汚れし聖獣
今回はそんなに戦いません
前回、俺たちは聖獣に会いに行くために
南の神殿に向かっていた
「・・・にしても本当にあんたは規格外よね・・・」
とアウレアは俺に言う
だがそう言われても仕方ない
つい先の戦闘に起きた雪崩を俺は一刀両断して止めて見せたのだ
俺自身も最近自分が人間なのかと疑ってしまう
「だがこれで先に進めるのも事実だ」
落ち込む俺をウインレチアがフォローしてくれる
「そうですね!私たちの当面の敵は寒さかもしれないですね」
プレシカが俺たちに言う
確かにモンスターを退けた今
俺たちは寒さと戦いながら
山を越えなくてはならない
「きついな・・・」
いくら無敵の鎧を持っている俺でも
寒さには弱かったりする
てか普通に弱い
ちょうどそんなことを思っている時だった
「なんか天気が怪しくなってきたわね」
空の模様が急に変わってきた
「山の天気が変わろうとしているのだろう・・・
どこか吹雪等をやり過ごせる場所を探すぞ」
ウインレチアにそう言われ
俺たちはやり過ごすための場所を探す
探し回ってようやく見つけたのは小さな洞穴だった
「まぁ・・・ないよりはマシね」
とアウレアが愚痴る
だが確かに文句を言いたくなる
なぜならその洞穴はみんなで入るとすごく狭かったのだ
そのせいでみんなと肌を合わせている状況だ
(男の俺にとってはこの状況・・・きつい!!)
俺以外全員は女性なのでどうなるかというと
女の人の柔らかいところがいろいろ当たるのだ
顔を赤くして恥ずかしがっていると
「どうやら降ってきたみたいだな」
外を見ていたウインレチアが言う
そしてあっという間に吹雪になった
「寒くなってきたね〜」
とルーブルムは言う
それもそうだそんな露出の多い服を着ていたら
そりゃあ寒いだろう
「ア〜〜〜ルくん!」
するとルーブルムが俺に抱きつく
「ちょっ?!」
俺の背中にルーブルムの胸が当たる
「あ〜〜なら私も〜〜」
それを見たカエルラも俺に抱きつく
「いい加減に・・・」
俺が引き剝がそうとすると
「・・・私も・・・」
ヴィリディも参加し
「なら私も参加するかな」
ウインレチアも混ざる
それにより俺は女性の胸に四方を囲まれる羽目になった
するとそれを見ていたアウレアが
「む〜〜〜〜〜」
むくれている
そして我慢できなくなって
「私も混ざるわよ!!」
結局参加した
だがそれの間に吹雪はさらに酷くなり
寒さも増していった
「さすがに寒いな・・・」
俺が寒がっていると
「じゃあ肌で暖め合おう!!」
とルーブルムが服を脱ぎだす
「そうだな・・・その方がいいか・・・」
それに同意してみんなも服を脱ぎだす
(・・・・この後の展開は読めている・・・・)
俺はもう・・・悟っていた
吹雪が止み俺たちは山を下っていくのだが
その途中で俺たちはとんでもないものを見てしまった
「なんで奴らがここにいるんだ・・・」
そこいたのは黒の騎士団だった
「どうやら彼らも目的地は同じみたいだな」
ウインレチアが彼らを見て言う
「確か・・・彼らは神殿にも来ていましたよね?」
とプレシカが言う
確かに彼らはフルクトゥスを目覚めさせようともしていた
今回も同じ目的なら何かあるはずだ
「急ぐぞ!」
俺たちは先を急いだ
「ここから砂漠に入るのか・・・」
俺たちは砂漠の手前まで来ていた
「ここからはマメな水分補給が大事になる注意しろ」
ウインレチアが俺たちに用心深く言って砂漠に入る
「おお〜本当に暑いね〜」
ルーブルムが言う
俺はそれを聞いて
「そういえば俺の服はどこだ?」
この前ルーブルムに頼んでいた服のことを聞いてみた
するとルーブルムは目を輝かせて
「待ってました!!こちらになります!!」
そう言って取り出した服は
まるでアラビアンナイトのでてくる
アラジンの衣装だった
「・・・・・」
俺はその衣装を見て思わず黙ったが
でもせっかく作ってくれたものだから着てみることにした
「ハァ〜〜〜〜」
服を着た俺を見てみんなが顔を赤くする
「アルくんの肌が見れる・・・最高・・・!」
とルーブルムが鼻血を出しながら言う
「いいから早く鼻を拭け」
俺はハンカチを取り出し鼻を拭うように言う
そんなやり取りを終え
俺たちは砂漠を進んでいくのだが
「・・・・・」
俺は目のやり場に困っていた
なぜならみんな露出の多い格好になっていたからだ
「・・・なぁ・・・なんでそんな格好になったんだ?」
俺は耐え切れずに聞くと
「だってこの方が涼しいんだもん」
とルーブルムを筆頭に頷く
「でもそれだと日差しで焼けどとかするんじゃないのか?」
と俺が聞くと
「その辺はなんとかしてあるから大丈夫」
とウインレチアが答え
「この塗り薬を塗れば砂漠でも肌にダメージはない」
と懐から塗り薬を取り出す
「・・・ああ・・・そう・・・」
それを見た俺はもう突っ込むのをやめた
だがしばらくして歩いていると
「暑〜い・・・暑いよ〜・・・」
とルーブルムが愚痴る
確かにどんなに涼しい格好をしていても
日差しの影響でどんどん暑くなってきている
「しょうがない・・・これを出すか・・・」
そう言って俺が取り出したのは傘だった
「これでもちょっとは涼しくなるだろ」
そう言って俺はみんなに傘を渡す
「ありがとう〜」
傘を受け取ったルーブルムたちは傘をさして歩き出す
そしてようやく
「・・・!あれが・・・神殿か・・・!」
目的の神殿が見えてきた
だが神殿に近づくと奴らがいた
「ここにも黒の騎士団が・・・」
プレシカは驚く
どうやら完全にあいつらの目的は聖獣で間違い無いらしい
「強行突破するぞ!」
俺たちは武器を構えて奴らと戦う
「オラァァァァァ!!」
神殿の外にいた敵を全員倒し
俺たちは神殿に急ぐ
中に入るとそこでは
「?!」
馬の聖獣が黒い水晶に囲まれて苦しんでいた
そしてその周りには黒の騎士団がいた
「ひどい・・・!」
とプレシカが言っていると
「おいおい!なんでテメェらがいるんだ?!」
と奥から出てきたのは
以前に海の神殿で戦った
黒の騎士団四番隊隊長カプスルだった
「やっぱし死んでなかったか・・・」
どうやら奴はあの津波に飲み込まれたにも
かかわらず生き残ったらしい
「俺があれくらいで死ぬかよ!!」
カプスルはそう叫ぶ
「本当ならお前らをこの手で八つ裂きにしたいが・・・」
カプスルは聖獣の前に行き
「どうせならこいつを試してみるか!」
カプスルがそう言ったと同時に
「?!」
聖獣がこちらに襲い掛かってきた
「どうなってるんだ?!」
俺が襲われたことに驚いていると
「どうやら成功したようだな!!」
カプスルが笑いながら言う
「どういうことだ?!」
俺は怒りながら聞くと
「この黒水晶は聖獣を操るために
うちで作ったものだ
実験のためにここまで来たが
どうやら成功だったみたいだな!!」
とカプスルが自慢げに説明する
「くっ!!」
俺たちは必死に聖獣からの攻撃をかわす
だが操られている奴を攻撃できないし
元に戻す手立てがない
どうすれば考えてみるが
ずっと攻撃され続けているため
考える暇がない
そうして俺はイライラが溜まっていった
そして・・・・・
「いい加減に正気に戻れやぁぁぁぁぁ!!」
キレて聖獣に拳骨をかました
「「「「「「えぇぇぇぇぇ?!!」」」」」」
拳骨を食らった聖獣は倒れる
「テメェ・・・!聖獣がどうなってもいいのか?!」
とカプスルが叫ぶ
「・・・・・あっ・・・・・」
そう言われてようやく俺は自分がやったことに気がついた
「・・・まぁ大丈夫だろ!」
何の根拠もないことを俺が言うと
倒れたはずの聖獣が起き上がった
「おお!さすが聖獣!いいぞ奴を倒せ!!」
カプスルが命令するが
「・・・・・」
聖獣は反応しない
「おい!どうした!俺の命令が聞けないのか?!」
とカプスルが叫ぶと
聖獣のたてがみが炎に包まれる
そしてその炎がカプスルたちに襲いかかる
「何?!」
カプスルは間一髪で避けるが
他の奴らは全て炎に飲まれて灰になった
「馬鹿な?!正気に戻ったのか?!」
カプスルは驚いていた
どうやら俺の拳骨で洗脳は解けたらしい
「チッ!撤退だ!!」
そう言ってカプスルは煙幕を撒き逃げていった
「あっ!・・・逃した」
俺は自分の行動に驚いているうちに逃げられてしまった
「別にいいだろう・・・本来の目的は聖獣に会うことだったはずだ」
ウインレチアに言われ本来の目的を思い出す
洗脳されていた聖獣は
馬の姿をしていて蹄やたてがみが炎に包まれていた
「おい!大丈夫か?!」
俺が聖獣に近づき話しかけると
「おう!お前らのおかげでマジ助かったぜ!!」
・・・なんかチャラかった
「俺の名前はフレアマっていうんだよろしく〜!!」
・・・やっぱチャラいな
「えっと・・・俺たちフルクトゥスに教えてもらって
お前に会いに来たんだけど・・・」
と言うと
「え〜マジで〜!あいつに会ったんだ!!
どう元気してた?」
とすごい喋ってきていた
「ああ・・・それで聞きたいことがあるんだが・・・」
と俺は本来の目的を果たすことにした
「なんだい?俺に答えれることなら
なんでも聞いてくれ〜!」
とフレアマが言う
「実は・・・奴らのボスを倒すために
伝説の武具の在り処か力について教えて欲しい」
と聞いてみると
「ん〜〜〜・・・悪いけど俺は詳しいことは知らないんだよね〜」
どうやらフレアマは知らないようだった
「そうか・・・」
手がかりのなかった俺たちは帰ろうとすると
「あ〜でもあいつなら何か知ってるかもね〜」
とフレアマが俺たちを呼び止める
「あいつって?」
俺が話を聞くと
「大地を司る聖獣なんだけど
そいつならもしかしてもしかするかもよ」
フレアマは他の聖獣について話す
「そいつは今どこにいるんだ?!」
俺がそいつの居場所を聞くと
「ずーっと北の大陸だよ〜
ソーリッて場所の神殿にいるんだよね〜
でも〜そこは人が入るにはだいぶ危険なんだよね〜」
とフレアマは答える
「でも君たちなら問題ないかもね〜」
フレアマを倒した俺たちなら問題はないだろうという
「そうか・・・あろがとう」
俺たちはお礼を告げて神殿を後にした
「結局情報はなかったね〜」
とルーブルムが言う
確かに俺の欲しい情報はなかった
だが・・・
「奴らは聖獣を狙っていた」
黒の騎士団の狙いはわかった
「なら次はどうするんだ?」
とウインレチアが俺に聞く
「フレアマが言っていた聖獣に会いに行こう
俺の欲しい情報がなくても奴らが狙っているなら
ほっとけない」
そういった俺の言葉にみんなも頷いた
こうして次に俺たちが目指すのは北の大陸ソーリ
俺たちはそこに向かうのだった
主人公の拳骨ってどんな威力だろう?
次回、大地の神殿へ




