第二話 二人の軍人
「あ、あなたは?」
「俺は、ジェイ・ブラウドだ。君はここの住民か?」
「はい。俺は、セン・ハザ―トです。さっきのは一体?」
「それはだな。簡単に言うと、生物兵器だ。」
「うん。結構めんどくさいんだよねー。」
うんうん。一目見て分かったよ。って、え?誰?見渡してみると、声がした方から糸目のニヤついた男がどこからか現れた。
「チッ。何の用だ、レイス。」
レイスと呼ばれた男は、にやにやしながら「べつにー」と答えた。
「この人誰?」
「今、保護した市民だ。」
「へー。ねえ、この街が実験台になんて言っちゃった?」
は?実験台って。
「おい。今まさに言ってしまったのに気がつかないのか。」
「え、実験台ってどうゆうことですか。」
すると、ジェイと名乗る男はため息をついて、
「あー、この街は、ある野郎どもの実験会場にされたらしい。それを止めるために俺達連合国軍に出動命令が出されたんだ。今は任務中。」
この街が実験会場?くそが、好き勝手しやがって。
「俺もそれにつき合わせてください!」
気が付いたら、無茶なことを口走っていた。ジェイさんは口をあんぐりと開け、レイスさんは、相変わらずニヤニヤしている。
「おい。どうするんだ、レイス。」
「ま、良いんじゃないの?死んだらオーライってことで。」
「良いわけあるか!市民を戦場に連れていくのは論外だ!」
あー。やっちゃった。俺のせいで、めんどくさいことに。
一分後
「仕方ない。ついてきてもいいが、俺達の指示には従ってもらう。勝手なことをしたら、即座に帰ってもらうからな。」
「これ。使うといいよ。」
そう言って渡されたのが、銃身が1メートルくらいある銃と、小さいハンドガンと、弾の入ったマガジン。大きい銃にはBCC-97と、ハンドガンにはPRARETASS-1と書かれていた。
「え、こんなに俺が持ってて大丈夫なんすか?」
「うん。大丈夫だよー。俺は別の使うから。あと俺はレイス・ヴァーナード。レイスって呼んでねー。」
「とにかく行くぞ。」
そうして俺は、この二人についていくことになった。
「状況は。」
「うーん…。」
今、ダントルディア(後でレイスさんが教えてくれた。例の野郎のこと。)の飛行船が見える、さっきの場所から徒歩3分くらいのところにある古い倉庫に隠れて見張っているところだ。
「まだウロウロしてるね。数は…15、20ってところかな。」
「よし、そのまま待機だ。」
…むう、これ(銃)ってイメージよりも重いんだなー。よくこんなもの持って長距離移動できるよ。あ、そういえば。
「あの、ジェイさん。他の人っていないんですか?2人だけで動くなんて聞いたことが無いんスけど…。」
「ああ、いない。なぜならなァ…。」
ごくり。
「なんとなくだ。」
「はァー?!」
何んとなくってありなの?ってゆうかそれって、
「ただの自分勝手じゃないスかァー!」
「まあいいだろ。」
なんて野郎だ。そんなんで上司に怒られないのかなぁ。
「そういえば、まだ作戦内容を説明していなかったな。この任務は、あの飛行船の制圧。又は、破壊だ。」
「制圧と破壊…ですか。」
「そうだ。奴らの実験試料を持って帰られる前に、何としても手を打たなければならないんだ。」
なるほど。と、一人で関心していると、レイスさんが双眼鏡から目を離して状況を報告した。
「なんか皆飛行船に入りだしたよー。」
「よし、こっそり近ずくぞ。発砲はするな。」
「「了解。」」
気がつけば、太陽が頭上にあり、緊張で手汗がすごくでていた。
飛行船のエンジン音が、空気を震わせている。。この飛行船はどうも音が出てしまうエンジンを積んでいるらしい。一番下の人が侵入できるくらいの窓が開いていたので、俺達三人はワイヤーガン(撃つと、先端に鉤が付いたワイヤーが伸びて、目的の物にひっかけることができる道具。ここで使ったワイヤーガンは5メートルまでの携帯用。)を、レイスさんは一人で、ジェイさんと俺は二人で一つ使って乗り込んだ。これが、今からの彼の人生を変えるきっかけになるのだった。