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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
兵士編 第四章
215/262

212 精鋭部隊発足、10年後

「今日がなんの日か分かる?」

 いきなり現れたセナに、リィは冷たい視線で対応する。シェーラはさっと立ち上がってお茶を淹れに、クィードは読みかけの本を置いてセナのためにお菓子を用意する。

 他のみんなは、セナが来るのはいつものことだから大きな反応もない。


「で、なんの日?」

 誰も返事をしなかったから、一応私が聞いておく。もう察しはついてるけどね。

「精鋭部隊ができて10年だよ! あんたたちが18歳のときにできて、今もう28歳!」

「セナも私の11歳上だから……もう39? あーあ、歳だね」

「うるさいな、誕生日が4月だからもう40だよ!」

「ふ、ヤバイ」


 笑っているうちに紅茶が入ったらしく、シェーラが笑顔で持ってくる。もはや定位置となったソファに身を沈めつつ、セナはもう一度口を開く。

「しかしまぁ、精鋭部隊ってすごいよね」

「うん、知ってる」

「……そういうとこもすごいな、イアータ」

 え、ホントにすごいじゃん。変なこと言ってないのに。


「だって、死亡率0パーセントだろ? ないよ、こんなこと」

「そりゃ精鋭を集めてるんだから、当然だろう」

 ようやく話に参加する気になったらしいリィが言う。読んでいた書類は、適当に机に投げ出されている。

 あ、書類仕事に飽きたわけ? リィはちゃんとするよね、そういうの。


「これからもその調子で頼むよ、精鋭部隊」

「はいはい。……ねぇセナ、なにか戦争について確信があるの?」

 突然の投げかけに、セナはただ笑った。ああ、なにかあるな。後で聞こう。

 ……10年か。長いなぁ。異質な部隊がここまで続くとは……。ううん、異質だから優秀で続いたのか。

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