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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
チェス編 第四章
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72 任務遂行

「あ、スプーンがない」

「混ぜるだけ? なら私の使う?」

「ありがとう、アリス」

 私は自分のコーヒーを混ぜたスプーンを渡す。エヴァンジェリン(標的)の隣には、スケープゴートが座っている。

 知ってるよ、あなたはいつも、エヴァのコーヒーに砂糖を入れてあげる。袋に入っているもので、毒を入れるのは簡単だよね?


 私は微笑んでコーヒーを飲む。毒入りのコーヒーを。毒が付いていたのは、私のティースプーン。だから私も、毒を飲むことになる。

 でも大丈夫。毒に耐性があるから。どこかのギャンブラーにやられたからね、致死性の毒。だから、多少は大丈夫。

 まぁ、一般人が飲めば死ぬやつだけどね? おやすみ、エヴァ。ご冥福を。

「きゃあああ!」

 スケープゴートの悲鳴が上がる。それに合わせて、私もエヴァの肩を掴んで揺する。

「え、エヴァ!?」


「誰か! エヴァが倒れたの! 助けて!」

「どうしたんだ、アリス」

 エドリィに駆け寄る。

「エド! アリスが倒れた! 救急車、病院……お願いエヴァを助けて!」

 顔面蒼白、悲痛な叫び。これほど効果的なものはない。対してスケープゴートは、狂ったように笑っていた。

 洗脳、得意なんだ。目を合わせて、呼吸を合わせる。慣れちゃって、もうそれでできる。まぁでも、短時間でそんなに複雑なことはできないから、とりあえずただ笑わせた。


 カフェテリアは蜂の巣をつついたような大騒ぎになり、先生が来るわ救急車が来るわ警察ヤードが来るわ……あー大変。あ、こっちじゃポリスだっけ?

 取り調べで、厳しく調べられたのは私とスケープゴート。私は涙を押し殺して気丈に振る舞い、スケープゴートは放心状態。

 ごめんね、私たちのために死んで?


 取り調べが終わって1時間。スケープゴートの自室から、悲鳴が聞こえた。そこには遺書と、天井から釣り下がる死体。

 遺書には、「綺麗でみんなに好かれるエヴァが憎かった」とだけ書いてあった。警察は一応死体を持って引き上げ、アリスはエヴァに会わせてと警察に縋り、周囲の涙を誘う。


 さぁ後は、疑われない程度にこの学校で過ごそう。

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