はじまりのあさ
どうも^_^
この作品の内容は「HOBBY★WORLD」シリーズの「能力名はTNK」のサイド(ワールド)ストーリーになっています。
この作品単体でも十分に楽しめると思います。
では、原題「トイレの伝説」改め「僕らのRPG~~Last Travelers~~」始まり始まり。
「ヒャッハアアアアアアアアアアアア!」
ここは、とある県の真ん中でも隅っこの方でもない戸入町。読みはトイレマチ。
その町では名物である「世紀末鳥」の少し変わった雄叫びとともに一日が始まる。
因みに雌鳥は鳴かない。
さて、その町の三丁目の一角にある家で「彼」は今日も朝を迎える。
「…………四時三十五分か。」
その頭髪、寝癖を起こし東京スカイツリーのように鋭く聳え立つ少年の名前は、戸入治。読みは、トイレナオル。
彼の容姿は一言で言うならば、とにかく「わかりやすい容貌」である。キリッと「尾の太い眉」の下にはキョロンと「黒い瞳と白い縁がハッキリした」造形の目があり、ピシリと唇は結ばれ、ほぼ円と言っていいくらいの丸顔をしている。
表情の変化は乏しく何を考えているかはわからないが、とにかく「起きてます!」な顔だと思えばいい。
成績は抜群でなくとも、優秀。
真面目な性格で、清く、正しく、逞しくを今年、十六歳になっても実践している。
強いて言えば、優等生とも言えなくもない。
そんな彼は起床と同時に気合をいれてカッと、目を開ける。
「いい朝だ。……ムム。テントか。」
そして、自身を改めた後で、窓を開けて息を吸い込み、そして吐いた後、机の上にあるステレオのスイッチを入れた。
「ハーイ!皆さん、お元気?朝のトイレ体操のお時間よ。ハイッ。一、二、三、四…………。」
それも嫌な顔一つせずに、ひととおり終えると、彼は階下に降りた。
居間にはすでにナオルの家族が勢ぞろいしていた。食卓の上には朝食が置かれ、ワイシャツを着て新聞を読む黒縁眼鏡の男性に、シャツにスカートという今時珍しい控えめで若干清楚な服装をしたセミロングの女性がナオルの方を見た。あと、何故か掛け湯の時に使う取っ手付きの洗面器を被った高齢の男性がクッチャリ、クッチャリとのんびりご飯を咀嚼している。
「おはよう、ナオル。ご飯、置いてるよ。」
「お早う御座います。母上。」
ナオルは今時珍しい、家族内でも年上に対しては敬語を使う人種だ。
「勇者ナオルよ。昨晩はよく休めたか。」
「お早う御座います。そふ「王じゃ。」はっ。それは、とても。」
「そうか、それはよい。」
「ナオル……合わせなくていいわよ。」
洗面器を被った高齢の男性____戸入総司はナオルの祖父に当たる。このように頭の方は少し緩い。
祖父ソウジの質疑応答にかしこまった様子で応えるナオルに黒縁眼鏡の男性ことナオルの父____戸入締太が朝の挨拶と共にしみじみとした様子で呟いた。
「ナオル、おはよう。お前も今年で勇者か。」
「ハイ。」
「うちは代々勇者の家庭。と言っても、魔王の復活がない限り、行事も特になく、副業のサラリーマンを私はしているがな。」
「むしろソッチが重要よ。私たちの生活が掛かってるんだから。頑張りなさいよ「勇者係長」さん。」
そこに戸入家の家計を任されている家長(?)ことナオルの母育代が割り込むようにして釘を刺す。臨時の家業と明日の家計では、やはり後者の方が切実な問題に違いないのだから。
「しかし、それももうすぐ、お前の誕生日でお終いだ。俺はお前に勇者の全てを譲渡する。
お前は『勇者』という家業と、『聖剣・木阿弥』を継承する。
そう硬くならなくていい。魔王はもういない。復活がない限り、今までと同じだ。」
しかし、それを聞いたナオルは、複雑そうである。
「でも、父上。私は」
ナオルは自分の思いを伝えようとするが、時間がそれを待たない。
「ナオル。遅刻するわよ。早く食べなさい」
「ムム……ハイ」
食卓に着くと、今時にしては珍しく家族の前でも背筋を伸ばし、型通りの所作で朝食を取るナオルであった。……寝癖はいつの間にか直っていた。