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ども。異世界で店オープンしました!  作者: アウズ
第3章:異世界での生活
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13.訓練開始!

「よし!今日は訓練するぞ〜!」


「「「「やったーー!」」」


「・・・」


校長の言葉に、生徒全員が声を揃えて喜ぶ。

しかし、僕はその空気について行けなかった。


「ね、ねえ。訓練って何?」


一通り喜び終えていた隣の席のエーデンに尋ねる。


「そのままの意味だぜ。戦闘訓練って事だ」


「そ、そうなんだ。ありがと」


「お、おう」


普通なら喜ぶ筈の訓練と聞いても喜ばない僕を見て、不思議そうに首を傾げるエーデン。

一方の僕は、喜びどころじゃなく、焦りと恐怖に煽られていた。喜びなんて感情、あっても1割だ。何せ僕は人と戦った事なんて一度も無い。それなのにいきなり戦闘訓練はハードルが高過ぎる。・・・今日の授業は辞退しようか。


「顔が変になってるわよ。そんなに緊張しなくても、午前中は基礎だし、訓練って言っても、生徒同士で戦うのは授業の最後。

しかも、剣は模擬剣だし装備も一式着るっていう、模擬中の模擬だから、当たってもちょっと痛いぐらいだし、大丈夫よ」


(それって、アリスだからじゃないのかなぁ・・・)


僕にもその言葉は当てはまるのだろうか。

いや、殆どの確率で痛い。

たとえ本当に痛くないとしても、衝撃はあるだろうし、僕にはその衝撃を耐えられる自信がない。

それらを踏まえた上でもう一度考える。


(・・・うん、辞退しよう)


「誰か事情があって出来ない奴いるかー?」


ちょうどその時、校長の隣に立っていた先生が、手を差し伸べてくれた。

先生はそう言って、教室を見渡す。


僕は瞬時に手を挙げた。席が一番後ろなので、見えるのは先生と隣のエーデンだけだろうが、先生に見えているなら問題無い。

しかし・・・


「よし!全員参加だな!」


「「「「「はい!」」」」」


「・・・え?」


僕は耳を疑った。

全員参加?あれ?手を挙げよね?

一瞬目が合ったのにも関わらず、先生は僕が手を挙げていたのを無視して全員参加と言ったのだろうか。そうだとしたら、酷い。先生という立場の人がするべきでは無い事だ。手を挙げても無視されるなら、そんな質問して欲しく無かった。

逃げ場が無いのなら諦めがつくが、中途半端に逃げ場を用意され、そこに行こうとすると、塞がれる。それが一番酷い仕打ちだと思う。それを先生がするなんて・・・。


僕がそうやって、先生に心の中で愚痴っている間にも生徒は盛り上がり、午前の基礎練に向けて準備をしている。妙にテンションが高い。いや、高過ぎる。


「ねえ、訓練が嬉しいの?」


「当たり前じゃねえか、レノは違うのか?」


「僕には、自身が無いよ・・・だからさっきは手を挙げたのに」


「ああ、あれはな、多分わざとだぜ。」


「だよね!?だったら尚更(なおさら)酷いよ!」


「いや、先生は酷くない。むしろ優しいと思うぜ?」


「な、何で?」


「お前は、ハンターになろうとしてここに来たんだろ?なのに、戦闘訓練しないでどうやってモンスターと戦う技術を身に付けるんだ?ずっと知識だけ身に付けてても、モンスターは殺せない。そうだろ?だから先生は、お前が()じけずいて手を挙げた事を見抜いた上で、わざと無視したんだ。

そもそも、ああやって聞くのは、ただ学校としての形式でやってるだけで、手を挙げても、無視されるか、半分強制的にさせられるかが殆どだぜ。本当に無理な時は別だけどな。

そんな環境だからか、生徒から訓練を降りるなんて事は、もう殆どない。

だから、諦めろ。そして慣れろ。それが一番だ」


まるで親の様に諭すエーデンは、真剣そのものだった。本気でハンターになろうと志している者の目だ。

そんな彼に説得され、僕は渋々(しぶしぶ)訓練に参加した。



恐る恐る参加した訓練は、アリスが言っていた通り、あまり技術が無くてもついて行けるものだった。

それが午前中の基礎練だとしても、みんなついて行けるのは嬉しかった。

最初は体力を付けるために筋トレやランニングをした。

それもなんと一時間。

(いわ)く、

「ハンターたる者体力を付けろ!体力が無ければ死に、あれば生きれるかも知れない。それがハンターの世界だ!」

らしい。

なぜ『生きれるかも知れない』なのかと聞くと、生きれるかどうかは、はっきり言って、体力だけでは決められないが、体力が無い奴は死ぬという事は確実だ。という答えが返ってきた。何と恐ろしい事を言う教師だろうか。

いや、『教師』という概念を捨てよう。今ここに居るのは、『教師』ではなく『ハンター』なのだから。

そう考えたら納得出来た。



そんな筋トレが終わり、今は休憩中だった。

この後は各自武器ごとに別れて練習するらしいが、僕は武器をまだ決めていなかったので、学校の武器庫にて説明を受ける。

片手用の剣や、両手用、薙刀(なぎなた)、魔法用の杖もあった。他にも様々な武器が並んでいる。

どれにしようか迷ったが、ここは、『ギガンティア・ファンタジー』のアバターと同じ、双剣にする。

僕は、武器が好きだった。

実用性のみに特化したデザインの中に美を感じる武器が。

その中でも、双剣は特にお気に入りだった。二つの対になっている剣。左右対称に作られ、その姿は双子の様だ。

そんな僕を見て先生は、


「お前がそれを選ぶとは意外だ」


と、言った。本当に驚いたと書いてある顔で。


「そうですか?」


「いや、気にするな。どの武器を選ぶかはその人の自由だ。その権利は何者にも侵せない」


この先生は、たまに難しいというか、キャラに合わない事を言う。だが、そのギャップがあるからこそ、何故か説得力があった。



武器を決めて戻ると、先生がいなかった筈なのに、授業が再開されていた。

その代わりに、知らない人が数人いて、それぞれが別れて生徒を指導している。

これが武器ごとに別れての訓練だろうか。


「お前はあそこだ。あそこに行ってこい」


「分かりました」


先生が指をさした方へ向かう。そのには、僕と同じ類いの武器を持った他の生徒と、細身ながらも、筋肉質な体の若い男性が居た。

眼鏡をかけていて、真面目そうだ。


「おや、やっと来ましたね。では始めましょう」


「「「はい!」」」


僕の参加と同時に始まったその訓練は、実に楽しかった。前のハンズさんの真似をして剣を振ったり、ペア同士で動きの確認程度の軽い打ち合いもした。


そして、楽しい時間はあっと言う間に過ぎ、気付いた頃には、昼になっていた。


と言う事で、一時解散して昼休憩となり、僕はシーナ、シルフィ、アリス、エーデン、ルカと一緒に、学校近くの店に並んでいた。


「ねえねえ、レノは何選んだの?」


シーナが早速聞いてくる。


「双剣にしたよ」


「え!?いがーい!」


「先生にも言われたよ、それ。そんなに意外?」


「シーナがそう言うのも分かる気がするぜ」


「ええ〜!エーデンまで〜!?」


「ごめんなさい、私も・・・」


「私もです・・・」


アリス、シルフィも申し訳なさそうにしながらそう答える。


「・・・俺はそうは思わないよ!うん!」


いきなり大きな声で言うルカ。

勿論、僕の事を思っての事なんだろうけど、今はその優しさが逆に辛い。


「「「・・・・・・」」」


沈黙が流れる。

この空気程嫌なものは無い。

みんながみんな、何か話そうとして話題を探すが、考えれば考える程思い付かない。

深海の様に頭が真っ暗にブラックアウトする。


「お客様、ご注文はどうしますか?」


そんな時、店員の人が声を掛けてくれた。

それが、どんなに当たり前の事でも、今の僕たちにとっては天から降りて来た糸の様だった。

みんなが一斉に安堵する。

それ程の重さだったのだ。







「それでは、訓練を再開する!午後からは、いよいよ模擬戦だ!いいな、怪我はしない様にするんだぞ!」


「「「は〜い」」」「「「うーっす」」」


生徒の声を聞き、先生達はペアを組み始める。

その結果、僕はルカと組む事になった。あまり仲の良い人とは当たりたく無かったが、仕方ない。


「よろしくね、レノ!」


「よ、よろしく」


最初に会った時の様な挨拶を交わし、それぞれのチームに別れる。

ただ戦うだけでは面白く無い、という理由から、チームで勝った人が多い方が勝ち。という事になった。


最初のペアが前に出て、お互いに向き合う。

他の生徒は、それを囲って、わいわいと傍観している。

しかし、前に出た二人の周りには、剣呑は雰囲気が漂っていた。見ている僕まで緊張する。

そこへ先生が出て来て言った。


「始め!」


それが戦いの合図だった。


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