212 精鋭部隊発足、10年後
「今日がなんの日か分かる?」
いきなり現れたセナに、リィは冷たい視線で対応する。シェーラはさっと立ち上がってお茶を淹れに、クィードは読みかけの本を置いてセナのためにお菓子を用意する。
他のみんなは、セナが来るのはいつものことだから大きな反応もない。
「で、なんの日?」
誰も返事をしなかったから、一応私が聞いておく。もう察しはついてるけどね。
「精鋭部隊ができて10年だよ! あんたたちが18歳のときにできて、今もう28歳!」
「セナも私の11歳上だから……もう39? あーあ、歳だね」
「うるさいな、誕生日が4月だからもう40だよ!」
「ふ、ヤバイ」
笑っているうちに紅茶が入ったらしく、シェーラが笑顔で持ってくる。もはや定位置となったソファに身を沈めつつ、セナはもう一度口を開く。
「しかしまぁ、精鋭部隊ってすごいよね」
「うん、知ってる」
「……そういうとこもすごいな、イアータ」
え、ホントにすごいじゃん。変なこと言ってないのに。
「だって、死亡率0パーセントだろ? ないよ、こんなこと」
「そりゃ精鋭を集めてるんだから、当然だろう」
ようやく話に参加する気になったらしいリィが言う。読んでいた書類は、適当に机に投げ出されている。
あ、書類仕事に飽きたわけ? リィはちゃんとするよね、そういうの。
「これからもその調子で頼むよ、精鋭部隊」
「はいはい。……ねぇセナ、なにか戦争について確信があるの?」
突然の投げかけに、セナはただ笑った。ああ、なにかあるな。後で聞こう。
……10年か。長いなぁ。異質な部隊がここまで続くとは……。ううん、異質だから優秀で続いたのか。




