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ども。異世界で店オープンしました!  作者: アウズ
第2章:日常からの一変
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6.扉の向こう

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」


息が切れてきた。動悸も激しくなり、背中からは冷や汗が流れ出す。


もう数十分以上に及びこの路地を歩き続けている。


(普段なら1分もしない内に着く筈なんだけどなぁ・・)


やっぱり、知らない道は使うんじゃないなぁと後悔しながらも、ここまで来たからにはもう引き返せないと、気を引き締める。


そうして歩を進めていくと、道が途絶え、行き止まりとなっていた。

しかし、よく見ると、壁と同化している扉があった。


辺りは昼間の筈なのに薄暗く、空気もどこか湿っている。壁は相変わらず無慈悲に佇み、上から睨み付けてくる様だ。


(これは・・・進むべき・・・かな・・・・・・・?)


正直、心配だし、怖いし、知らない道は使うべきじゃない、と後悔したばかりのレノアだが、折角ここまで来のだから、と思い切って扉を開き、先へ進む事にした。


ギシギシと耳障りな音を立て、開いた扉の先には・・・。


「なんだ・・・?・・・これは!?」


そこには薄暗く湿った階段が下に続いていた。

その階段は余りにも場違いな雰囲気で、紅いレンガの西洋風の造りだった。壁の両隣には松明があり、湿ったレンガがその光を反射している。


少しだけ中に入り、様子を窺う。


(やっぱり暗い。それと、カビ臭い)


レノアは、もう諦めて引き返そうとして後ろを振り返ると、開いていた扉が勝手に閉まり、そして壁に溶ける様に消えた。


「・・・・・・・え?」


あまりの超展開に頭がついて行かないレノアは、その場に立ち尽くした。


(どういう事なんだ・・・・・!?)


混乱するのも当然だ。

さっきまであった扉が勝手に閉まって消えたのだから。

こんな体験をした人など、世界中を探しても1人としていないだろう。


(えっと・・・どうしよう・・・・・)


「あっ!ケータイ!」


急いでスマホを出して電話をする。

が、出ない。というか電話がかからない。

まさかと思い、ホーム画面を見てみると、そこには圏外と表示された文字があった。


(ま、まじか・・・)


もともとは、ゲームを買う目的でここに来ただけなので、ケータイと財布しか持っていない。


完全に八方ふさがりだ。


ただ、可能性があるとすれば・・・・・・・


「この階段を降りる事だけ、か。」


先に進むのはリスクが高いし、何よりレノア自身が恐怖を感じて居た。しかし、だからといってずっとここに居たとしても助からない事は明白だった。


(少しでも可能性がある方に賭けてみよう)


レノアは決意し、気を引き締めた。


(正直なところ、すっごく怖いけど、進むしか選択肢は無いんだ)





「はぁぁぁ・・・・・」


(何でこうなったんだろう・・・)


レノアは、もうため息しか出ない状況だった。

元はといえば、少しの時間を惜しんで、知らない道に足を踏み入れたレノアの怠惰のせいだ。


今になって後悔している。

しかし、もう過ぎた事だと自分に言い聞かせる。


相変わらず壁は湿り、辺りは薄暗い。

時より、下から風が吹いてくる。

地下なのと風があるのとが重なり、段々と体の熱が奪われ、今では少し震えてしまう程だ。松明だけで暖かく感じる。


もうずっと歩いているが、一向に終わりが見えない。今も目線の先は闇に包まれている。


(いつ終わるのかな・・・?)


改めて思うが、本当に凄い事になってしまった・・・と考えるレノア。


と、後悔や思想を重ねて歩いていると、やっと階段が終わり、平らな道となった。雰囲気は階段と変わらないが、横幅が広くなり、僅かだが開放感があった。

しかし、困った事が1つ、


「み、道が3つに!?」


そう、道が分かれ、それぞれが暗闇の中に消えていたのだ。


こうなってしまえば、どれに進めば良いのか分からない。分かる筈が無い。


もうやけになって、適当に勘で決めた、1番右の道に進む事にする。


その後も数回分かれ道があり・・・・・



ここに来てから何時間たったのか分からなくなってきた頃、レノアはあの怪物(モンスター)遭遇(エンカウント)した。


何とか勝てたものの、あれと同じ様なモンスターがまだ辺りに居ると考えると、全身の毛が逆立つ。


でも、もし仮にそうだとしたら、早くここを脱出しなければならない。


歩みが自然と速くなる。

今来た道や今歩いている道が正しいルートなのかは分からないが、もう信じて進むしか、レノアには出来なかった。


その後は何事も無く、静かに時間が経った。まるで先程の戦いが嘘の様だ。


すると、目の前に、ここに来た時と同じ様な扉が現れた。


迷わず開け放つ。


もう迷いなんかとうに消え去っていた。

今あるのは、自身の軽率な行動への怒りと後悔だった。


そして、開け放たれた扉の向こうには・・・


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