7.世界の理
扉を迷い無く開け放つ。
するとそこには、思わず目を疑う様な光景が広がっていた。
地下の筈なのに空が高く、雲もある。地面はレンガで綺麗に整備され、その上を沢山の人々が往来している。
建物も殆どが2階建てで、たまに5階建て等の高い物もある。高い建物は多分、宿屋か何かだろう。
今まで松明だった灯りがランプに変わり、辺りを強く煌々と照らしている。今が夕暮れ時なの事も相俟って、とても綺麗だ。
「・・・・・・・。」
レノアは絶句した。
地下にこんな光景が広がっているだなんて、誰が想像出来ただろうか。
そして、レノアがここまで愕然とする理由はこれだけでは無かった。
地下にこの光景があるというだけでも不自然だが、その光景の中で何より目を惹くのは、歩いてる人々だった。
『人々』と言ったが、その言葉は適切では無いかも知れない。今レノアの前には、ラノベやゲームの様に、多くの亜人種で溢れて居たのだから。
勿論、人も居るが、パッと見ても5割程度しか居らず、残り5割は、エルフやドワーフ、猫人族、狼人等の所謂、亜人種だった。
「・・・・・ほんとに、ここは・・・どこ?」
もしここに鏡があれば、そこには今まで見た事がない程の変な顔が映るに違いない。
(そんな顔をしても仕方ないよね?だって僕は今、この世界の理りを根本的に覆す様な光景を目にしているんだから。・・・・で、どうしようか・・・)
もう時期日が暮れ、夜が来る。
こんな時は泊まれる宿を探すのがセオリーだ。
外見はここの人達と同じなので怪しまれる事は無いだろう。しかし、言葉やお金が問題だ。
それに加え、それらを考える時間もレノアには無かった。
ここで考えて居ても仕方ないので、レノアは流れに身を任せる事にした。
(正直に言うと、ほぼ丸一日歩いて疲れたから、考えるのが面倒だっただけなんだけど・・・)
街に行くために、この世界の入り口たるこの洞窟から出て、目測約15メートルの高さから階段を下りる。
(はぁ、また階段かぁ)
今日1日でどれだけ階段を下りたのか数えれば、凄い数になっている事だろう。
(はぁ。ほんと疲れた・・・)
とはいえ、これがレノアの人生初の冒険となる事は、この時から何となく察していた。