23 久しぶり
王宮への殴り込みから6か月。解決した依頼はその間に2件。貴族って大変なんだねー。やりたくないや。まぁなれないけど。
ああそうそう、経済の混乱の方は、操り人形諸君に手を回して収めさせてもらった。だって私が困るのが、一番嫌でしょ? 王さまには方法は秘密。
「イア。久しぶりに依頼だぞ」
「マジで? わぁ3か月ぶり? 遅かったなー。貯金がなくなるとこだった」
0歳~5歳が1人増えて1か月。それとついでに、私が拾われた日から15年と2週間。いやー、15年か。長いねー。
「で、今回は……。セリゾ・チェンバレン? なんか重要人物をサクサク殺してるけど、大丈夫?」
「問題ない。人が1人いなくても、国は回る。たとえ私が死んでも、他の者が上手くやる。そんなものだ」
ふふ、と笑顔で応える。達観してるね。もう43……いや、最近44になったんだっけ? 王さま。
「ねぇイア」
ナタリーの声だ。なにを聞かれるのかは分かってるから、さきに答える。
「セリゾ・チェンバレンは、王さまの家令。家令っていうのは、その家で働く人の中で一番偉い人のこと。それで、王家……王さまの家では、かなり偉い人なんだよ。国の中でもね。だからこそ、セリゾ・チェンバレンは王さまを信じて、従うように教えられる」
だって、もしセリゾが裏切ったら王さまは簡単に死ぬからね。
「セリゾ・チェンバレンの名は、親から子へと代々受け継がれる。今代のセリゾのファーストネームはギアルギンだ」
王さまは淡々としていて、別に罪悪感は感じていなさそうだ。まぁ手を下すのは私たちだしね。
「それで? どうして殺すの?」
「知らなくていいこともあるとは、思わないのか」
「じゃあ直接聞こうかな。……だって男でしょ?」
ちょっと話して頼み込めば、教えてくれる。残念ながら自惚れじゃなく、事実だ。
「イア。お前まだ懲りてねぇのか……?」
「ぎゃっ。ねぇそれ半年前の話だよ!?」
さすがに時の力は偉大だね。案外すんなり落ち着いた。謝り倒したけど。
「お前がその気になったら、王位すら奪われそうだ」
「面倒だからいらない。それで、なんで?」
ふぅと息を吐いて、王さまは話し始める。
「……幼い頃から、セリゾは毎日王家の偉大さを語られる。1日も欠かさず、な。そしてセリゾは、王に仕えることに誇りを見出し、立派な人間に育つ」
「今までに、立派じゃなかったセリゾは?」
「いない。物語を聞いた者の中にはな」
「あー、そういうこと」
納得できた。つまり、今代のセリゾは、
「偽物だね? 本物は、死んじゃったの?」
「ああ。そうだ。そして、よく似た少年を養子にしたらしい。私すら、知らなかった」
「なんで分かったの?」
「先代のセリゾが数日前、死んだ。そのときに『ああ、ギアルギン。来てくれたのか……』と言った。妻を問いただして、事情が明らかになった」
「問いただすはよくないよ、聞いたくらいにしとかなきゃ」
セリゾ・チェンバレンか。どうしようかな。




