35 任せるしかない
「はっ……? で、ですが、それでは個人の生命力に頼り切ることに……!」
「どちらも選ばないそうよ、2人は。どちらかだけが死ぬのも、どちらかだけが生きるのも。死ぬなら2人で……。それが彼らの願いよ。お医者さん。だからね、失敗してもいいの。私たちは悲しいけど……。でも、2人はそれでいい。私たちは、彼らに任せることにしたの」
正気か、って目で見られる。でも、仕方ないじゃない。2人がそうしてくれって言うんだから。
「……よかろう。半分ずつ、処方しろ」
「はい!」
さすがに国王の命では動かざるを得ないらしい。2人は慎重に、でも素早く薬を半分に分けて階段を昇っていく。
「……あの2人は、いつもそうなのか」
国王は、静かに聞いた。答えようと口を開く前に、ノーラの声が響いた。
「そうですとも、陛下。彼らは常に、お互いのことしか見ていません。そして、片方のために命を捧げる、悲劇的な関係でもありません。お互いが生き残ることを、お互いがお互いの側にいることを望む、純粋な人間です」
ノーラの声は落ち着いていたけど、目の周りは少し赤かった。泣いていたのかしら……。
国王の向かい側のソファに腰かけて、微笑む。……雰囲気が、イアに似ているわ。やっぱり、親に似るのかしら? 育ての、だけど。
「では、もう少し尋ねよう。……彼らはいつから、一緒にいるのだ?」
「8年前から。そうですね、15年前に戻りましょう」
そう言って、ノーラは祈るように目を閉じる。




