俺は気にせずにいじけていた
「アルくん・・・あのさ・・・元気出してくれない?」
ルーブルムが恐る恐るそう言うが俺はプイッと首を反らした
「わかった・・・その代わりみんなは今日一日俺に抱きついてこないでね・・・」
そう俺が言った瞬間にみんなして絶望の表情を浮かべていた
俺はそれを見てちょっと鬱憤が晴れたので
「嘘だよ!でもできることなら着替える時ぐらい起こしてよね」
みんなにそう言うとすごい勢いで首を縦に振っていた
(そんなに俺に抱きつきたいのか・・・)
その反応を見て俺はちょっと呆れてしまった
「まぁしかし・・・これではさすがのアルバもまだ怒りが溜まっているだろう」
するとウインレチアが急にそんなことを言い始めた
(この展開・・・嫌な予感がする・・・)
俺はすごく不安になりながらもそのまま見ていると
「どうだろう?ここはひとつ私たちが今日一日アルバの専属メイドをやるというのは」
それを聞いた瞬間に俺は逃げようと思ったが
「逃がさないですよ〜アルバさ〜ん」
エレウムに捕まってしまった
そして振り返るとすでに水着メイド姿になっているルーブルムたちがいた
「あっ・・・もう終わったわ・・・」
そして俺はその日の出来事を思い出せなかった
次回からはちょっとだけおまけ話をやります
次回、エレウムのお願い




