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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
チェス編 第二章
17/262

16 初仕事 7 本物ですよ?

『ダメだわ、戻ってる! もうすぐ部屋に護衛が1人来るわ、間に合わない』

 イアの声が割り込んだ。

『何秒後?』

 不意打ちでどうにかなるか……? 銃を構えて、恐らくの顔の位置まで上げる。

『10秒!』

 9、8、7、6、5、4、3、2、1……。


閣下ユア・グレイス? ……不審者発見、至急増援を」

 嘘だろ! 見切られた……不意打ちが通らなきゃ、僕は弱い……!

 いけない、思考を止める前に考えろ。散々、教えられたろ!

 指にはめていた指輪を引き抜いて、放り投げる。ここで働いている証拠だったけど、どうせ捨てるしいいよね。


「ッ!?」

 護衛は指輪を避けて後ろに跳ぶ。その隙に体勢を立て直す。爆発物だとでも思ったのだろう。それは爆弾じゃない。

「……チッ」

 舌打ちをして、護衛は銃を構える。間違いなく、僕の額に向かって。ローブがあるとはいえ、普通のじゃ貫通間違いなし。

 でもまぁ、問題ない。


 乾いた音がして、銃弾が発射される。そして、


 銃弾はローブに弾かれた。


「おい」

 パーシーの声に、護衛がそっちに意識を向ける。もちろん僕のことも警戒してるから不意打ちは無理そうだ。

「お望みの本物だ」

 放物線を描いて、指輪が飛んでいく。どうせ偽物だろうと笑う護衛は、血と肉を撒き散らして消えた。


「……僕、血を浴びてばかりなんだけど」

「血だけじゃねぇけどな」

「トーナストってすごいんだね。銃弾も、指輪(爆弾)の破片も大丈夫だった」

「まぁ試作品だから、下手すりゃ死んでたけどな」

「開発課程で実験してたんだから、大丈夫だろ?」


ビショップパーシーナイトラーフキングリィだ。駐車場の屋根の上で待っている。10秒以内に来い』

 うげっとパーシーが言って、全力で駆け出す。僕もすぐに後を追う。

 早くしないと殺される……!

ユア・グレイスとは、公爵への呼びかけです。閣下と訳します。

リークスが怒るとなにより怖いらしい。

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