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ども。異世界で店オープンしました!  作者: アウズ
第3章:異世界での生活
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11.実験結果。

昨日開始された実験から1日後。

レノアはまたしても時計と睨めっこをしていた。


もうすぐ3-0時だ。


『カチッ』


(今だっ!)


カウントをストップさせて、手元を見る。

そこには、24時間と表示されている画面があった。


という事は、この世界も24時間で1日という事になる。

今まで生活してきた中で時差を感じなかった事から何となく予想は付いていたが、目に見える結果が出たので、心の底から安心出来た。



(じゃあ、実験成功って事で終了!)


すぐさまケータイの電源を落とす。

ここでは充電が出来ないので、少しでも無駄には出来なかった。



(さて、ごはんでも食べようかな)


部屋を出て、一階に下りる。

そこには、いつもの様に受け付けにいるカルトスと・・・女の子が居た。


(うわぁ・・・)


初対面の人に『うわぁ』は失礼だろうが、彼女とは初対面では無かった。ただ、レノアが一方的に知ってるだけだが・・・。


(あの子は・・・銭湯の・・・)


そう、今カルトスと一緒にいるのは、昨日の銭湯事件の被害者である、あの女の子だった。


いくら事故で、しかも相手が気付いていなかったとしても、罪悪感はあった。

なにせ、余りにも無防備な姿を勝手に見たのだから。


しかし、ここを通らない訳にもいかず、彼女がカルトスと話をしているうちに外へ出る。

今こちらを向かれたら、昨日の記憶が彼女とピッタリ重なって、罪悪感ともろもろで動けなくなってしまうだろうから、気付かれないように、そっと、そぉっと。


「おお、レノ!」


(あっちゃ〜)

「お、おはよ」


「お、おう。・・・どうした、お前またおかしくなってんぞ?」


「・・・え?何の事?」


「『何の事』って、何で背中向けたままで喋ってんだって事だよ!」


「い、いやちょっとこれには深〜い事情が・・・」

カル達には見えないが、レノアは苦い顔をして答える。


「いいから、こっち向け。じゃないと無理にでもこっち向けるぞ?」

見えないが、多分、腕を組んでニヤけているだろう。カルトスはレノアがこういう状況で逃げるという行動に至らない事を見抜いているのだ。


(・・・もう諦めよう、カルには(かな)わないや)

「・・・分かったよ」



(う、うわぁ・・・)


振り向いた瞬間、すぐに視線を逸らす。

昨日の事だけでも逸らしたくなるのに、彼女は余りにも綺麗過ぎたからだ。


背はレノア同じぐらいだが、顔が小さく、脚も長い。その小さな顔は、まだ幼さが残っているももの大人びていて、美しさと可愛さを兼ね揃えている。

体の前で組まれた腕が、その控え目ながらも小さ過ぎない胸を強調させている。

何となく、お姉さんといった感じだ。


「え、えっと・・・」


何故カルが振り向かせたのか分からない僕は、視線を泳がせながらうろたえる。

まさか、昨日覗かれた事に気が付いた彼女が、何らかの手段を用いて僕の居場所を突き止めたのだろうか・・・。


(そうだとしたら、素直に謝ろう。たとえ事故でも見たのは見たんだから)


「えっとだな、レノ」

深刻そうに見えるが、恥ずかしそうにも見える、複雑な表情でレノアを見つめるカルトス。


「う、うん・・・」

一方のレノアは、腹をくくり、謝る準備をする。



「こいつぁ、俺の娘だ!」


「ごめんなさ・・・・・ん?・・今なんて?」


「今お前の前に立ってるのは、俺の娘だって言ったんだ」


「・・・・・・。」


さっきの顔は『恥ずかしそうな顔』で合っていたらしい。カルトスは頭を掻きながら目線を下に逸らしている。


「初めまして、私はアリス。アリス・クローゼよ。君がレノアね?」


礼儀正しくお辞儀をして、真っ直ぐに目を見て来るアリス。


一方のレノアは・・・頭から煙を出し、直立不動となっていた・・・。











「っはっはっは!

にしてもよ、それはちょっと酷いんじゃねえのか?」


「ごめん、カル。でもほんと、カルに奥さんと娘さんが居るなんて思ってもいなかったよ」


「たった1人でこの宿をやって行けるとでも思うか?」


「あ・・・・・」


そう言えばそうだ。

ほとほと、自分の馬鹿さに呆れ、ポカンと口を開けていると、それを見たアリスが、


「ふふ、レノって面白いね」


「それもそれで酷くない?」


「いーえ、私にとっては褒め言葉よ?」


「じゃあ、アリスは面白くない!」


「そうね、面白さは求めてないんだもの」


「・・・え、やっぱり酷い!」


「ふふ、ふふふ、あははは!

ダメだこれ、堪えられない!あはははは!」


「ああ!心に深い傷がっ!」


大袈裟(おおげさ)なリアクションをするレノアを見て、アリスはまた笑う。

今度は『ふふふ』ではなく『あはは』だ。笑いの抑制が出来なくなる程面白かっただろうか。いや、アリスがツボにはまっただけだろう。

そうだとしても、レノアの『ペーパーハート』には、傷が付いた。

しかし、茶色のポニーテールを左右に揺らし笑っている彼女は、天使の様に可愛かった。



レノアはあれからカルとアリスによって自分の部屋に運ばれ、情けない事に数分気を失っていた。

そして、回復した今は、部屋でこうして、3人で自己紹介を兼ねて話をしている。



「にしても仲良いな、お前ら。どこかで会ったのか?」


「いいえ、会ってないわ」


「そ、そ、そ、そんなわけじゃん!」


「そうか?」


「ええ」


「うん!」


「そうか。まあ、あまり前だな」

カルトスはそう言いながらも納得していない様子だった。


「何でまだそんな顔してるの?お父さん、」


「あ、いや。レノが『僕昨日、アリスの普通じゃない姿見ました!』っていう顔をしてる気がしてな」


「普通じゃないってどういう事?」


「さあそこまでは分からん」


「な、なんで見た前提で話をするのさ!」

実際は見たのだが、それを正直に言える筈も無く、脊髄反射で弁解しようとする。


「お父さんってこういうのだけは鋭いから」


「毎日お客さんの顔見てるからな!」

親指を立て、ニッっと笑う。前にも見たが、やはり、妙に似合っている。


「と、ところでさ。何でアリスと会わないって断言出来るの?一応、僕もここに泊まってるし、カルもここが家なんでしょ?」


「ああ、それはね、私が普段は学校に行ってるからよ」


「学校・・・?」

ここにも学校があるのか!と驚愕すると同時に、ここにも学校があるのか・・と落胆する。

学校には行っていたが、それは殆どの人が行くからであって、決して自分から行きたいと思っていた訳ではない。恐らく、大体の人がそうだろうが。


「そうよ。正式には『ハンター養成・強化学校』ね。私はそこに通ってるの。普段は寮で生活してるわ」


(おっと、これは凄い良い事を聞いた気がする)


レノアもゲーマーの(はし)くれだ。自分で剣を振るい、モンスターを倒したいと思わない筈がない。

レノアは目をキリッと鋭くして顔の前で手を組み、如何(いか)にも深刻そうな顔で2人に言った。


「その話、もっと詳しく・・!」





その後その『ハンター養成・強化学校』について、色々と教えて貰った。

学校はこの宿の反対側の北寄りにあるらしい。そこでは、日々ハンターを育て、あるいは強化するために授業をしているそうだ。

アリスは寮に住んでいて、今日は休暇だから帰って来たと言っていた。

寮制なら入学は辞めておこうと思ったが、その養成学校はなんと、寮に入らなくても来れる日だけに行けば良いし、その上参加資格は特に設けていないという、超自由な学校だったのだ。

これを聞いた僕は、早速明日学校に行ってみる事にした。

毎日行かなくても良いし、無理そうなら辞めれば良い。そんな学校、日本では考えられないだろう。しかし、ここには存在している。


(それで行かない手は無いよね!)

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