第七話 孤島の初日
セン・ハザート 主人公
スピング・キャルズ センと同じ訓練兵 怪力
ラファエル・ゾール 同じく訓練兵で、話す前に間がある
キエス・クリスティーン 同じく訓練兵 俺達のリーダー
「暑ー、クソー、なんで真夏に山でサバイバルなんだよー」
俺は、ふてぶてしく呟いた。
「これって、ある意味地獄だぜ。あー、水―」
「おーい、雨風しのげる場所は見つかったか、ラファー」
「…ラファではない、ラファエルだ。あとそんなものは無かった」
すると、キエスが言った。
「おらー、しっかりしろー。見つかったから移動するぞー」
あったんじゃねーか。
現在地 テキリカ島(ELESTRO軍基地から南東15キロ 無人島)
「あー飯はどうするかねえ。」
「ほんと食う事ばっかりだな。」
この無人島で2カ月生き延びるためには食料も必要だ。しかし、当然ながら
「げ、2週間分しかない」
「今気つ゛いたのか…」
このサバイバルのルールを説明しておこう。
1・2週間分の食料と参考書持って山で2カ月生きること。(救急搬送あり)(ただし、重傷および死にそうな時のみ)
2・武器、寝床などは自分で確保すること。(ただし、洞窟は無しとする)
3・人同士の殺し合いは無しとする。(死ななければ可)
4・罠はあり。
大まかにはこの4つだ。
雨風、そして蛇などの害敵、虫を防ぐため、雨風に対しては頑丈な木材を、虫に対しては層草という植物の葉っぱで対処している。ただし、まだ燃料が取れていないので、そこに誰かいることしか分からないくらい暗かった。
会話は、まったくと言っていいほどになかった。うん、今日は寝るとしよう。することないし。
翌日
昨日と同じで、炎陽(地球で言う太陽)が、嫌がらせのように、かんかんと照りつけている。
「うし、今日は燃料を探すぞ。各自昼にここに集まろう。」
「うーい」「へーい」「ああ」ラファエル以外はやる気のない返事を返すので精いっぱいだった。クソ暑い中でやる気を出せという方が無理な話だ。うう、どこから探そうか。
とりあえず、木材に棒をグリグリとこすりまくって、摩擦で火をつけるという原始的な方法にすることにした。ならば木をとってこなければ。うーん、どうやって?のこぎりとか無いし、魔法も…。ん?魔法ならいけるんじゃね?
というわけで
「どおうりゃあ!」
声の後に、豪快な音を立てて木が倒れる。魔法でいいじゃんって思ったら、白兵戦専門のスピングは木も殴り倒せるらしいので、任せてみた。しっかし、これは喧嘩したら死にそうだ。いや、絶対に死ぬ。
今度は、その木を小さくするのだが、のこぎりなんて無いし…。
「なあ、ラファエル。こう、サクッと切れる魔法ってないの?」
「…ある。でもロッドが無い」
あ、そうなんだ。…今思ったけど、薪集めたらよかったんじゃね?
しどろもどろして、夜。
「あかるいな」「ああ、そうだな」なんて会話しか出ない。さあ、まただけど先に寝よう。…としたその時だった。キエスが「静かに」と言って外をにらみ始めた。
「クソッ、お客だぜ」
「お客?」
「ゴブリンだ」
スピングが問うと、彼は指でその方向を指した。そこには、黒い影がいくつかあった。先頭の陰がやや大きいから、たぶん奴が大将ってところだろう。俺達は、それぞれの武器を取った。俺はのこぎり、スピングとラファエルは無しで、キエスは丈夫な木の棒だ。
「他に居ないか?」
「…今のところは」
「よし、俺が引きつける。その後、合図をしたら攻撃開始だ」
「「「了解」」」
彼は剣族らしい。剣族とは、主に剣を扱う攻撃を得意とし、短距離が早い。目に強力な殺気をうかべ、敵の動きを止める代わりに狙われやすくなる『ウィサイバー』を使う。
走っているキエスに気つ゛いたゴブリンは、ちらっとそちらを見た。彼はすぐに『ウィサイバー』を使った。
「今だ!やれ!」
俺達は、はじかれたように、ゴブリンに襲いかかった。