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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
チェス編 第四章
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69 上陸

 3日後、俺たちはウォシロマ共和国に上陸した。船での生活がいい感じに実践練習になって、学校で名前を間違えることはなさそうだ。

 それにしても……なんだか賑やかな国だ。うるせぇ。


「学校はここだね。よし、行こう!」

「元気だな、アリスイア

「だって、楽しみでしょ? エドリィ

 ……イアのいつものテンションに合わねぇ。調子狂うな。


「やあ、初めまして。担任のロナルド・シューターだ。よろしく」

 全員で同時によろしくお願いしますと言うと、笑われた。

「さすがティタンの子どもだ。礼儀正しいな」

 今ので礼儀正しいって、お前らどんだけ非常識なんだ?

「うちの学校は寮っていうのは知ってるね? それで、3人部屋だ。まぁ細かいことはクラスメイトに聞いてくれ。君たちは全員、同じクラスだ。じゃ、ついてきてくれ」

 適当だな。細かいことは聞けって……有り得ねぇ。


 うっわ騒がしい! 教室に入った瞬間の感想はそれだ。もう始業時間だろ? なんでまだ空席がある!? まだ友達のところに行ってるなら分かる、遅刻してるやつは頭おかしいぞ!

「じゃ自己紹介頼む。こいつら転校生……まぁ、向こうの日常会話を教えてくれる教師だ。お隣さんからだ」

 お隣さん……ああ、ティタンが。お隣さんもなにも、世界には2つの国しかないのに。昔は多かったらしいけどな。今はもう、海を挟んで向かい合うだけだ。


 アリスイアは元気な笑顔、クライトパーシーは大人っぽい笑顔、コーデリアリサは冷たい顔、ヴァレッドラーフは儚い笑み、キャサリンナタリーは無邪気な笑顔、エドワードは仏頂面で挨拶をする。

 全員、とりあえず見た目で心は掴んだようだ。にしても……イアの能力が高すぎる。あんな元気なイア、初めて見たぞ。


 案内はクラスのボス的存在が請け負うことになった。そう、標的のエヴァンジェリンたちのグループだ。派手すぎて近寄りがたいかと思えば、案外真面目そうだ。

「ようこそ、言語学校へ! 私はエヴァンジェリン・スミス。ついてきて」

「標準語、上手いね」

「標準……ああ、ティタン語ね。そっちじゃそう言うの? アリス」

「うん。じゃあさ、そっちじゃウォシロマ語のことなんて言うの?」

「共通語ね。方言はあるけどね」

「こっちもだよ~」


 エヴァンジェリンの身長はイアより少し高いくらい……167くらいか。イアが165だからな。

 金髪に菫色の瞳。美人だが……イアを見続けたせいでもはやなんとも思わない。イアの方が綺麗じゃねぇか。

「ここが図書室ね。蔵書は多いのよ! 当然、ティタン語の本もあるわ」

「物語もある?」

「ええ、あるわよコーデリア」

 コーデリアリサは冷たい瞳をわずかに和らげる。これで話しかけやすくするつもりか。ああ、本好きならその話題でいいからな。なるほど。


「体育館。広いでしょ? ここで集会もするわ」

 まぁ、俺たち学校に行ったことねぇから、ティタンじゃどうとか分からねぇけどな。孤児院の小学生(6歳~12歳)だって、年齢で言ってただけだし。

 2階には席があって、集会のときは生徒がそこに座るのだそうだ。


「……これで大体見たわね。後は寮ね。あなたたちは全員、同じ部屋だったかしら?」

「女子と男子に分かれてね! なんか、面倒な規則とかある?」

「それはまた、寮に戻ってから言うわ。さぁ、ランチでも行きましょ? 今日はもう、うちのクラスは授業がないの」

 なんて適当なんだ! ……うちの国の学校では、10時にティータイムがあるんだが……なかったな。やっぱり文化が違うのか。


 ――ちなみに、カフェテリアの紅茶はくそまずかった。

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