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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
チェス編 第四章
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86 帰還

 肩で大きく息をする。リィすらもやや余裕のない顔で周囲を見渡した。

「追手は来てないな……」

「追いついてないだけじゃない?」

「そうだな。……イア、まだ動けるか」

「え? 当たり前じゃん」


 ストン、と私は膝から崩れる。……え?

「ちょっと足を蹴っただけで倒れるレベルじゃねぇか。――ほら、背負ってやる」

 ふわりと地面から足が離れて、軽々と負ぶわれる。……てか蹴ったな! ひどくない? 押すくらいでいいじゃん。

 まぁでも、親切でしているって分かるから。

「……ありがと」

 リィからの返事はない。ただ、少しだけ微笑んだような気がした。



「よう、帰ったか、お2人さん」

「セナ」

 セナは私たちのことをキャンプの入り口で待っていた。煙草の煙がふわりと立ち上る。短い髪が風に揺れて、そこだけ絵のようだった。

 あれ、セナって意外と美人? てかかっこいいな。煙草が似合う。

「他のやつらは……死んだか」

「目の前で。報告なら俺がする」

「ああ、そうだね。イアータは今すぐ救護テントに行って休め」


 よっぽどひどい顔色をしているんだろう。

「ううん、大丈夫。私も報告しなきゃね」

「でも、お前」

「甘えたら、もしものとき死ぬ。倒れたら死ぬんだよ? リィ。よく知ってるはず」

 リィはため息をいて、うなずいた。


「ああ、分かった」

「あんたって、手負いの獣かなにかかい?」

「ううん? ただ、生きてたいだけだよ」

 死を回避したい。ただ、それだけだ。

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