ルーブルムとウインレチアの戦い
今回はハスタム戦!
アルくんの指示でバラバラになったルーブルムたち
そのおかげで敵は分散され
ルーブルムはそのまま道を進んでいた
すると
「あっ!」
先ほどバラバラになったはずのウインレチアがいた
「どうやら私たちの逃げた場所は繋がっていたのか・・・」
とウインレチアが言う
「なら先に進む道は・・・」
そう言って二人が見るのは残った一本の道だった
その先を二人で進んでいくと
大きな広間に着く
そしてそこには
「よぉ〜待ってたぜ・・・」
黒の騎士団三番隊隊長・・・ハスタムが待ち構えていた
「まさか俺の相手があんたたちとはね」
とハスタムは不満の声を漏らす
「何?私たちじゃ不満?」
それを聞いたルーブルムとウインレチアは怒りながら言った
「どうせなら白騎士の旦那とやり合いたかったぜ」
とハスタムは本音を言った
それを聞いたルーブルムとウインレチアは
「絶対に倒す!!」
怒りが頂点に達した
「まぁいいか・・・」
そう言ってハスタムは槍を構え
「とりあえず・・・やろうか?」
そう言ってハスタムは殺気を放つ
それを受けた二人は
「なるほど・・・伊達に隊長ではないな・・・」
とウインレチアは素直に感心し
「でも負けるわけにはいかない!!」
ルーブルムは負けじと武器を構えてハスタムに対峙する
しばらくの睨み合いが続き
お互いの出方を待つ
そして・・・
「行くよ!!」
先にルーブルムが動いた
鎌を持ってルーブルムはハスタムに突撃する
「甘ぇよ!!」
そう言ってハスタムは槍で突風を放つ
「キャア!」
ルーブルムは吹き飛ばされる
すると
「甘いのはどっちかな?ウインドランス」
ウインレチアが魔法で突風を相殺した
「なっ?!」
突風を相殺されたハスタムが驚いていると
「やってくれたわね!お返し!」
先ほど吹き飛ばされたルーブルムが追撃する
「あぶね!!」
間一髪のところでハスタムは躱して後ろに下がり
「だったらこれでどうだ!!」
もう一度槍で突風を放つが
「何の!」
ルーブルムは自らの羽で空に逃げた
その後も優勢に立ったルーブルムとウインレチア
「・・・まさかここまで追い込まれるとはな・・・」
するとハスタムが素直に感心していた
「・・・仕方ない・・・白騎士の旦那用に取って置きたかったんだけどな・・・
使うか・・・アレを・・・」
そう言ってハスタムは何か呪文を唱え始める
「何これ?!」
すると黒い霧がハスタムの周りを包む
しばらくして黒い霧が晴れると
「「?!」」
そこには異形の姿となったハスタムがいた
ハスタムの下半身は馬の姿をして
頭には一本の長い角が生えていた
「それは?!」
ルーブルムとウインレチアが驚いていると
「この姿は魔獣の力を取り込んだ姿だ
こうなったからにはもうお前たちは勝てねぇよ」
とハスタムは言い放った
「魔獣だと?!馬鹿な?!そんなことをすれば人間に戻れなくなるぞ!!」
そうウインレチアが説明すると
「別にかまわねぇよ・・・人間でいるより
醜い異形の化け物の方がマシだ・・・」
そうハスタムは答えた
「それより・・・自分たちの心配をした方がいいぞ」
そう言ってハスタムは風を纏って突っ込んでくる
「「グゥ!」」
その突撃は先ほどまでとはまるで違った
まるで嵐そのものを受けているかのような威力を誇り
「「キャァァァ!!」」
私たちは吹き飛ばされ壁にぶつかった
吹き飛ばされ地面に倒れたルーブルムとウインレチアに
ハスタムは振り返らず
「これでわかったろ・・・今の俺との実力の差は」
そう言い放った
それはまるで勝ったかのような台詞だった
だが・・・
「何・・・勝った・・・気で・・・いるのよ・・・」
「?!」
二人はまだ諦めてなかった
ボロボロになりながらもルーブルムとウインレチアは立ち上がった
「馬鹿な・・・まだ立つというのか・・・」
その行動にハスタムは驚いていた
「これぐらいで根をあげてちゃアルくんの隣には立てない・・・」
そう言いながらルーブルムは武器を杖代わりにして立ち上がり
「そうだな・・・これしきのこと自分たちで解決できなければ
アルバの足手まといとなってしまう」
ルーブルムの言ったことにウインレチアも同意する
「それにアルくんが約束してくれたもん・・・絶対に帰ってくるって・・・」
そう言ってルーブルムはウインレチアの方を見て頷く
「「だから絶対に負けられない!!」」
そう言った二人を見て
「いいぜ・・・とことん相手してやる!!」
ハスタムは笑った
「オラァァァァァ!!」
次々と突撃してくるハスタム
その突撃に徐々にだが対応し始める二人
・・・だが
「避けてるだけじゃ勝てねぇぜ!!」
そうハスタムは言った
確かにその通りだった
余りの突撃の威力で二人は攻撃する暇がなかった
今のままでは躱すので精一杯でハスタムに攻撃する手立てがない
そう考えた二人はお互いの目を見て一か八かの作戦に出た
「何を考えてるか知らねぇが・・・」
そう言ってハスタムはこれまでとは
比べものにならないほどの風を纏う
「これで終わりだぁぁぁぁぁ!!」
そしてハスタムが最後の突撃をしてきた
「それを待っていた!!」
だがその攻撃を待っていた
ウインレチアは呪文を唱える
「大いなる風よ!目の前の敵を貫け!トルネード・・・ジャベリン!!」
ウインレチアの放った魔法はハスタムの突撃と拮抗し
「ぐぉ?!」
相殺された
その衝撃で吹っ飛ばされ体制を崩すハスタム
そこに・・・
「ハァァァァァ!!」
「何っ?!」
本来ならいるはずのないルーブルムが狙い澄ましたように突っ込んできていた
実は先ほどのぶつかり合いの前にもうハスタムに突っ込んでいたのだ
つまりルーブルムは先ほどのぶつかり合いのど真ん中にいた
無事で居られる確率は低く命を落とす可能性もあった
だがそれでも倒すことを諦めなかったルーブルムはあの衝撃を受け切ったのだ
そして・・・
「ヘル・ロンパイアァァァァァ!!」
ルーブルム渾身の一撃が
「グァァァァァ?!」
ハスタムの胴を切り裂いた
切り裂かれたハスタムは槍を落として倒れ込んだ
「・・・まさか・・・あの突撃の間に潜んでいたとはな・・・
命知らずめ・・・」
と倒れたハスタムが素直に賞賛する
「そうでもしなきゃあんたは倒せなそうだったもんね!」
そうルーブルムは言った
「まぁ一か八かの賭けだったがな・・・
ルーブルムのあきらめない精神がなかったら負けていたな・・・」
そう言いながらウインレチアが近づく
「はは・・・お前らを舐めてかかったのが俺の敗因か・・・」
そうハスタムが言った後
「いや・・・違うな・・・」
なぜかハスタムは自分の言ったことを否定した
「・・・俺の負けた理由は・・・覚悟の差・・・だろうな・・・」
とハスタムは呟いていた
「どういうこと?」
ルーブルムがハスタムにその言葉の意味を聞くと
「俺にも・・・昔は好きな女がいた・・・
だがそいつは病気で長くは生きれなかった・・・
俺はそいつを失うのが嫌で怖くて・・・一緒にはいてやれなかった・・・」
ハスタムは自分の過去を話始めた
「だがお前らは・・・どんな辛いことがあっても一緒にいるという
覚悟があった・・・その覚悟の差が・・・俺の負けた理由だ・・・」
そう言って笑っていた
「ほら・・・さっさと行けよ・・・どうせ俺は・・・長くはない」
そう言ったハスタムの体は徐々に灰になっていた
おそらく例の悪魔の力を取り込んだ伯爵同様
魔獣の力にハスタムの人としての体が耐えられなかったのだろう
「どうしてそこまで・・・」
ルーブルムがどうしてそこまでしたのか聞くと
「別に・・・俺はただ死に場所を求めていただけさ・・・
だから黒騎士の旦那に協力した・・・
そうすればいずれ・・・誰かが・・・俺たちを倒しにくると・・・
ようやくその願いが叶った・・・」
そう答えた後二人の方を見て
「・・・ふっ・・・じゃあな・・・」
そう言い残してハスタムは灰になって消えていった
「あの人も・・・色々なことがあって黒の騎士団に入ったんだね・・・
死に場所を求めて・・・」
そう言ってルーブルムは悲しそうな顔をする
「そうだな・・・せめてあっちでその彼女に会えることを祈ろう・・・」
そう言ってウインレチアとルーブルムは祈った後
急いで道を進んだ
辛くも勝利を収めた二人・・・次の相手は?!
次回、ヴィリディとプレシカの戦い




