新たなる脅威
今回から新章です!
それは突然の出会いだった
いつも通りギルドに依頼を見に行くと何やら建物の中が騒がしかった
「なにかあったのか?」
俺がそう言いながら近づくと
「あらアルくんじゃないの!実はちょっと困ったことがあってね・・・」
マスターはまさしく困ったという顔をしていた
「昨日依頼書の内容をしてそのまま掲示板に貼ったのだけど今朝見たら知らない依頼書が貼られていたのよ」
そう言ってマスターはその依頼書を見せてくる
「ここの鍵は基本私しか持ってないから中に入ることなんてできないはずなのに・・・」
マスターはそう不思議そうな顔をする
俺はマスターの話を聞きながらその依頼書に目を通していた
(えっと・・・とある島に大量発生したモンスターを倒してほしい・・・
なお報酬はそちらの望んだ額を提示しよう・・・見る限りは羽振りのいい仕事だが・・・)
内容自体は簡単そうに書いていたが普通の方法で依頼を出さなかったところを見るとまともではないのだろう
(かと言ってこの依頼をなかったことにしたらギルドの評価に響くか・・・面倒だな・・・)
相手はギルドに簡単に侵入できた人間だ
おそらくこの依頼主の意に返さぬことになったらギルドに何か起こってしまうだろう
「・・・マスター・・・この依頼受けていいか?」
なので俺はこの依頼を受けることにした
さらに言えばこの依頼を出した人間に興味が湧いたのだ
「いいの?ギルドの正式な依頼じゃないから報酬は出ないわよ?」
マスターは心配そうにこっちを見ている
「いいよ・・・どうせ金には困ってないし・・・
それに・・・何かこの依頼は受けなくちゃいけない気がする・・・」
そう言って俺はギルドを後にした
「というわけでお金にならない依頼を受けてきました」
と家に帰ってみんなに説明すると
「あんた・・・本当にバカだったのね・・・」
何やらアウレアが呆れた様子でこちらを見ている
「普通はそんな依頼受けないわよ・・・罠かもしれないしれないに・・・」
とアウレアは続けてそう言った
確かにこんな怪しい依頼はそう簡単には引き受けないだろう
だが俺には何か呼び寄せられている気がしたのだ
「・・・アルバ・・・その紙を見せてくれ・・・」
するとウインレチアが依頼書の紙を見せてほしいと言ってきた
俺はウインレチアに依頼書の紙を渡すと何やら道具を取り出して念入りに調べていた
「なるほどな・・・これは確かに行ってみる価値はあるようだ・・・」
そう言ってウインレチアは何やら笑っていた
「その紙に何かあったの?」
ルーブルムは紙についてわかったことを聞く
「この紙は普通の紙だ・・・だが問題は書かれている文字の方だ・・・
おそらくこの文字を書くのに魔道具を使ったのだろう・・・
そしてその魔道具は文字に思いを込めることができる類のものだ・・・」
ウインレチアはそう言って紙を見せる
(まさか紙の方じゃなくて文字の方に細工がされていたのか・・・)
俺はそう聞かされて驚いていた
「おそらくアルバがこの依頼に興味を持ったのはこの依頼主が求めているのがお前だからだろう」
「「「「「「「「?!!」」」」」」」」
そう言った瞬間にみんなが一斉に反応した
「それはやはり罠ってことですか?」
プレシカは険しい顔でウインレチアに聞く
「まだ断定はできないが・・・少なくとも助けてほしいという思いは本物らしい」
ウインレチアはそう答えた
「・・・・・」
俺はそれを聞いて黙り込んだ
(書いた文字に思いを込める魔道具・・・それによって感じたのは怒りや憎しみじゃなかった・・・
俺が感じたのはまるで・・・誰かに祈っている感じだった・・・)
手紙から感じたものを考えて俺は
「・・・俺はその手紙の差し出し人が危険な人物だとは思えない・・・だから・・・」
そう言い終わる前にみんなに目で止められてしまった
「アルくんが受けてきた依頼だもん!私たちは文句ないよ!!」
とルーブルムは元気な笑顔で言った
「まっまぁ!確かに大量発生したモンスターが本物なら一大事だしね!」
アウレアはちょっと照れ隠しながらそう言った
「私としては新しい魔道具の発見に気持ちが高鳴っているところだ」
ウインレチアは新しい魔道具に興味深々だった
「・・・もちろん・・・ついて・・・行く・・・」
ヴィリディは当然の如くついて行くと言った
「私もその依頼主には是非ともお会いしてみたいです!」
とプレシカは目を輝かせながら言った
「確かに〜どうしてアルバくんを指名したのか気になりますしね〜」
カエルラはおそらくプレシカとは違う感じで目を輝かせていた
「何やらカエルラさんがSに目覚めてしまったらしいです!羨ましい!!」
エレウムは相も変わらずの発言だった
「ちょうど暇していたしな・・・力試しにはちょうどいいだろう!」
七瀬は腕がなるとばかりに張り切っていた
「拙者も新しい忍術を使ってみたかったのでござるよ!!」
咲間はそう言って新しい武器を見せびらかす
(・・・なんかおかしなの混じってたけどいいか・・・)
俺は何人かの発言はスルーしてその依頼書に描かれている場所に向かった
「・・・あれかしら?・・・」
船を操舵していたアウレアがそう言った島は小さな孤島だった
「・・・いっぱい・・・いる・・・」
そう双眼鏡で孤島を見ていたヴィリディが言う
俺も双眼鏡でその孤島を見てみると
「うわぁ〜・・・マジでたくさん居るじゃん・・・」
そこには何やらザリガニのようなモンスターが大量にいた
「どうやら依頼の内容は正しかったようだな・・・」
ウインレチアはそう言ってプレシカを見る
「そうですね・・・」
プレシカもこの現状に納得したのか頷きながらそう言った
「それよりもどうやって上陸するのだ?あんなにいるのでは近づいた瞬間にすぐ襲われるぞ?」
すると七瀬がまとも意見を言ってきた
確かにあんな数のモンスターがいるのではそう簡単に上陸はできない
「まぁ・・・俺が行くしかないよね・・・」
そう思って俺は船から飛び降りて泳いで上陸する
「さてと・・・」
そして案の定モンスターたちが俺に群がってくる
しかしすぐに俺は鎧を身に纏ってその攻撃を防ぐ
「悪いけどそう簡単にやられるわけはないんでね!」
そう言って俺は片っ端からモンスターを倒していく
「・・・あのさ・・・私たちの分も残しておいてよ・・・」
みんなが着く頃にはもうモンスターたちは全滅していた
「しかしここ・・・人の気配がしませんね・・・」
するとカエルラが周りを見渡しながらそう言った
確かに双眼鏡でここを見ていたが建物らしきものもなかった
(本当に依頼主はここにいるのか?・・・しかしなんだろうこの感覚・・・
まるで誰かに見られているような感覚だ・・・でも一切の悪意も感じない・・・)
俺はこの孤島に上陸してからずっと不思議な感覚に襲われていた
俺はしばらく周りを見渡してその気配を探っていると
「・・・・・!」
その気配が森の中からすることがわかった
俺はその森に向かって歩いていく
「アルくん?」
ルーブルムたちも不思議思いながら俺についてくる
そしてしばらく森を歩いているとそこにあったのは鏡のような石だった
(これが・・・視線の正体?・・・)
俺はこの石を不思議に見ていると
「何かしらこの石?ずいぶんと前からあるらしいけど・・・」
アウレアははそう言いながら石の周りを見る
そこには苔や草などが生えており昔からこの石があるのがわかる
「ほう・・・これはなかなかに珍しいものがあったな・・・」
するとウインレチアはその石について何かを知っているらしく何か感動していた
「何か珍しい石なのか?」
俺はこの石が何なのかウインレチアに聞く
「これは大昔に遠くにいる者と顔を合わせて会話するための道具なんだ・・・
もうこの世界のどこにもないと思っていたが・・・こんなところにあるとはな・・・」
ウインレチアはそう言ってその石をじっくり見ていた
(遠くにいる者と顔を合わせて会話・・・まさか?!)
「なぁウインレチア!この石ってまだ使えたりするのか?!」
「なるほど・・・そういうことか!」
ウインレチアは俺に言ったことを理解したらしくすぐに石を調べ出した
「えっと・・・アルくんどういうこと?」
どうやらルーブルムたちはまだ理解できていないらしく俺に説明を求めてきた
「なんで依頼主は誰もいないこの島を指定したんだと思う?」
俺はそうみんなに聞くと一斉に考え込む
「確かに妙よね・・・アルバに会いたいのなら普通は姿を見せるはず・・・なのにここには誰もいない・・・!」
そう言った後アウレアはすぐに答えが理解できたらしい
「そうか!だからこそのあの石ってわけね!!」
そう言ったアウレアに対して俺は頷いて返事をする
「あの〜・・・私たちまだわからないんだけど・・・」
ルーブルムたちは不安そうに手を挙げる
「つまりあの石の向こう側に依頼主がいるってこと!!」
アウレアはそう言ってルーブルムたちに説明する
そう言われてようやくルーブルムたちも納得したがまだ疑問が残ってしまった
「だとしたらなんでこんなまどろっこしい真似をするのかな?」
ルーブルムが俺たちの思っている疑問を口にする
「それは本人の口から聞けばいいのではないか?」
するとウインレチアが戻ってきた
「使えるか?」
俺が使えるかどうか聞くと
「ああ・・・問題はなかった後はアルバがこれに触れれば石の向こう側にいる依頼主と会話できる」
そう言ってウインレチアは石に視線を向ける
俺は意を決してその石に触れると
「?!」
その石から強烈な光が放たれた
そして光が治るとそこには祈りを捧げる女性がいた
「よくぞ我が問いかけに応じてくれました・・・白銀の騎士よ・・・」
果たして目の前に現れた女性は何者なのか?!
次回、海帝の帰還




