本当の目的
今回はようやくあの方が姿を現します!
四将軍最後の一人であるイウストゥムを倒した俺たちは
ギルドの祝勝会に呼ばれていた
「四将軍は全て倒したしこれで残るは魔王ただ一人か!」
ドゥクスはジョッキ一杯の酒を飲んでいてもう酔っぱらっていた
その他のみんなもお酒を飲んでいるらしく完全に浮かれムードだった
(・・・ひどいな・・・)
その光景はある意味一つに地獄絵図だった
ある者は酔っぱらって寝て
ある者は飲みすぎで吐いていて
ある者は酒に勢いに浮かれて筋肉の見せ合い何かをしている
酒の飲めない俺とヴィリディはそれに巻き込まれないように端っこの方でジュースを飲んでいた
すると先ほどまで飲み比べをしていたルーブルムが近づいてくる
「アルきゅ〜ん・・・飲み比べに勝ったから褒めて〜」
そう言ってルーブルムは俺に抱きついてくる
(酒クサッ?!)
いつもと同じく耳元で囁いてくるのだが
そこから発せられる息は完全にアルコールの匂いとなっていた
俺は離してもらおうと頑張るが力が強くて離れなかった
そこへアウレアとウインレチアが近づいてきた
「全く・・・飲みすぎにもほどがあるわよ・・・」
アウレアはルーブルムの現状を見て呆れていた
「確かにな・・・まさか樽三つ分いくとは思っていなかったぞ・・・」
ウインレチアもそれには同意見らしく頷いていた
(てか樽三つ分ってやばいな・・・)
俺はルーブルムの飲んだ量に驚いてしまった
「あっ・・・そういえば他のみんなは?」
俺は思い出したかのように他のみんなのことを聞く
「確かプレシカは城で家族水入らずの食事中で
カエルラとエレウムは怪我をした人を見に病院へ
七瀬と咲間はマスターと飲んでいたはずだ」
とウインレチアはそれぞれ何をしているのかを思い出しながら答える
「ふぅ〜ん・・・てか二人ともここに来ていいの?お酒飲んでいたんじゃ・・・」
俺はこちらに来た二人にこんな端っこで飲んでていいのか聞く
「大丈夫だろう・・・それに私たちもすこし飲みすぎたしな・・・
しばらくはここでゆっくりさせてもらう・・・」
と言ってウインレチアは一休みする
「あんた・・・樽一つ分飲んでおいてよくそんなセリフ言えるわね・・・」
するとアウレアから衝撃の事実が明かされる
(樽一つ分って・・・ルーブルムほどじゃないにせよ飲みすぎだろ!!)
俺はウインレチアがそれほど飲んでいた事実に驚いた
だが同時に気になったことがあった
「そういうアウレアはどれくらい飲んだんだ?」
俺はアウレアはどれくらい飲んでいたのか聞いてみた
「・・・私は飲んでいないわよ・・・」
するとアウレアは恥ずかしそうにそう言った
確かに恥ずかしいだろう
・・・なぜなら・・・
(じゃあなんで飲んでないのにそんな顔が赤いんだよ・・・)
その飲んでいないはずのアウレアは顔が赤かった
しかもここまでくる足取りもちょっと怪しかった
(これで飲んでないとか絶対嘘に聞こえる・・・)
そう思っていると不意にルーブルムの腕に力が入り俺を締め付けてくる
「アルくんが〜私に〜構ってくれない〜!」
ルーブルムはよく分からない駄々をこねてくる
しかも胸をわざと当ててくるのでたちが悪い
(メンドクセェェェェェ!!)
俺はあまりの面倒くささに思わず苦い顔をする
そして隣にいたヴィリディに目線で助けを求めるが
「・・・・・」
なぜかジュースを飲んでいるはずなのに目が据わっていた
(・・・つか本当にジュースだよな?・・・)
俺は怪しくなって思わずヴィリディのコップの中身を見てみるが
やはりジュースで変わりなかった
しかもほとんど飲んでいなかった
(ってことはまさかアウレアとヴィリディはこの匂いだけで酔ったってわけか・・・)
思わず俺は飲んでいないのに酔ってしまった二人に呆れてしまった
するとヴィリディがようやくこちらに気づき助けてくれるのかと思ったのだが
「・・・ずるい・・・」
そう言ってヴィリディも抱きついてきた
(なんでお前も参加してんじゃぁぁぁぁぁ?!!)
「おいおい・・・さすがに二人して抱きついたらアルバも迷惑だろう」
ウインレチアが俺の心を代弁してくれた
「何言ってるのよ〜!アルくんが私たちのことを迷惑がるはずがないじゃ〜ん!」
しかしルーブルムは離れることはしないしかもヴィリディも離れようとはしなかった
(・・・いや・・・正直迷惑です・・・)
俺の心の中はルーブルムの思いとは真逆だった
もう仕方ないので俺は諦めることにした
するとそれを見かねたアウレアが
「はいはい・・・いいから離れなさい!」
二人を首根っこを掴んで離してくれた
「アウレア・・・ありがとう」
俺は助けてくれたアウレアにお礼を言った
「まぁ・・・別に・・・」
お礼を言われたアウレアは恥ずかったのか顔を逸らしてしまった
ようやくゆっくり飲めると思い俺はジュースを飲もうとした瞬間
「あぁ!やっと見つけたでござるよ!」
タイミングの悪いことに七瀬と咲間がこちらに来てしまった
しかも咲間に関しては完全に酔ってしまっていて七瀬に肩を貸してもらっている状態だった
「すまないな・・・向こうでマスター殿と飲んでいたんだがこの通り菫が酔ってしまってな・・・
悪いがしばらくここで休ませてもらうぞ」
七瀬はそう言って酔っぱらった咲間を座らせる
(うちの人間はあれかい?加減を知らないのかい?)
俺は酔っぱらっているみんなを見てさすがに呆れてしまった
そして運ばれてきた咲間はすぐに寝てしまった
「おいおい・・・一体どれだけ飲んだんだ?・・・」
ウインレチアは思わずそう聞いてしまう
「いや・・・まぁ・・・ジョッキ一杯だ・・・」
七瀬は答えずそうにそう言った
それを聞いて俺たちは驚いてしまった
(((ジョッキ一杯で寝るほど酔えるってどういうことよ・・・)))
俺たちの心の声が重なった瞬間だった
「だが・・・その前にドジって樽をひっくり返してしまって中の酒を全部被ってしまったんだ・・・」
だがその前に咲間は樽の酒を浴びてしまっていたらしい
(それなら納得だけど・・・どうやったら樽をひっくり返せるんだよ・・・)
思わず俺は咲間のドジっぷりに呆れてしまう
その後も祝勝会は続きようやくカエルラとエレウムが合流したのだが
「・・・えっと・・・これは一体?・・・」
カエルラは来て早々に困った顔をしてしまう
それも仕方ないだろうなぜならすでにみんなは酔いつぶれていて
平気なのは酒を飲んでいない俺とアウレア他にほどほどでやめたウインレチアと七瀬だけだった
「まぁ・・・とりあえずは気にせず座ってくれ・・・」
俺はカエルラとエレウムに座るように言う
二人は混乱しながらも俺たちの座っていた場所に腰を下ろす
「あの〜・・・一応飲み物って残ってますかね?」
カエルラは飲み物があるか聞く
「酒はさすがにないが・・・ジュースくらいならあるぞ」
ウインレチアはそう言ってジュースの入った樽(?)を出す
(っておい!本当にそれジュースか?!もしかしてこいつも酔っぱらってる?!)
俺はなぜか樽で出てきたそれに警戒するもさすがにもうツッコむほどの気力はないので
そのままにした
「ではいただきますね!」
そう言ってカエルラとエレウムはコップに注がれたジュース(?)を飲む
二人とも勢いよくそれを飲み干すと
「「・・・ひっく・・・」」
その言葉を聞いた瞬間・・・
俺は・・・嫌な予感がした
「アルバく〜ん!」
そしてそれはすぐに現実となり襲いかかってきた
「ちょぉ?!離せ!!」
いきなりカエルラに抱きつかれた俺は体制を崩してマウントポジションを取られてしまう
「アルバく〜ん・・・一緒にお寝んねしましょうね〜」
そう言ってカエルラは無理やり俺を寝かしつけようとするが
「いいから離しなさい・・・!」
俺はなんとか脱出して難を逃れる
「ふぅ〜・・・全く・・・」
落ち着こうと俺は椅子に腰を下ろすと
「あぁん」
「?!」
よくよく座った椅子を見ると
「何してんの?!!」
それは四つん這いになったエレウムだった
「えぇ〜?何って・・・アルバさんの椅子になっているんですよ〜」
エレウムは何の迷いもなくそう言った
(てかこいつ・・・酔っても酔ってなくてもやること変わらねぇな・・・)
酔っぱらったエレウムは普通の状態と何ら変わらず俺はちょっと安心してしまった
もう完全に収拾がつかなくなってきたので俺たちは酔っぱらったメンツを家に運んだ
翌日の朝・・・
「頭が痛い〜」
昨日酔っぱらっていたルーブルムたちは今朝から二日酔いに襲われていた
(まぁ・・・あれだけ飲めばねぇ〜・・・)
俺はそう思いながらみんなを見ていると
「「頭がガンガンする〜」」
なぜかその中にアウレアとヴィリディもいた
「いやお前らは飲んでないだろうが!!」
なぜか酒を飲んでもいないアウレアとヴィリディが二日酔いになっていて俺は思わずツッコんでしまった
仕方ないので二日酔いになっていないウインレチアと七瀬が面倒を見ていた
俺はしばらく外をぶらつくことにした
「・・・ん?・・・」
しばらくすると外の様子がおかしく
街を歩いているはずなのに誰もおらず人の気配すら感じなかった
「これは・・・」
どうやら俺は罠に嵌められたらしい
すると俺の前に一人の大男が現れた
「久しぶりだな・・・」
その男とは初めて会うはずなのに男は俺のことを知っていた
そして俺もそいつが誰なのかなぜか分かってしまった
「それが本性か?・・・魔王マルム・・・」
俺はそいつのことを言うと
「ほう・・・どうして俺のことがわかったんだ?」
マルムは招待に気がついた俺に感心していた
「まぁ・・・雰囲気かな・・・」
俺はうっすらとした答えを返すと
「ふっ・・・そうか・・・雰囲気か・・・」
マルムは笑っていた
そしてマルムは真剣な顔になり
「前に言った約束・・・覚えているな?・・・」
前に言った約束について聞いてきた
「ああ」
そしてそれを俺は覚えていた
「そうか・・・ならば話は早い・・・俺のいる場所を教えてやろう」
そう言った後マルムはとある物を取り出した
「?!」
「お前たちのおかげで我が剣も復活したことだしな・・・」
そう言ってマルムは直った双剣を見せてくる
(嘘だろ?!なんで?!)
俺が直っている双剣に驚いていると
「この双剣はただでは直らなかった・・・
しかしとある方法を使ってようやく復元できたよ・・・
俺も君たちが四将軍を倒してくれたおかげだ」
そう言われて俺はようやく直った理由がわかった
こいつは四将軍の魂を生け贄にして双剣を直したのだ
「では待っているぞ・・・我が国・・・インフェロスでな・・・」
そう言ってマルムは姿を消していく
そして俺は元の街に戻ってきた
俺はみんなのところに急いで戻っていった
これから来る戦いに備える為に
いよいよ魔王編は佳境に入っていきます!!
次回、悪魔の住む国 インフェロス




