31 騒いだって……
「ただいまー。リサ、ちょっといい?」
「ええ、なに?」
「王さま呼んで。解毒剤もお願いして。医者も」
「え、なによ。どうしていきなり」
「毒を食らって2人とも死にかけてるだけだ。連絡を早く」
一応端的に状況を説明しておいた。余計混乱させちまったが。
「だけっ!? どこがよ! ああもう分かったわよッ、国王ね?」
「おいリィ、イア! どういうことだ今の!」
パーシーが血相を変えて駆け寄ってくる。聞いてたのか。
「大丈夫だよ、チェンバレンは殺したから」
「そんな問題じゃねぇだろ!」
「パーシー、騒がないで。孤児院の全員に、私たちの仕事を教える気?」
なんでそんなに落ち着いてるんだよ、とパーシーは力なく呟いた。
死ぬときは死ぬからな。でも別に、諦めたわけじゃない。ただ、ジタバタしても意味がないって分かってるからだ。
「騒いで状況がよくなるのか」
イアも同じ考えだから、落ち着いている。でも、瞳は生命力を宿していて、諦めていないことが分かる。
「そりゃ……そうだけど! でも、」
「イア! 大丈夫か!?」
パーシーの言葉をぶった切って、イアを呼ぶ。膝から崩れ落ちそうになって、慌てて支える。
くそ、俺もあまり力が入んねぇ……! 意識は鮮明だ。あと何時間、息が持つ?
「呼んだわよ! 30分くらいかかるって!」
「リィ、イア!」
ラーフも走ってくる。
「ナタリー、イアを運んでくれ。部屋に」
「分かった!」
パーシーが俺を運ぼうとしたが、肩だけ貸してもらった。




